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【米国上場コモディティETF】最新パフォーマンスランキング2021年5月

ETF
出典:Getty Images

コモディティはどうやら今後、長期にわたって急成長を遂げるという声が海外を中心に高まっています。キーワードとなっているのは、「コモディティ・スーパーサイクル」や「ペントアップ・ディマンド」、「EV化」です。

ワクチン接種が進み、新型コロナが終焉して経済の完全復活が実現すると、その流れがコモディティ市場を大きく引き上げるとする専門家の予測も多くなっています。

また、自動車のEV化が本格化すると銅を中心として、これまたコモディティ市場全体の上昇に大きく影響するという声も聞かれます。

そこで今回はコモディティ・スーパーサイクル到来が期待される同セクターの状況についてお伝えするとともに、最新の米国上場コモディティETFのパフォーマンス・ランキングをご紹介していきます。

今後大きな伸びが期待されるコモディティ・セクター

今年2月の欧米のマーケット関連のニュース記事では、「Commodity Super Cycle」が到来し、コモディティ市場全体が今後長期にわたって上昇していく可能性についてたびたび伝えられていました。

コモディティのスーパーサイクルとは、原油、ガス、貴金属、穀物、畜産物といった商品相場が今後数十年単位で上昇を継続していく時期のことです。

これまでのスーパーサイクル

これまで見られたコモディティのスーパーサイクルですが、本当の意味でのスーパーサイクルは3つほどに限定されていると言われています。

最初のものは、1910年頃のアメリカの急速な工業化、次に1950年頃の第二次世界大戦後のドイツと日本の再工業化 、そして2000年初頭のBRICS諸国の成長が挙げられます。

このうち、直近のサイクルは2000年に中国が世界貿易機関 (WTO) に加盟し、経済の近代化を開始した時に始まっています。

その急速な工業化と労働者の都市への大量移住は建築ブームをもたらしました。

インフラへの積極的な投資により、中国はほとんどの商品分野で世界最大の消費国となっています。

このサイクルは2008年の金融危機によって一時中断されたものの、大規模な中国当局による景気刺激策によって需要が回復しました。

直近のスーパーサイクルは原油の供給過剰が始まる頃の2014年まで続いて終焉を迎えています。

世界的なペントアップ・ディマンドへ高まる期待感

コモディティのスーパーサイクルが期待される要因にはいくつかありますが、その一つが世界的な「ペントアップ・ディマンド」への高い期待があります。

このペントアップ・ディマンドといいう言葉もたびたび欧米のマーケット関連記事に登場しています。

ひと言でいえば、コロナが納まればこれまで抑制されてきた人々の消費意欲や消費活動が一気に戻り、爆発的な経済成長が見込めるということを表しています。

現在世界的に進んでいるコロナワクチン接種がその効果を発揮してコロナウィルスが食い止められれば、自由に外出したり、海外旅行への制限もなくなってきます。

レストランで思う存分食事をしたり、コンサートやサッカーなどスポーツ関連の観戦も活発になることが容易に想像できます。

もし、そのような状況になった場合、人々の活発な消費活動があらゆる商品相場を押し上げる要因になるだろうと予測されているわけです。

とりわけ、航空会社など輸送関連が伸びれば、原油需要が拡大して原油価格を押し上げ、他の商品相場にも波及していくことが考えられます。

FRBによる当面の金融緩和姿勢継続への期待とインフレ率上昇

FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は今年に入って上昇を見せている米国のインフレ率上昇について、一時的なものという認識を示しています。

これはインフレ率が上昇している現状をある程度までは認め、当局が進めてきた金融緩和姿勢を現状では継続していく意思を示していることになります。

この背景にはFRBはインフレ率上昇よりも、雇用の伸びを重要視していることが一つの理由として挙げられます。

インフレ率の上昇はコモディティ相場にはプラスに働く要因となります。

実際に以下のチャートを見ると、コモディティの代表的な指標の一つである「ロイター・コアコモディティーCRB指数」とインフレ率の上昇には相関性があることがわかります。

ロイター・コアコモディティーCRB指数とインフレ率比較チャート

(出典:Tradingviewより筆者作成)

