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ウォーレン・バフェットがウェルズ・ファーゴ株をほとんど売却した理由

出典:Motley Fool

5月17日、規制当局に提出した文書から、ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社であるバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.A)(NYSE:BRK.B)がウェルズ・ファーゴ(NYSE:WFC)の株式をほぼすべて売却したことがわかりました。

「永久保有」を宣言していたウェルズ・ファーゴの株式を手放したことで、多くの市場関係者は驚きの声をあげています。

17日に提出した文書では、ウェルズ・ファーゴ以外にクレジットカード発行会社シンクロニー・ファイナンシャルの株式を全て手放したこともわかっています。

バフェット氏はこれらの動きに対する説明はしていません。

今回は、バークシャー・ハサウェイの一連の動きについて考察していきます。

ウォーレン・バフェットとウェルズ・ファーゴ

ウォーレン・バフェット氏は「バリュー投資の父」と崇められるベンジャミン・グレアム氏と出会って以来、わかりやすくそして流行り廃りのないビジネスを行っている企業に集中して投資を行うことで莫大な利益をあげています。

彼は短期的投資や超過リターンを目的としたアクティブ投資を否定しており、長期的に安定した業績を維持している銘柄を長期保有しています。

そんな彼のポートフォリオの中で、長い間保有上位銘柄として君臨していたのがウェルズ・ファーゴです。

1989年からたびたび買い増ししており、2018年にアップルが抜くまで保有比率トップでした。

2016年にウェルズ・ファーゴは架空口座スキャンダルが発覚しました。

これは、営業ノルマ達成のために顧客からの依頼がないにもかかわらず口座を開設し、振替、クレジットカードの発行などを繰り返していました。

これにより2億ドルあまりの罰金を支払い、顧客への損害賠償にも応じました。

また過去数年の間に5,300人を解雇しています。

商業銀行業務を行い、金融危機にも耐える堅実経営で有名なウェルズ・ファーゴがこのような不正を行ったことで、今まで築いた信用を大きく失いました。

しかし、バフェット氏はこのような不正があったにも関わらず、同社株式を売却するどころか買い増ししました。

2017年にFRBの規制に対応するために持ち株比率を10%未満に抑える必要があり、一部売却しました。

この時は規制に対応するための売却にすぎず、実際ポートフォリオ内でトップの座は維持したままでした。

しかし、そこから徐々にウェルズ・ファーゴ社を含む銀行株の投資額を減らし始めました。2014年の時点ですでに米大手銀行のビジネスは、数年前ほどの収益が期待できなくなっているとの見方を示しており、銀行株からの撤退は時間の問題でした。

たびたび銀行業界を見限ったわけではないとの表明を続けていましたが、バンクオブアメリカ以外の銀行株はすべて減らしています。

今回取りざたされているのは、保有しているウェルズ・ファーゴの株を前四半期と比較して99%も売却したことにあります。

今まで段階的に減らしてはいましたが、ここまで大規模な売却を行ったことで、バフェット氏の脱ウェルズ・ファーゴ、脱銀行株が意識されました。

では、どうしてバフェット氏はウェルズ・ファーゴを含む米銀行株を手放したのでしょうか。

バフェット氏と銀行株

バフェット氏が銀行株を手放しているのはなぜでしょうか。

前述したようにFRBの規制により、保有比率が10%を超えないように調整する必要があったことがあげられます。

銀行株自体で自社株買いが頻発しており、大規模な自社株買いが実施されたことで、バークシャーの保有比率が上がってしまったことも要因のひとつです。

加えてウェルズ・ファーゴは以前の不正があった際に経営者の交代に関して取締役会とバフェットは対立するなど、同氏からの評価が下がっていました。

ただ、規制だけや不正だけが理由ではなさそうです。

前述したようにバフェット氏は前から銀行業界の将来性に関して懐疑的な立場を表明しており、リスク回避的な行動に出たと考えられます。

ここ数年、バフェット氏は市場に対して明確な見通しを持てていないように感じます。

というのも元々彼が行っていた投資手法がうまくはまらなくなってきたからです。

彼は、自身が理解できるビジネスを行っている割安株に投資を行うことで利益を上げてきました。

しかしGAFAに代表されるようなITビジネスが出てきた当初は、そのビジネスモデルを理解できる人は少なく、また短い時間で市場環境が変化するためバフェット氏の手法がかみ合いませんでした。

実際、今でもアマゾンへの投資を躊躇したことについて後悔している旨をたびたび口にしています。

また途中からとはいえ買い始めたアップル株が順調に伸び、バフェット氏の収益を支えていますが、2020年に一部売却してしまいました。

このことについても年次株主総会で「おそらく間違いだった」と述べています。

真意は不明ですが、バフェット氏の近年の投資活動について多くの人が疑問を抱いています。

バークシャー・ハサウェイのリターンが2015年からベンチマークに勝てなくなっており、90歳となったバフェット氏の能力低下を指摘する人もいます。

銀行株の売却はこれらを背景としたバフェット氏の混乱があらわれているのかもしれません。

2020年のコロナウイルスによるパンデミックでバークシャー・ハサウェイは大きな損失を出しました。

この際に航空株と銀行株のほとんどを売却しましたが、結果的に見ればそれは失敗であった可能性があります。

コロナウイルスの混乱からすぐに市場は立ち直る姿勢を見せており、株価は上向いています。

もし仮に売却しなかった場合の評価益は、売却した実際の額より130億ドル以上も多かったことになります。

投資において「たられば」は無意味ですが、バフェット氏の投資活動にブレが出てきているように思えます。

バフェット氏が活躍した時代と比べて現在はさまざまな情報であふれ、市場のプレイヤーもめまぐるしく変化しています。

誰よりも早くバリュー株に目を付けるのはリスクがとても高く、しかし遅れて勝ち馬に乗る頃には環境もプレイヤーも変わってしまっている、そんな現在の状況に適応しきれていないのではないでしょうか。

バフェット氏の後継者の話が出ていたり、新しい銘柄をポートフォリオに加えたり、新しい動きが見えます。

尋常ではない環境だからこそ、バークシャー・ハサウェイの今後の動きに注目です。

まとめ

バフェット氏がウェルズ・ファーゴの株式をほぼすべて売却した理由について考察してきました。

実際のところは本人にしかわかりませんが、不正問題や規制、そして何より従来とは異なる市場環境への警戒が今回の行動につながったと考えられます。

「世界一の投資家」や「オマハの賢人」などと呼ばれているバフェット氏のことですから、何かもっと深い理由があるのかもしれません。

しかし同氏は詳しい説明を何もしておらず、様々な憶測が飛び交っています。

今回のことでわかることは、バフェット氏の言葉や行動を理由もなく信用し真似するのは注意が必要であるということです。

行動の裏には必ず原因があります。

わずかな情報からその行動の裏にある原因を自分なりに考え解釈していくことが重要です。

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