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インフレ懸念が強まる中、保有を検討すべき米国株2選

出典:Getty Images

世界的にコロナワクチンの接種が拡大する中で、1年以上続いたパンデミック終息の兆しが見え、人々の移動や活動が活発化するとともに経済的にも回復傾向にあります。

アメリカでも、バイデン大統領の下でワクチン接種が推進されており、6/3時点で12歳以上人口の60%が一度目のワクチンを接種済みとなっています。

経済活動が活発化するのは喜ばしいことですが、現在、アメリカでは経済活動の活発化に伴って物価が急上昇しています。

これが一時的な現象に過ぎないのか、それとも長期的なインフレとなるのか、議論が続いています。

長期的なインフレへと発展した場合、株価への影響は避けられないものとなることが予想されます。

本記事においては、現在のアメリカでの物価上昇について簡単にまとめた後、その様な状況の中で、今後保有すべき銘柄を紹介していきたいと思います。

アメリカでの物価上昇の状況

まず初めに、現在のアメリカで起こっている物価上昇に関してその内容を概観していきます。

アメリカ労働省が毎月発表しているCPI(米国消費者物価指数)によると、今年に入って以降の同総合指数の前月比での変化(季節調整済み)は以下の通りとなっています。

  • 1月…前月比0.3%増
  • 2月…前月比0.4%増
  • 3月…前月比0.6%増
  • 4月…前月比0.8%増
  • 5月…前月比0.6%増

特に4月期の前月比0.8%の増加が大きなものとなっていますが、これは2008年以降で最も高いものとなっています。

続く5月、3月の前月比0.6%の増加もそれに次いで2番目に高いものとなっており、現在のアメリカでの物価上昇の深刻さがわかるものとなっています。

これらにみられる同指標の前月比での大幅な増加を引き起こしている要因としては、主にエネルギー価格の上昇、中古自動車を中心とした自動車価格の上昇、航空運賃の上昇の三つが挙げられます。

航空運賃の上昇に関しては、ワクチン接種拡大に伴って様々な理由での航空機での移動が再開され始めていることが原因であることは明らかです。

この傾向は今後ますます加速されることが予想できますが、最終的にはパンデミック以前の水準で落ち着いていくと思われます。

自動車価格の上昇に関しては、世界的な半導体不足による影響を無視することはできません。

多くの自動車メーカーが半導体不足を原因として今年度の生産台数の大幅な減少に関して明言しており、本格的な影響は下半期以降に顕著になることが予想されていますが、すでに新車の市場での流通量が減少しています。

人々の移動が活発化する中で、自動車への需要が高まっていますが、上記理由から新車の流通量が抑えられているため、特に中古車市場において、その取引価格の大幅な上昇がみられています。

これに関しては、半導体不足の根本的な解決がなされない限りにおいて、その傾向は今後も長続きする可能性があり、大きな不安材料となっています。

エネルギー価格の上昇に関しては、主には人々の移動が活発化したことによる二次的な需要によるものと言えるでしょう。

これに関しても、最終的には、パンデミック以前と同等の水準に収束、安定していくと考えられます。

今後インフレへと発展する可能性

今後この傾向がさらに拡大し、インフレへと発展するかどうかに関しては、半導体不足の状況がどのように変化していくかが一つの大きな焦点となるでしょう。

半導体不足がさらに深刻化していった場合、その物価への影響はますます広範囲なものになることは明らかです。

一方で、米当局はこれまで上で述べた状況に対して、物価上昇は一時的なものになるだろうという立場を続けていましたが、先日行われたFOMCでパンデミック下での金利政策について、23年末までの2度の金利引き上げの前倒しが見込まれるなど、その見解が揺れており、インフレや緩和縮小の前倒しに対する懸念が強まりつつあります。

そのような中で、ワクチン需要を背景に数年単位で安定的に推移することが予想され、かつ、景気の動向に左右されにくい医薬品セクターに属する銘柄を二つ紹介します。

ファイザー

企業概要

ファイザー(NYSE:PFE)はニューヨークに本社を置く大手医薬品会社です。

広範囲の治療分野に対して、医薬品、ワクチン、その他医療製品を開発しています。

新型コロナウイルスワクチンの研究開発及び販売も行っています。

業績について

最新決算である2021年度第1四半期決算についてみていきます。

同社決算の概要は以下の通りです。

  • 売上高…145.82億ドル(前年同期比45%増)
  • 純利益…48.77億ドル(前年同期比45%増)
  • 希薄化後一株当たり純利益…0.86ドル(前年同期比44%増)