EV化の世界的な加速でさらなる伸びが期待できる銅

上記の要因がそのままコモディティのスーパーサイクルの到来を期待させるのに十分なものかは現時点ではわかりません。

しかし、ヨーロッパを中心に進んでいる、ガソリンを中心とした化石燃料を使用する車の新車販売禁止に対する世界的な流れから、EV化は近い将来確実に進むとされています。

そうなると今以上に銅への需要が高まることは確かでしょう。

高性能な電池にはリチウム、コバルト、硫酸ニッケルといった金属が必要です。

また、持続可能性への取り組みが重要視されている昨今のESGの観点から、再生可能エネルギーによるエネルギー確保の流れも着実に進んでいきそうです。

銅は再生可能エネルギーの主役となりそうなソーラーパネル、風力タービンの建設や5Gソリューションのためにも重要な役割を担います。

国際貿易・鉱山会社のグレンコアによれば、世界の銅需要は今後30年間で倍増すると推定されています。

その一方で、新しい鉱山を開発するための設備投資は、必要な額を大幅に下回っているとも警告しています。

鉱山の開発には通常7年から10年かかるものの、コスト削減のために銅生産者は過去数十年にわたり、探査予算を削減してきています。

過去30年間で224件の大きな銅鉱床が発見されていますが、そのうちまだ評価中ないし開発中のものが144件もあり、探査から生産への転換率は非常に低いのが実態となっています。

鉱山の開発サイクルが非常に長く、また予測される急激な銅需要の増加に供給が追い付かない現状を考えると、銅の価格は今後上昇する可能性が非常に高まりそうです。

米国上場コモディティETF直近1年間パフォーマンス・ベスト3

コモディティ市場の将来や現状についてお伝えしたところで、次に米国上場コモディティETFの直近1年のパフォーマンスでベスト3となったファンドをご紹介します。

いずれも、商品指数連動型の幅広い商品に分散投資されているファンドが対象であり、貴金属など特定の商品に運用が絞られている商品はランキングに入っていません。

2021年の直近1年間(2021年5月28日現在)リターンが最も大きかった商品指数に連動するタイプのコモディテイETFは、以下の3つとなっています。

各ETFについては、後ほど詳しくご紹介していきます。

米国コモディティETF直近1年間パフォーマンス・ベスト3

(直近1年間1-Year Daily Total Return、2021年5月28日現在)

順位 ETF名称 直近1年間

パフォーマンス

純資産総額
1位 iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG) 62.54% 13億6,840万米ドル
2位 インベスコ・DB・コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンドETF(DBC) 61.88% 24億8,400万米ドル
3位 インベスコ・オプティマム・イールド・ディバーシファイド・コモディティ・ストラテジーNo K-1ETF(PDBC) 56.68% 48億1,000万米ドル

(上記データ出典:ブルームバーグ、モーニングスターおよびヤフーファイナンスより筆者作成)

米国金ETFを個々に比較した場合、他のセクターのETFと異なる傾向としてはどの金ETFでもパフォーマンスに大きな違いが無いことが挙げられます。

また、金ETFの運用額が大きくなるほど、手数料も若干ですが高くなる傾向も見てとれます。

以上を踏まえて、上位3つの金ETFについて、その詳細を見ていきましょう。

iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト

ファクトシート(2021年5月28日時点)

ファンド名 iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト
年初来上昇率 25.93%
直近1年上昇率 62.54%
運用資産残高(AUM) 13億6,840万米ドル
経費率 0.75%
年間配当利回り 0.00%
投資対象資産 商品
投資対象セクター 商品(コモディティ)
投資対象国・地域 投資対象国・地域
ベンチマーク S&P GSCI Total Return Index
上場市場 米国 NYSEアーカ
ファンド運用開始日 2006年7月10日
運用会社 ブラックロック

