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IPOの再上場案件とは?公募割れを起こした再上場企業のその後も解説

出典:Getty Images

IPO株は上場後に値上がりしやすいという理由から人気の高い株式です。

しかし、すべてのIPO株が値上がりするとは限らず、特定のIPO株は公募割れを起こす可能性もあります。

特に再上場案件は、ほかのIPOと比べても公募割れをしやすい傾向にあります。

そこで今回はIPOの再上場案件について解説します。

IPOの再上場案件

IPOの再上場案件とは、上場廃止となった株式が再び取引所に上場するIPOのことを指します。

取引所に上場した企業は、一定の条件を満たせなくなると上場廃止となり、取引所での売買が停止となります。

これを上場廃止と呼びます。

再上場は上場廃止となった企業が、再び証券取引所に上場することですが、「再上場」と「新規上場」に制度の面で大きな違いはありません。

基本的に経営破綻や上場廃止基準に抵触するなどの理由で上場廃止となった企業が再上場する場合、新規上場と同じ審査を受けて問題がなければ再上場となります。

つまり、企業の再上場は制度の面では基本的に大きな問題はなく、審査基準を満たせる企業なら上場することは可能です。

しかし、再上場案件のIPOとしてみた場合、投資家は注意が必要です。

IPOの再上場案件の事例

記事執筆時点で再上場し、現在も上場を続けている企業は40社以上あります。

過去10年間のIPOの再上場案件の結果は次のようになっています。

  • 初値が公募価格を上回る…5件
  • 初値が公募価格と同じ…2件
  • 初値が公募価格を下回る…10件

初値は上場した時に最初に付いた株価のことで、公募価格を上回るとそのままの勢いで高値を付けることがあります。

一方、初値が公募価格を下回ることを公募割れと呼び、そのまま株価が低迷しやすくなります。

IPOの再上場案件の事例を振り返ると、初値が公募価格を下回るケースが多いです。

公募価格を上回るケースでも、初値上昇率が10%を超えているのは5件中2件です。

IPOは最近のブームの影響もあり、総じて良い結果を出しています。

しかし、再上場案件のIPOとなると投資家の反応が鈍くなりやすいです。

再上場案件のIPOが公募割れしやすいのは、一度企業が上場廃止をしているため信頼できない、再上場したことで企業がさらに成長するとは思えないといった、ネガティブな理由が考えられます。

そして、最大の理由がIPOの再上場案件が大株主の利益確定のために実施されていることが多いからです。

IPOで利益確定

企業が新規上場を目指すのは、新規上場をすることで新たに資金を調達し、企業活動を活発化させ次のステージへ進むため以外に、もう1つあります。

それは、大株主の利益を確定することです。

経営破綻により上場廃止をした企業の多くは、上場廃止後にファンドに株式を売却して経営を立て直しています。

ファンドにしてみれば、IPOは保有している企業の株式大量に売却して利益を確定することのできるイベントになります。

実際、売出株数と公開株数の比率を見ると、ファンドがIPOを利益確定のイベントとして利用していることは明らかです。

売出とは、大株主が保有している株式を上場させることで、IPO時の利益は企業ではなく大株主に渡ります。

過去10年間で、公開株数に対して売出株数の割合が90%を超えた再上場案件のIPOは12件もあります。

つまり、ファンドはIPO後に企業が大きく成長することよりも、保有している株式を大量に売却するためにIPOを実施しているのです。

そのため、再上場案件のIPOは人気が集まらず、公募割れを起こしやすいと言われています。

公募割れを起こした再上場企業のその後

直近で公募割れを起こした再上場企業は次の2つです。

  • 雪国まいたけ
  • ローランド

どちらも公募割れとなった再上場案件ですが、その後の株価を調べると正反対の結果となっています。

それぞれ、順番に解説します。

雪国まいたけ

雪国まいたけは、まいたけやエリンギなどのキノコの加工食品・製造販売会社です。

2015年に東証2部における上場を廃止して、2020年9月に東証1部に再上場しました。

想定時価総額900億円以上の超大型案件と期待されていましたが、公募価格2,200円に対して初値は2,100円の公募割れとなっています。

その後、10月下旬から12月中旬にかけて株価は下落傾向に入り、一時は1,620円まで下落しています。

現在は持ち直しつつありますが、記事執筆時点での株価は1,770円で、IPOの初値を下回っている状況が続いています。

IPO時は鍋需要や巣ごもり需要があると期待されていましたが、2021年5月12日の決算を見る限り売上高はそれほど上昇しておらず、今期の営業利益や純利益は下がる見通しです。

もっとも、水産・農林業分野の不調は雪国まいたけだけではありません。

日本水産やホクトなどの決算も減益、あるいは現状維持という結果が目立ちます。

コロナの影響により外食需要が大幅に減ってしまった影響が大きいと考えられます。

ローランド

ローランドは、電子楽器や電子機器などの製造販売・輸出入を行なう企業です。

2014年に東証1部における上場を廃止しましたが、2020年12月に東証1部に再上場しました。

想定時価総額890億円以上の超大型案件と期待されていましたが、公募価格3,100円に対して初値は2,954円の公募割れとなっています。

公募割れを起こした要因は幾つかあり、1つは事業の立て直しに成功したものの、利益はそれほど上昇していなかったことです。

IPO後にさらに成長するイメージは描きにくく、公募ゼロの再上場案件IPOということもあり、公募割れを起こす可能性は高いと予想されていました。

実際、ローランドのIPOは公募割れを起こし、2020年年末時点での株価は3,150円と公募価格と同程度でした。

しかし、2021年1月よりローランドの株価は上昇傾向にあり、記事執筆時点では6,220円まで上昇しています。

約半年で2倍にまで株価が上昇した背景には、2021年5月に発表された決算で大幅増収が発表されたのが挙げられます。

ローランドの決算短信を読むと、コロナの影響により自宅で楽器演奏に挑戦する、あるいは再開する人が増えて、積み上げた在庫が当初の想定以上の速さで消化されたことが売上好調の理由です。

同時に、海外工場の稼働率が予想よりも低下しなかったこともあり、想定以上の出荷数となったことも大きく影響しています。

想定以上の収益拡大がポジティブな材料となり、短期間で株価を大きく引き上げています。

まとめ

再上場案件のIPOはサンプルが少ないため、絶対とはいえませんが、IPO後に公募割れを起こす可能性は高いです。

雪国まいたけのように、公募割れとなったあとも株価が低迷することも少なくありません。

一方で、ローランドのように、IPOの再上場案件でも需要がマッチすれば再上場後に大きく飛躍できます。

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