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バンガードの連続増配ETFから選ぶ、優秀な銘柄3選

出典:Getty Images

4月下旬から本格化した21年1~3月期決算では、QUICK・ファクトセットがまとめた米主要500社の予想増益率が46%と米IT大手のGAFAMなど市場予想を大幅に上回る決算が相次ぎ、「S&P500種株価指数」のEPSはコロナ禍でも3四半期連続で増益を継続しています。

出所:野村證券「Nomura21 Global」を基に筆者作成

特に足元では米バイデン政権が連邦法人税率を28%かつ、多国籍企業の海外収益に21%の最低税率を導入を表明しており、増税シナリオの場合には来期以降の2年間はそれぞれ8.5%程度下振れる一方で、23年にかけて「S&P500 指数」構成銘柄の一株利益は過去最高益を更新する見通しであり、景気拡大と期待インフレ率の上昇が予想されています。

そこで、春先から業績相場に移行しつつある米国株式市場において、今回は企業利益の拡大と共に、継続的な株主還元政策にコミットする優良企業、いわゆる「連続増配銘柄」を投資対象としたETFをテーマに、その投資環境及び、構成銘柄をご紹介致します。

主要な連続増配ETF

Symbol Total Assets ($MM) YTD Return Dividend Yield DGR5Y DGR Total Inception Expense Ratio
VIG $59,245 9.83% 1.51% 4.77% 12.75% 2006/4/27 0.06%
SCHD $24,049 19.51% 2.76% 12.09% 12.16% 2011/10/20 0.06%
DGRO $18,579 13.09% 2.08% 10.10% 50.45% 2014/6/10 0.08%
NOBL $8,469 15.40% 1.90% 11.37% 13.48% 2013/10/9 0.35%
DGRW $5,822 10.14% 1.78% 9.16% 9.16% 2013/5/22 0.28%
SPY $362,672 11.56% 1.34% 6.23% 6.98% 1993/1/22 0.09%

出所:seekingalpha.com「Dividend Growth」を基に筆者作成

まず、連続増配銘柄を投資対象にしたETFのうち、運用資産残高上位5銘柄を見ると、運用開始以降の増配率が概ね二桁以上の成長率、また信託報酬が0.10%未満の低コスト型の銘柄もあり、長期保有する事で、市場平均以上の配当利回りの達成に期待できます。

特に、米バンガード社の「VIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)(NYSEMKT:VIG)」は主要な連続増配ETF5銘柄のうち、直近1年間のリターンがワーストで出遅れていますが、その運用資産残高はトップかつ、運用実績も最長の15年間と長期的にインフレ率に負けない配当成長型ETFにおけるパイオニア的存在であり、今回はその概要と構成銘柄に着目します。

まず、VIGのベンチマークである「NASDAQ US Dividend Achievers Select Index」の採用銘柄は下記のスクリーニングに基づき、現在247銘柄に厳選されています。

スクリーニング 配当要件:最低10年間の配当支払い実績がある事
投資ユニバース:「NASDAQ US Dividend Achievers Select Index」のうち、REIT, MLP等を除く銘柄
リバランス:毎年3月に実施(修正時価総額加重平均型)

出所:The Nasdaq Group, Inc.「DVG Methodology」を基に筆者作成

実際に、VIGの運用開始以来のパフォーマンスは市場平均に劣後する一方で、同期間における増配率は約13%程度と配当額が6年以内に2倍になる可能性を示唆しており、大規模な金融相場からインフレ期待による業績相場への移行が進む中、今後は構成銘柄の利益拡大に伴う継続的な増配率の向上によって、将来の配当利回り及び、株価上昇が期待されます。

(図①)

またVIGのセクター別割合では、「資本財」、「一般消費財」、「金融」といった景気敏感セクターが全体の5割超を占めており、特に今後のコロナ禍からの景気回復場面では業績拡大の恩恵を受けやすいこれらの業種が同ETFのリターン上昇に寄与する事が予想されます。

(図②)

図①②:The Vanguard Group, Inc.「Portfolio & Management」を基に筆者作成

それでは、VIGにおいて構成比率の上位30銘柄を対象に、連続増配の恩恵を享受しやすい銘柄、すなわち「Yield on Cost(*YOC)」が高い優良銘柄をご紹介致します。

「YOC」とは具体的に「年間受取り配当金÷買値 (平均取得価格)」であるため、連続増配する前提で考えると、基本的に「YOC」が高い銘柄ほど、長期保有するに従って配当利回りが上昇します。

Ticker Industry %

of ETF

Dividend Yield (FWD) Payout Ratio DGR5Y

(CAGR)

5 Year

Yield on Cost

1 JPM Banks—

Diversified

3.90% 2.35% 27.37% 15.39% 5.75%
2 CAT Farm & Heavy Construction Machinery 1.12% 1.79% 48.91% 5.99% 5.26%
3 QCOM Semiconductors 1.34% 2.05% 37.03% 6.50% 5.17%
4 ABT Medical Devices 1.89% 1.51% 10.13% 10.13% 4.67%
5 MRK Drug Manufacturers—

General

1.73% 3.35% 39.92% 6.72% 4.57%
6 MSFT Software—

Infrastructure

3.82% 0.89% 28.83% 9.82% 4.50%
7 UNP Railroads 1.31% 1.73% 40.46% 12.02% 4.40%
8 UPS Integrated

Freight & Logistics

1.09% 2.30% 45.77% 6.40% 3.87%
9 JNJ Drug Manufacturers—

General

3.84% 2.57% 44.33% 6.13% 3.76%
10 UNH Healthcare Plans 3.14% 1.26% 27.00% 20.11% 3.73%