ファンド主要構成

主要エクスポージャー(先物のみ) 保有比率 先物市場
WTI原油 15.7% NYMEX
北海ブレント原油 12.2% ICE-EU
8.6% NYMEX
トウモロコシ 6.8% ECBOT
6.1% LME
シカゴ小麦 5.0% ECBOT
大豆 5.0% ECBOT
アルミニウム 4.8% LME
生牛 4.8% GLOBEX
ガスオイル 4.1% ICE-EU
天然ガス 3.7% NYMEX
RBOBガソリン 3.4% NYMEX
ヒーティング・オイル(灯油) 3.0% NYMEX
豚赤身肉 2.9% GLOBEX
カンザスシティ小麦 2.2% ECBOT
粗糖 2.1% ICE-US
飼育牛 1.9% GLOBEX
綿花 1.7% ICE-US
亜鉛 1.4% LME
ニッケル 1.3% LME
コーヒー 1.1% ICE-US
0.9% LME
0.7% NYMEX
ココア 0.6% ICE-US

上記データ出典:ブラックロック、ブルームバーグ、モーニングスター、etfdb.comおよびヤフーファイナンスより筆者作成

※2021年4月30日時点のデータかつ先物エクスポージャーのみ。運用パフォーマンスのデータ取得基準日2021年5月28日とはデータ取得日が異なる点にはご注意ください

iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(以下、GSG)は、純資産残高ベースで長い間米国第1位を維持し続ける、パッシブ型のブラックロックのコモディティETFです。

ブラックロックで運用されているコモディティETFには、他にゴールドETFの代表格とも言えるIAU(iシェアーズ・ゴールド・トラスト)とSLV(iシェアーズ・シルバー・トラスト)があります。

GSGは、 S&P GSCI Total Return Indexをベンチマークとしています。

GSGの採用銘柄は、NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)、ECBOT(シカゴ商品取引所 / 電子取引)、ICE-US(インターコンチネンタル取引所 – アメリカ)、CME GLOBEX(シカゴ・マーカンタイル取引所 / 電子取引)、LME(ロンドン金属取引所)、ICE-EU(インターコンチネンタル取引所 – ヨーロッパ)といった主要な商品取引所で取り引きされている銘柄から構成されています。

コモディティETFでも商品指数ベースのETFで代表的な商品としては、このGSGと次にご紹介するインベスコのDBCやPDBCが挙げられます。

GSGのほうは24銘柄の商品先物に分散投資されているのに対し、インベスコのDBCとPDBCは14銘柄となっています。

いずれもエネルギーや貴金属で運用されていますが、GSGの運用対象は小麦や大豆といった農産物や肉牛などの畜産物のウエイトが高いという特徴があります。

従って、GSGのほうがより広範囲にリスク分散運用がされていると言えるでしょう。

GSGの経費率0.75%は、DBCの0.88%より低く、PDBCの0.68%よりは高いといったレベルで大差ありません。また、直近1年の運用パフォーマンスやトラッキングエラーにも大きな差が見られません。

選ぶ際の決め手となるのは、自分のポートフォリオに農産物や畜産物へのエクスポージャ―をどれくらい取るべきか、といった点になるでしょう。

ただし、他に農産物や畜産物を運用対象にしているコモディティETFや関連する個別銘柄を保有しているケースは個人ではあまり無いことかもしれません。

そうなるとより広範囲の商品を運用対象とするGSGのほうが、個人投資家には運用しやすい商品となるでしょう。

現在、大手ネット証券のマネックス証券や楽天証券、サクソバンク証券で取り扱われているので、購入しやすいという点も挙げられます。

インベスコ・DB・コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンドETF

ファクトシート(2021年5月28日時点)

ファンド名 インベスコ・DB・コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンドETF
年初来上昇率 27.22%
直近1年上昇率 61.88%
運用資産残高(AUM) 24億8,400万米ドル
経費率 0.88%
年間配当利回り 0.00%
投資対象資産 商品
投資対象セクター 商品(コモディティ)
ベンチマーク DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Return
上場市場 米国 NYSE アーカ
ファンド運用開始日 2006年02月03日
運用会社 インベスコ

ファンド主要構成

主要エクスポージャー(先物のみ) 保有比率 先物市場
WTI原油 14.512% NYMEX
RBOBガソリン 14.389% NYMEX
ヒーティング・オイル(灯油) 14.186% NYMEX
北海ブレント原油 13.090% ICE-EU
9.823% LME
アルミニウム 8.032% LME
トウモロコシ 5.708% ECBOT
5.643% NYMEX
大豆 5.618% ECBOT
粗糖 5.188% ICE-US
小麦 4.741% ECBOT
亜鉛 4.246% LME
天然ガス 3.724% NYMEX
1.640% NYMEX

