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2021年にテーパリングは実施される?テーパリングと株価の影響

出典:Getty Images

4月27〜28日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合にて、金融当局者は米国における景気の回復に対して楽観的な見方を示しており、このことから現在行われている金融緩和政策の縮小が行われる可能性が出てきました。

新型コロナウイルスによる景気低迷を受け、ゼロ金利政策や量的緩和策を次々と投入し、景気の回復を支えていましたが、新型コロナウイルスのワクチンが登場し、昨年発生したパンデミックによる混乱が収束しつつあり、経済活動も回復の兆候が見られます。

そのため、今まで行ってきた金融緩和政策を段階的に縮小することになります。

今回は、この金融緩和政策の縮小と株式市場への影響を見ていきます。

テーパリングについて

テーパリングとは先細りや逓減といった意味を持った言葉で、量的緩和政策による資産の買い入れ額を徐々に減らしていくことを指す金融用語です。

テーパリングとは?テーパリングが実施されるタイミングについても解説

量的緩和政策は、長期国債などの金融商品を中央銀行が買い入れすることで、市中へ資金を供給し、デフレ脱却を試みる政策です。

景気が回復してくると緩和政策によりインフレが過剰となるため、徐々に量的緩和政策を縮小する必要があります。

この量的緩和政策を終わらせることがテーパリングです。

そのため出口戦略とも言われます。

テーパリングの影響

債券は一般的に価格が上昇すると利回りが低下します。

たとえば1年後に100円を返済される割引債が90円で売っていたとします。

この債券を90円で買うと1年後に100円が返ってくるので利益は10円です。

つまり、この債券の利回りは約11%です。

仮にこの債券価格が99円まで上昇した場合、利益は1円で利回りは約1%となります。

このように長期国債の利回りを中央銀行がコントロールし、金利を下げると、それに連動して銀行の貸付金利も下がります。

企業は資金の調達が楽に行えるため、設備投資などを積極的に行うようになり、経済活動が活発になります。

テーパリングを行うと逆に金利が上昇し、資金調達に対し消極的になり、経済活動が抑制されます。

そのため、どの企業の業績も低迷する傾向にあります。

また、株価への影響もあります。

金利が上がるとリスクの低い債券投資の魅力が増すため、株式市場から資金が債券市場へ流出します。

具体的には株価の理論的価値に関係があります。

株価の理論的価値については、割引現在価値という概念があります。

これは、将来得ることのできるキャッシュフローを金利で割り引いて、その銘柄の理論的価値を導出します。

この概念は、将来得られるお金を仮に現在持っていた場合、リスクのない商品を通して将来得られたであろう利益を、現在持っていないがゆえに損をしているととらえるものです。

このリスクのない商品を一般的に長期国債とするため、長期国債の金利が増減することで、その銘柄の価値が変動することになります。

長期国債の金利が増加すると株の理論的価値が低下し、現在の株価が割高となり、売却につながります。

結果として、金利が上昇すると、株価は下がると理論的には言えます。

前回のテーパリング

米連邦準備制度理事会(FRB)は2014年1月から10月にかけてテーパリングを実施しています。

米国の10年国債利回りは、2013年5月1日の時点では1.63%水準でしたが、5月22日に当時のFRB議長であるバーナンキ氏がテーパリング実施を示唆したことで、2013年末には3%台にまで至りました。

その後、実際にテーパリングが行われると緩やかに低下し、2014年末には2.17%となりました。

2013年5月のバーナンキ氏の発言でS&P500種は一時的に下落しましたが、すぐに持ち直し、長期的な上昇傾向に変化はありませんでした。

2014年にテーパリングが実行されても市場は落ち着いて受け止めており、リスクオフの反応はありませんでした。

2013年のテーパリングは、FRBや市場参加者にとって初めての経験であったことから、5月のバーナンキ氏の発言は「バーナンキ・ショック」や「テーパー・タントラム」などと言われ、市場に混乱を招きました。

しかし、前述したように影響はあまり大きくありませんでした。

今回のテーパリング

4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合にて、金融当局者は米国の景気回復について慎重ながら楽観的な見方を示しました。

5月19日に公表された議事要旨では「幾人かの参加者は経済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ペースの調整に関する計画を協議し始めるのが適切になるかもしれないと提案した」と記されており、テーパリングが示唆されています。

金融当局者は需要の急拡大と供給障害で短期的にインフレ率が2%を上回る可能性が高いとしており、金融緩和に踏み切る要因となっています。

ただ、この物価上昇は一過性であるとも強調しており、また物価だけでなく雇用の安定化も重要な指標としています。

4月の会合の際に参照された3月の雇用統計が良好であったことから、景気の回復が意識されていましたが、その後に発表された4月の雇用統計は芳しくなく、景気回復に関して不透明な部分が大きいです。

そのため、パウエル議長はテーパリングに対しては慎重な姿勢を示しています。

短期的にはインフレ率が乱高下する可能性がありますが、長期的にはFOMCの目標と同程度の水準にとどまっており、テーパリングは時期尚早との見方が多いです。

しかし、景気の回復が進んでいることは確かであり、テーパリングの実施は時間の問題です。

たとえテーパリングが実施されたとしても今回は二度目ということもあり、テーパリングについての理解も進んでいることから、前回以上に影響は限定的になる可能性があります。

基本的に景気が回復している、良い状態であるからこそ金融政策の正常化に向かうので、短期的な影響を許容できるのであれば、テーパリングに対してそこまで過度に懸念する必要はないのかもしれません。

テーパリングの影響を受けにくい業種

テーパリングによって金利が上昇しても影響を受けにくい銘柄としては、景気敏感株があげられます。

前述したようにテーパリングが行われるということは景気の回復が順調であるため、景気の変動に応じて業績が大きく変化する鉄鋼、化学、機械、海運などの銘柄は金利の上昇の影響を受けず株価は上昇する傾向にあります。

また銀行株も上昇する傾向にあります。

これは、銀行の主な収益源は貸付金などの金利収入であるため、その金利が上昇することで収益が増加します。

これまでは、超低金利により金利負担を減らそうと変動金利を利用することが多いですが、変動金利が上昇することで銀行の利ザヤが増え、業績が向上します。

テーパリングの影響を受けやすい業種

逆にテーパリングの影響を受けやすい銘柄はグロース株です。

グロース株は、売上や利益の成長率が高く、将来の成長性も期待できることから、将来の価値を見込んで株価が上昇しておりPERが高くなっています。

しかし、金利が上昇することで前述したように、理論上、現在価値が目減りします。

そのため当該企業の価値が数字上減少し、割高とみなされ株価が下落することがあります。

またグロース株はPERがとても高い傾向にあるため、株式益回りが非常に小さくなります。テーパリングにより長期国債の金利が高まると、イールドスプレッドが広がるため、こちらでも割高との評価がなされて、株価が落ちる要因となります。

昨年からの株式市場の強い伸びは、GAFAMなどに代表されるハイテク銘柄がけん引していると言われています。

これらはグロース株の代表例であり、どこもPERがとても高くなっています。

このように現在の良好な景気を支えている企業の多くがグロース株と言え、テーパリングの影響を大きく受ける可能性が高いです。

ポートフォリオにグロース株の比率が高い人は、注意が必要かもしれません。

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