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2022年に解禁予定の外国株の信用取引について

出典:Getty Images

2021年5月現在、国内の証券会社では外国株の信用取引ができません。

そのため、米国株を含む外国株へ日本から投資する場合は中長期の保有による利益や、配当金を期待した投資が多いのが現状です。

しかし、2021年5月14日、金融庁は外国株信用取引に関する内閣府令案を公表し、投資家を保護する基準を厳格に定めたうえで、2022年を目標に外国株の信用取引の解禁することを明らかにしました。

金融庁の宣言通り2022年に解禁されれば、外国株投資の選択肢の幅が広がることは間違いないでしょう。

この記事では解禁予定の外国株の信用取引について解説していきます。

信用取引制度整備の経緯には近年の外国株の取引増加がある

金融庁による信用取引制度整備に至った理由には、近年、日本人投資家の外国株の取引数が増加した背景があります。

日本証券業協会では2020年11月18日に『外国株式信用取引の制度整備について(制度要綱案)』が発表されており、検討の経緯について外国株の売買の活性化をあげています。

参考:外国株式信用取引の制度整備について(制度要綱案)

日本証券業協会の調べでは日本における外国株市場は20兆円規模となっているようです。

また、楽天証券では2019年1月と2020年12月の米国株の取引件数が30 倍増加し、取引人数は15倍増加したデータを発表しています。

外国株の中でも米国株の取引数が大きく増加していることが分かります。

米国株を中心とする外国株取引の需要増加が発端となり、信用取引制度整備が開始されたといえるでしょう。

外国株信用取引制度の制度要綱案

日本株の信用取引の制度要綱では、最低保証金率は約定金額の30%と定められています。

金融庁は外国株においては最低保証金率が50%に規定される予定だと発表しています。

日本証券業協会ではより具体的な案を示しているので、日本株の信用取引と比較した制度の違いは下記のような条件になることが予想されるので下記にまとめました。

日本株の信用取引(一般信用) 外国株の信用取引
対象銘柄 各証券会社が選定した銘柄 日本証券業協会定めるガイドラインに適合する銘柄から各証券会社が選定したもの
口座管理 国内株式信用取引口座 外国株信用取引口座
最低保証金率 約定金額の30% 約定金額の50%
最低保証金 30万円 30万円相当を超える米ドル
最低保証金維持率 約定金額の20% 約定金額の30%

参考:日本証券業協会『外国株式信用取引の制度整備について(制度要綱案)』

日本証券業協会が定めるガイドラインは検討中であるため、現在の時点で信用取引の対象となる具体的な銘柄を判断するのは難しいでしょう。

また、最終的には一般信用取引と同様に証券会社が銘柄を選定する形となるので、証券会社ごとに信用取引できる銘柄に違いがあることが予想されます。

口座に関しては、国内株式信用取引口座とは別に外国株信用取引口座を開設する形となるようです。

保証金率と保証金維持率は外国株信用取引のほうが厳しい基準となっており、基準を割った場合は追加証拠金の差し入れ、または決済によって保証金率を維持することで、追証による強制決済を避けられるのは変わりません。

配当落調整金は、国内と海外の所得税の源泉徴収額の両方を差し引いた額が支払われるようです。

また、一般信用取引と同様に配当落調整金を売り建てた投資家が支払う場合は配当額と同額を支払う必要があります。

制度要綱から日本株の一般信用取引を原則として、外国株のリスクを判断したうえで保証金率、保証金維持率を適切な値に設定し、対象銘柄を限定することで、投資家の保護を考えた整備をすることが予想されます。

外国株を対象にしたCFDと外国株信用取引について

2021年現在でも、外国株でレバレッジをかけた取引をするならCFD(差金決済取引)を利用して、外国株や外国株を対象とする指数に投資が可能です。

この方法であれば、信用取引と同様に売りポジションを取ることもできます。

CFDと外国株信用取引の最大の違いは税制にあります。

CFDの税率は株式と同様に復興所得税を含めた20.315%ですが、税制区分は申告分離課税かつ「先物取引に係る雑所得」であるため株式の損益と損益通算ができません。

CFDの税制区分はFXと同様です。

よって、FXを中心に取引をしている投資家であればCFDのほうが税制的にメリットはありますが、株式を中心に取引している投資家は外国株の信用取引が解禁されたほうが税制的に有利になります。

ただし、現在検討されている外国株の信用取引は投資家保護の観点から投資できる銘柄が大きく制限されることが予想されます。

CFDにはこのような制限がないので、投資対象の幅広さはCFDのほうが優秀となる可能性は高いです。

まとめ

米国株を中心とした外国株の信用取引解禁は、現物かつ長期投資のみをおこなっている投資家からすれば必要ないかもしれません。

しかし、外国株の信用取引が整備されることで、外国株に興味を持つ投資家はさらに増えることが予想されます。

投資の選択肢の幅も広がるので、信用取引が解禁されるなら外国株投資を始めたいと考える方は、この機会に日本株だけでなく外国株にも興味を持っていただきたいと考えます。

ただし、投資家保護の基準が日本株よりも厳しいとはいえ、現物よりも損失が大きくなりやすく、為替リスクもあるので、実際に解禁された際にはリスクを理解してから始めるようにしましょう。

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