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バフェットのポートフォリオの直近の動き。購入した銘柄と売却した銘柄

出典:Motley Fool

3月末時点でのバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.A)(NYSE:BRK.B)の上場株式保有について、SECへのファイリングが先日公開されました。

ニュースにもなっていたので、既にご存じの方も多いかもしれませんが、その動きの全体観とその背景にある理由を考えてみたいと思います。

今回発表されたポートフォリオを、3カ月前のものと比較して見える動きは概ね以下のようなものでした。

  • 新規購入:エーオン(保険ブローカー)
  • 売却(ほぼ全売却):ウェルス・ファーゴ(NYSE:WFC)、バリック・ゴールド(NYSE:GOLD)

保有上位に入ってくるような大きな購入は、エーオンの1件だけです。

一方、大きな売却では、ほぼゼロになったウェルズ・ファーゴ。この二つが最大の動きです。

これ以外で、それなりに目立った動きとして上げられるのは、昨年の第3四半期(7-9月期)にバスケットを行った薬品銘柄の大幅削減です。

また、同じく、昨年バフェットが買って話題になった金鉱株バリック・ゴールドも早くも消えています。

昨年の第4四半期(10-12月期)にポジションを作り始めたばかりのシェブロン(NYSE:CVX)も早くもポジションを半分にしています。

投資ホライズンは永遠と言っていたバフェットも、想定外のことが多くて比較的短期で動いているのか、あるいは後継者と言われるテッド(ウェシュラー)、トッド(コームス)の影響もあるのかもしれません。

大きな動きを個別に整理して背景も考えてみたいと思います。

新規購入のエーオン

今回の発表で新規購入はエーオンだけでしたが、加えて保険ブローカーのマーシュ&マクレナン(NYSE:MMC)も買い増しをしています。

この二つは、まとめて考えた方が良さそうです。

その前に、まず、エーオンについて簡単にご紹介しておきましょう。

世界有数の保険ブローカーで5つのビジネスをしています。

企業向けリスクソリューション(Commercial Risk Solution)、再保険ソリューション(Reinsurance Solution)、退職給付ソリューション(Retirement Solution)、ヘルスソリューション(Health Solution)そしてデータ分析サービス(Data & Analytic Services)です。

2021年上期に予定されているWillis Towers Watsonとの合併が完了すれば、ライバルのマーシュ&マクレナンを越えて、業界世界最大手になる予定です。(EU、米国の当局の認可待ちです)

ROEの非常に高いビジネス(2020年は65.4%、2021年の予想も55%と高い)であり、保険会社そのものとは違い、リスクを直接保有する訳ではないので、より安定的なビジネスと言えます。

バークシャーが保険会社であることから、保険ブローカービジネスの特性もよく分かった上での購入かと思います。

売却したウェルズ・ファーゴ

銀行全体を否定的に見ての売却ではなく、これはあくまでウェルズ・ファーゴ固有の問題での売却と思われます。

長い間バフェットのお気に入り銘柄であり、30年以上保有していましたが、それを見限ったバフェットはどんな思いだったのだろうと想像してしまいます。

1990年に同社の発行済み株式の10%を保有した時、その保有は狂気じみていると批判されていました。

銀行ビジネスについて、彼は、経営がしっかりしていれば、必ず儲かるビジネスだと考えていました。

そして、当時のウェルズ・ファーゴには、カール・ライカ―トとポール・ヘイゼンという業界トップクラスの経営者がいました。

しかし、30年の間に経営者も交代し、銀行のカルチャーも腐敗していったようです。

そして、いくつかの不祥事も起きています。

バフェットはそのカルチャーの改善の必要があると信じていました。

その必要を主張していたものの、昨年の経営者の交代でウェルズ・ファーゴの取締役会とバフェットは対立し、取締役会の決定に失望したと言われています。

取締役会が選んだ経営者は、チャールズ・W・シャーフという人物です。

元VISAのCEOや、BNYメロン(銀行)の元CEOを務めています。

VISAの株価は改善しましたが、BNYではダメでした。

VISAは銀行ではないので、やはり銀行ビジネスの成功者でこの銀行のカルチャーの改善を可能とする人物に託すべきであり、シャーフ氏は適任とは考えていないということのようです。