アナリストらによる同社の業績予想を見てみると、売上高が136.5億ドル、調整済み希薄化後EPSの予想は0.7759ドルとなっています。

同社の実際の業績では売上高が145.82億ドル、調整済み希薄化後EPSが0.93 ドルとなっていることから、売上高、EPSともに事前予想を上回っていることがわかります。

これまでの株価の値動きと今後

同社株価は1996年頃から大きく上昇し、一時50ドル前後まで上昇しました。

しかしながら2000年から2009年頃にかけて下落トレンドを経験し、10ドル台前半まで株価を下げました。

その後株価は底を打ち、上昇トレンドに回帰、2018年から2019年まで45ドル前後の高値で推移しました。

しかしながら特許切れ医薬品事業を分離する計画を2019年の7月末に発表すると、同社株価は大幅に下落、その後から2021年初頭まで軟調な推移をしていました。

その後は現在に至るまで新型コロナウイルスワクチン需要などを背景に堅調な推移を見せ、現在は概ね38ドル-40ドルの範囲で取引されています。

事業分離を発表して以降低迷気味だった同社株価ですが、新型コロナウイルスワクチンで大きな売り上げを達成しています。

上述した2021年度第1四半期ではセグメント別決算において同ワクチンから35億ドルの収益が計上されています。

その他のセグメントでも堅調な業績がうかがえ、今後は新型コロナウイルスワクチンを大きな収入源としつつも、企業全体での成長が期待されます。長い歴史を持つ同社ですが、PERは10.3と割安であり、購入を検討する価値は十分あるのではないでしょうか。

モデルナ

企業概要

モデルナ(NASDAQ:MRNA)は、mRNAを用いた医薬品開発を行っており、がんワクチンなどを中心に様々な製品を研究開発しています。

新型コロナワクチンの開発も行っており、パンデミック下、特に2021年に入って以降注目を集め、大きく株価を上げています。

業績について

同社決算の概要は以下の通りです。

  • 売上高…19.37億ドル(前年同期比19.29億ドル増)
  • 営業利益…12.66億ドル(前年同期比13.97億ドル増)
  • 純利益…12.21億ドル(前年同期比13.45憶ドル増)
  • 希薄化後一株当たり純利益…2.84ドル(前年同期比3.19ドル増)

アナリストらによる同社の業績予想を見てみると、売上高が20.5億ドル、EPSの予想は2.43ドルとなっています。

同社の実際の業績では売上高が19.37億ドル、EPS が2.84ドルとなっていることから、売上高はアナリストらによる事前予想を下回っていますが、EPSは上回っていることがわかります。

これまでの株価の値動きと今後

同社は2018年末の上場以来、コロナショック直前の2020年初まで概ね20ドル前後で取引されてきました。

パンデミック下で注目を集め、2020年10月までは緩やかに上昇、以降は大きく値を上げており、2021年2月に180ドル台に到達しました。

その後一時軟調に推移しましたが、ワクチン接種拡大に伴う需要の増加とともに再び上昇トレンドに乗り、抒情来高値を更新しています。

現在は200ドル前後で取引されています。

同社は新型コロナウイルスワクチンで大きく業績を伸ばしており、今後のワクチン供給量の引き上げのための追加投資も実施しています。

2021年中に8億回―10憶回のワクチン供給を予定しており、2022年には最大30億回のワクチン供給を見込んでいます。

ワクチン接種に対する需要は少なくとも今後2、3年は続くと考えられており、しばらくは業績とともに株価も堅調に推移することが予想されるうえ、がんワクチン研究などで更なる飛躍も考えられます。

PERは8.24となっており、割安といえる上、現在6月初旬に記録した最高値からやや下落傾向にあり、買いのチャンスと考えられます。

参考:

Archived Consumer Price Index Supplemental Files

PFIZER REPORTS STRONG FIRST-QUARTER 2021 RESULTS

Moderna Reports First Quarter Fiscal Year 2021 Financial Results and Provides Business Updates

免責事項と開示事項 記事の作者、白紙は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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