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金投資の基本情報・相場分析・最新パフォーマンスランキング(直近1年)【第1回】

出典:Getty Images

直近の米国市場では景気回復に伴う長期のインフレ加速や金利先高観が懸念され、5月11日にはハイテク株や景気敏感株の調整売りが目立ちました。

このような市場での動きや流れが、すぐに金投資に影響を与えるものではありませんが、長期のインフレについては警戒が必要です。

そして実際にインフレが長期にわたって現実のものとなると、未だにインフレヘッジの手段として有効な金にも多くの資金が流れてきます。

今回の第1回では、金投資に関する基本的な情報と金相場についての分析をお伝えしていきます。

そして次回第2回において、米ドルベースの金を原資産とする米国金ETFや産金会社の株式で運用される米国金鉱株ETFの中で、2021年5月26日時点における直近1年間のパフォーマンス・ランキングをご紹介します。

金への投資方法の種類~メリット・デメリット

金に投資する方法には様々な種類があり、それぞれ異なるメリット・デメリットがありますので、簡単にご紹介していきます。

金地金購入(金貨投資を含む)

金の地金を直接購入する現物購入や毎月一定の額を購入していく純金積立などであり、積立型は日本でもそれなりに人気があります。

金地金への直接投資の場合、手元に現物を置けるのでいざという時に安心です。

その反面、保管の手間や購入時に必要なスプレッド(小売価格の1.5%程度)や最低でも1%以上の売買手数料が発生します。

投資信託(非上場)・ETF(金ETFや金鉱株ETF)・金鉱株

現物保有が不要で取り組みやすい取引方法としては、資産運用の上級者向けとなる金先物取引や投資信託、金鉱株への投資の他、今回ご紹介する金先物価格に連動する金ETFや金の値動きに連動しやすい金鉱株ETFがあります。

これらの商品への投資は、現物を保有したいという投資家向きではありませんが、反対に現物を保有せず、間接的にしかも低コストで金に投資するのと同じような効果が得られます。

しかも、余程小さいファンドや小型株でない限り、いつでも売買可能な流動性があります。

また、ETFなら1万円未満と少額での資産運用が可能な点、さらに取引コストの面からもメリットが非常に大きい方法です。

レバレッジ・インバース型ETFを除き、投信や金ETF、金鉱株は証拠金が不要で、中長期保有の資産運用にも向いています。

税務上も総合課税で適用される所得税率によって高い税率となる可能性のある金地金や純金積立に対し、投信やETF、株式は現在20.315%の分離課税と有利です。

金先物取引

証拠金を入れてレバレッジを効かせた運用が可能で、短期で利ザヤを狙う方法として投資効率の面から有利なのが、金先物取引になります。

その反面、証拠金取引であることからヘッジ目的などによる短期投資向きとなり、リスクも高くなります。

取引には少なくとも20万円以上の証拠金が必要ですので、より上級者向きの取引となるでしょう。

金相場分析で重要な3つのポイント

金相場の値動きについて分析する際に関連性の高いものに、「インフレ率(物価上昇率)との相関関係」と「長期金利や金利(実質金利)との逆相関」、「米ドルとの逆相関」の3つがあります。