その対立が今回の保有の変化(売却)に表れたようです。

早々に売却を始めた薬品株

以前、私も記事にまとめましたが、バフェットは薬品株に興味を持っていましたが、買うチャンスに恵まれず、昨年、20年待って初めて4社をバスケットで購入しました。

バフェットも使うバスケット・アプローチを個人投資でも利用する方法

薬品業界が良さそうだと思っても、どの会社を買って良いかの優劣が付けられないときにバスケットで買うという方法を過去にも行っています。

昨年、買ったのは、ファイザー、アッヴィ、メルク、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)の4銘柄です。

そして、昨年の第4四半期(10-12月期)には、早くもファイザーを売却。

今回は、アッヴィは1割削減、メルクは1/3削減、BMYは約7%削減。

全体に大きく削減しています。

保有額的には、アッヴィ>BMY>メルクという順番です。

まだまだ見捨ててはいないが、以前ほど良いとは思えなくなっているようです。

民主党政権になったことで、薬品会社へのプレッシャーは強くなることが想定されるので、以前ほどの確信を持っていないのかもしれない、という感じかもしれません。

購入理由が不明瞭なバリック・ゴールド

バフェットはそもそも金への投資というのは、何も生まないので投資対象としては好きではないと公言していました。

そのため、バークシャーのポートフォリオにバリック・ゴールドが見えた時、多くの人が驚きました。

ただ、バークシャーのバリック・ゴールドの保有が明らかになったころには、既に金は下落過程に入ってきていました(昨年8月初旬がピーク)。

購入の理由は何だったのでしょうか?明確なところは分かりません。

バークシャーの日々のビジネスでインフレを感じていると、株主総会でも言っているくらいなので、普通であれば、金価格は上昇し、金鉱株はそれ以上に上昇することが多いと言えます。

当初はそれを狙ったのではないかと思われます。

そのストーリーが変わったと見ているのでしょうか?ここは謎です。

ポジションを半分に減らしたシェブロン

この株もポジションを作り始めてすぐに半分削減しています。

このポジションに関しては、気候変動などに感心を持つ機関投資家などから批判が出ていましたが、年次株主総会のQ&Aで彼は、そうした批判に真っ向からその投資の正当性を述べていました。

「シェブロンは邪悪な会社ではないし、持っていることに良心の呵責は感じない。たとえ、会社全体を保有していても、違和感はないだろう」とまで言っています。

ところが、完全売却ではないものの、半数を売却しています。

彼がESG/SDGsの流れに屈したとは思いません。

とはいえ、全体の流れからすれば、石油産業は長期的にはやはり厳しくうつります。

彼の過去の苦い経験からすれば、いくら良い企業でも衰退産業では厳しいというのは分かっているはずです。

バークシャーのポートフォリオの今後

いろいろな動きがあるなかで、ポートフォリオの上位に入っている銘柄でやはり異色なのが、中国のBYD(OTC:BYDDY)と日本の伊藤忠です。

バフェットは今年も円債の発行をして円の調達をしているので、更に買い増しをする可能性があります。

そして、今回の動きを見て、大きなメッセージとして感じ取れるのは、バフェットは売り越しでキャッシュが更に積みあがっていることです。

彼にとっては、割安で良いビジネスが買えなくなってきている状況が、ますますひどくなってきているということかと思います。

彼の投資スタイルである、本当に良い投資先(優れたビジネスを割安で買う)を見つけたら一気に大きく投資する、ということがなかなか難しい状況であることを物語っています。

もう一つ感じるのは、もうバークシャーのポートフォリオはバフェットのポートフォリオではなく、テッドやトッドも加わったバークシャーのポートフォリオになってきたということです。

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免責事項と開示事項 記事の作者、松本義和は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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