上記データ出典:インベスコ(USサイト)、ブルームバーグ、モーニングスター、etfdb.comおよびヤフーファイナンスより筆者作成

インベスコ・DB・コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンドETF(以下、DBC)は、ETFプロバイダーとして純資産残高ベースで米国第4位のインベスコによって運用されている、パッシブ型コモディティファンドです。

インベスコの場合、次にご紹介するPDBCがアクティブ運用型のコモディティETFもあります。

DBCは、DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Returnをベンチマークとしています。因みにDBIQのDBとは、何かと問題の多いDeutche Bank(ドイツ銀行)のことで、同行が公表するインデックスになります。

DBCの採用銘柄は、NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)の他、ICE-US(インターコンチネンタル取引所 – アメリカ)、LME(ロンドン金属取引所)、ICE-EU(インターコンチネンタル取引所 – ヨーロッパ)で取り引きされている銘柄によって構成されています。

DBCもPDBCも共に14銘柄の商品先物で運用されています。

GSGよりも商品の組み換えが早い傾向が見られ、2年ほど前には運用対象となっていなかった、小麦や大豆といった農産物や肉牛などの畜産物も今では運用対象になっています。

DBCやPDBCの特徴としては、先ほどお伝えしたGSGと違ってエネルギー関連の割合が高い点が挙げられます。

とりわけWTI原油などの石油関連の割合が高く、全エクスポージャ―の50%を超えています。

米国経済を筆頭に世界経済は少しずつ上向き傾向にあり、原油への需要も回復しつつあります。

今後各国のワクチン接種効果などによって旅行需要が回復し、航空関連を含めた輸送関連全体が大きく伸びてくれば、石油割合の高いDBCやPDBCはGSGよりもより大きな伸び代がありそうです。

しかしその一方で、インド変異株など新たな脅威も報道され、原油関連の需要復活がいつ本格化するかは未知数です。

そういう意味では、よりリスク分散がされているGSGのほうが、個人投資家にはポートフォリオとして組み込みやすいかもしれません。

尚、DBCは2021年5月末現在でサクソバンク証券のみの取扱いとなっています。

インベスコ・オプティマム・イールド・ディバーシファイド・コモディティ・ストラテジーNo K-1ETF

ファクトシート(2021年5月28日時点)

ファンド名 インベスコ・オプティマム・イールド・ディバーシファイド・コモディティ・ストラテジーNo K-1ETF
年初来上昇率 24.16%
直近1年上昇率 56.68%
運用資産残高(AUM) 48億1,000万米ドル
経費率 0.68%
年間配当利回り 0.01%
投資対象資産 商品
投資対象セクター 商品(コモディティ)
ベンチマーク DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Return
上場市場 NasdaqGS
ファンド運用開始日 2014年11月07日
運用会社 インベスコ

ファンド主要構成

主要エクスポージャー(先物のみ) 保有比率 先物市場
WTI原油 3.860% NYMEX
RBOBガソリン 3.790% NYMEX
ヒーティング・オイル(灯油) 3.736% NYMEX
アルミニウム 3.542% LME
北海ブレント原油 3.473% ICE-EU
2.673% LME
亜鉛 2.080% LME
トウモロコシ 1.501% ECBOT
1.484% NYMEX
大豆 1.474% ECBOT
粗糖 1.371% ICE-US
小麦 1.251% ECBOT
天然ガス 1.093% NYMEX
0.430% NYMEX

上記データ出典:インベスコ(USサイト)、ブルームバーグ、モーニングスター、etfdb.comおよびヤフーファイナンスより筆者作成

インベスコ・オプティマム・イールド・ディバーシファイド・コモディティ・ストラテジーNo K-1ETF(以下、PDBC)は、DBCと同じ内容のファンドで、アクティブ運用型にしたようなETFになります。

従って、各エクスポージャ―の割合に違いはありますが、主要な運用対象も全く同じです。

大きな違いはアクティブ型である点と経費率がDBCの0.88%より低い0.68%である点が挙げられます。

2021年5月末現在で取り扱いのある証券会社はDBCと同様、サクソバンク証券のみとなっています。

免責事項と開示事項 記事の作者、モントキアラは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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