相場はファンダメンタルズだけでなく、テクニカル的な節目でも動いているため、一概に特定の要因だけで値動きを分析することはできません。

ただし、金相場の値動きを分析する場合、この3点についてはとりわけ中・長期投資の観点から重要になってきます。

インフレ率(物価上昇率)との相関関係

金価格との関連性が最も強く、将来的な値動きや方向性を占う上で重要なのが、米国のインフレ率(物価上昇率)と実質金利です。

インフレ率が上昇すると米ドルの価値が毀損するため、そのヘッジとして金が買われやすい地合いとなります。

そのため、インフレ率の上昇局面やインフレ継続が懸念されるような状況では、金が上昇しやすくなります。

反対にインフレ抑制のために金融引き締め策や金融緩和の打ち止めといった局面では、金は下落しやすくなります。

インフレ率については、CPI(物価指数)の推移を定期的にチェックしておくと役立ちます。

長期金利や金利(実質金利)との逆相関

金価格を分析する際には、長期金利や実質金利との逆相関もよく参考にされます。

長期金利が低下すると、金利がつかない金の投資妙味が増して買われやすくなります。

また、米ドル建ての金相場において、米国の名目金利から将来のインフレ期待値を差し引いたものが、実質金利です。

この際、よく用いられるのは、米国10年物価連動国債(インフレ連動国債)の利回りになります。

この実質金利の低下も金の上昇を促し、逆相関の関係になりやすくなります。

尚、米国物価連動国債はTIPS(Treasury Inflation Protected Securities)と呼ばれています。

TIPS利回りと金価格はこれまで逆相関にあることから、金価格を分析する上で大変参考となる指標です。

固定利率で発行されるTIPSは、消費者物価指数に連動して元本が変化します。

インフレ率が上昇する際には受け取り利息が増え、反対にデフレぎみになると利息が減るという国債です。

そのため、TIPS利回りが下がると金価格が上昇、上がると金は下がるという逆相関の関係にあります。

両者の逆相関はTIPS利回りが1%を切るかどうかが一つの分岐点となります。

TIPS利回りが1%を切ると金価格が上昇しやすくなります。

米ドルとの逆相関

米ドルの値動きも金価格とは逆相関にあり、金利ほどではありませんが、金価格を分析する際の参考にすることができると一般的には見られています。

逆相関にある理由は、金がこれまで米ドルのリスクヘッジのための代替資産と見なされてきているためです。

このため、米ドル上昇時には金が下がりやすく、米ドル下落時には金が上がる可能性が高くなります。

実際にリーマンショック後の米国の大規模な金融緩和がおこなわれた際には、米ドル安となる一方で金が大きな上昇を見せました。

また、直近でも2020年9月以降に新型コロナウィルスの感染が再び拡大したことを受け、ドル高が進むと金価格は軟調に推移しています。

ただし、米ドルと金が互いに常に逆相関であるとは限りません。

米ドルと金が同時に上昇ないし下降する局面もあるからです。

とりわけ、昨今の為替相場では有事の際の米ドル買いが顕著ですので、リスクオフ相場になっても金も米ドルもともに上がる可能性は無視できません。

あくまで参考程度に考えておくほうがいいでしょう。

また、やっかいなのは、ドル円ベースとなる金投資では金上昇時に円高ドル安となれば、上昇分が相殺される結果となりやすい点です。

為替差損によるリターンの目減りを避けたい場合、ゴールドETFでは最大の資産規模を誇るSPDRゴールド・シェア(NYSE:GLD、東証:1326)に為替ヘッジのついたETFがあります。

注意したいのは、ヘッジコストもそれなり発生するため、リターンを減らしてしまう点です。

とりわけ日米の金利差が拡大していく状況では、ヘッジコストも高くなって効果を減らしていくため、本末転倒の状況になりかねません。

1年未満の短期でリターンを狙っていくような場合には有効ですが、中長期での保有を考えた場合、為替リスクについては他の方法で対処したいところです。

直近の金の値動き分析

まず金投資に関する基本的な情報をお伝えしたところで、次にNY金先物の値動きをチェックしてみます。

まずはXAU/USDの週足チャートから分析していきましょう。

(出典:TradingViewより筆者作成)

金は2020年の8月に入って、NY金先物も現物もともに2,000ドル台に入り、過去最高値を更新しています。

これは景気低迷が長引くことが懸念された結果として米国長期金利(米10年国債利回り)が大きく低下し、同年8月4日には0.50%まで低下したことが大きな要因となっています。

同時にドル安が進行したことで、ヘッジとしての金が買われやすい地合いとなったことも要因に挙げられます。

最高値をつけてから2021年初頭にかけては、長期金利が急速に上昇してきたことから、金は下落基調となりました。

さらに4月頃からの長期金利の下落と予想インフレ率上昇から実質金利が低水準にとどまり、金は再び上昇トレンドを築いて今に至っています。

テクニカル的には2020年の8月に付けた最高値までに推進波となる5波動を終えてから、2021年の3月までで修正の三波を終えているように見えます。

フィボナッチリトレースメントを引いてみると、右側の推進波からの50%半値戻しまで下落した後、今は新たな推進波を形成するかといった状況です。

次に日足チャートとインフレ率の推移を見てみます。

XAU/USD日足チャート

(出典:TradingViewより筆者作成)

U.S. Consumer Price Index (CPI) YoYチャート

(出典:Investing.com)

XAU/USDの日足チャートとインフレ率推移です。

2つのチャートを比較してみると、インフレ率が2021年2月、3月、4月と軒並み上昇しているのに連動して、金現物も上昇しているのがわかります。

インフレ率の上昇とともに名目上の米国長期金利も頭打ちとなってきています。

そのため実質金利の低下に呼応するかのように逆相関の関係にある金が4月から新たに上昇トレンドを構築してきています。

日足チャートのほうでは、先ほどお伝えした昨年8月からの強い上昇トレンドの後の修正波となる下落トレンドが見られます。

そして2021年3月中に明確なダブルボトムをつけた後、上昇トレンドが形成されています。

しかも、週足チャートを見るとわかるように、このダブルトップは直前の推進5波動となる強い上昇トレンドの50%戻しのあたりできれいに反転し、構築されています。

この明確なダブルトップとフィボナッチの半値での反転から、今の上昇トレンドはしばらく継続し、新たな推進波となる可能性もあります。

ただし、注意が必要なのは、FRBのインフレ対応です。

今回のインフレ率上昇について、FRBのパウエル議長は「一時的なもの」という認識を示し、金融緩和策の継続を示唆しています。

しかし、いつFRBが方針転換して引き締め策に転じたり、少なくとも緩和策を完全に打ち止めするとも限りません。

そのようにしてインフレに終止符が打たれ、実質金利も上昇してくるとすれば、金相場の上昇トレンドにも終止符が打たれる可能性があります。

年内は少なくとも緩和策を継続させるとの見方もありますが、注意が必要なのは確かです。

次回第2回については、いよいよ米国金ETF(Gold ETFs)と金鉱株ETF(Gold Mining ETFs)最新パフォーマンス・ランキングについてご紹介していきます。

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