出所:seekingalpha.com「Dividends」を基に作成

*上記各項目は2021年4月30日時点のデータ

*下記個別銘柄の「財務情報」は「morningstar.com」または、各社公表値を参照

JPモルガンチェース

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
N/A -66.85% N/A 1.53% 8.41%

5年チャート

コメント

総額3.4兆ドルにも及ぶ資産持つ世界有数のグローバル金融グループかつ、米銀最大手である同行(NYSE:JPM)は「S&P500種株価指数」の構成銘柄のうち上位9番目の時価総額を誇り、主に投資銀行業、消費者と中小企業向け金融サービス、商業銀行業務、金融取引、資産管理のリーダー的存在として、「JP Morgan」ブランドでは投資銀行(IBD)やプライベートバンク事業を、また「Chase」ブランドが商業銀行及び、個人向けリテール事業を手掛けています。

セグメント別では、個人向け預金や貸出、住宅・自動車ローンを提供する「消費者金融 (CCB)」と引受業務やトレーディングで稼ぐ「投資銀行 (CIB)」が売上げ全体の約8割を占める一方で、「商業銀行 (CB)」と「資産運用(AWM)」が2割前後を担い、特に「AWM」の運用資産残高は2.7兆ドルと前年同期比17%増加と金融緩和を追い風に資金流入が顕著です。

20年通期はFRBのゼロ金利政策に伴い、金利収入が2四半期連続で減収となる中、年後半にかけて投資銀行業務や資産運用、住宅ローンの組成などで手数料収入が伸びた事で、非金利収入は前年比7%の増収となり、今後は将来の脱炭素経済を見据えて、30年までの10年間で再生可能エネルギーやグリーン技術に1兆ドルを投じて、融資事業のテコ入れを図ります。

直近の21年第1Qでは、純営業収益が前年同期比14%増かつ、純利益が同5倍と過去最高益を更新しており、特に活発なIPOを追い風に株式引受が好調な投資銀行部門では収入が3.2倍に拡大し、また52億ドルの貸倒引当金の戻し入れが増益に寄与した点について、ダイモン最高経営責任者(CEO)は「米経済の急速な回復によるものだ」と自信を見せています。

キャタピラー

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
10.9% 10.09% -0.73% -0.73% 2.78%

5年チャート

コメント

1925年創業の同社(NYSE:CAT)は建設・鉱山機械、ディーゼルエンジン、天然ガスエンジン、産業用ガスタービン、ディーゼル電気機関車などを製造する世界有数の米建機大手として、その販売網は192ヵ国にも及び、海外売上げ比率は全体の61%を占めるグローバル企業です。

主要セグメントでは建設事業、資源事業、エネルギー・輸送事業の主力3部門を中心に、建機の製造、鉱山資源の採掘支援、エンジン系統の整備といった建設インフラを提供しており、また金融事業では、オペレーティング/ファイナンス・リース、割賦販売契約、運転資金貸付、保険・リスクマネジメントといった財務面でのサポートも手掛けています。

20年は2期連続で減収減益の一方で、営業利益率は約12%とガイダンス範囲内に着地、また配当も前年比8.9%増と連続増配を維持しており、直近の21年第1Qには売上高が7四半期ぶりにプラスかつ、純利益も5四半期ぶりの最終増益に転じ、特に主力の建設部門でアジア太平洋地区の売上高が前年同期比72%増、南米が同48%増と新興国における建設機械の需要回復が牽引役となり、主要3事業全てにおいて増収増益を達成しています。

クアルコム

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
30.4% 27.14% -31.13% 7.91% 8.71%

5年チャート

コメント

モバイルチップ世界最大手の同社(NASDAQ:QCOM)は、特にスマホなどの無線通信端末向けのベースバンドチップにおいて世界シェアの約4割を握り、自前で設計開発を行う一方で、製造を外部委託するファブレスICメーカーとしては、20年にネットワーク製品の需要増加とApple製品への再採用が追い風となり、ライバル社のブロードコムを抑えて売上高が首位となりました。

事業セグメントにはCDMA通信技術などの集積回路の開発供給を担うQCT、通信用半導体各種のライセンス提供のQTLが中核を担う一方で、AI・自動車・IoT・ヘルスケア産業の新興企業向けに戦略的投資を手掛けるQSIの3部門から構成されています。

直近の第2Q決算では、売上高が前年同期比52%増かつ、純利益が3.7倍と共に会社ガイダンスレンジを超える増収増益を発表しており、特に主力のスマホやIoT機器向け半導体が好調で、同販売部門(QCT)の売上高が53%増え、知財ライセンス収入(QTL)も51%の増収となり、第3Qの売上高は71億~79億ドルと前年同期を45~61%上回る水準を予想しています。

一方で、2月に米国テキサス州の韓国サムスン電子の半導体工場が停止した影響で、4~6月期の世界のスマホ生産が5%減と推計されており、クアルコムが同社に生産委託するスマホ用の半導体も供給不足が懸念される中、アモン社長は「年末までに大きな改善を見込んでいる」と述べ、昨今の旺盛な需要や災害に伴う半導体不足に対して、グローバルに供給網の強化を図り、業績拡大に向けて意欲的な姿勢を見せています。

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配当利回りが高く安定した値動きの株は、安定した配当収入をもたらし、株価の乱高下からストレスを受けずに、株を保有し続けることができます。また、多くの米国株は四半期毎に配当を支払うので、リタイヤ層に向いています。

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免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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