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今こそ安定連続増配株「P&G」を見直そう

出典:Getty Images

株式投資はグロースやバリューなど様々な種類に分けることが出来ます。

その中には安定連続増配株にカテゴライズされる銘柄があります。

これは成長著しい企業のように株価成長率は見込めない代わりに、経営基盤が盤石で成熟した企業でありながら、S&P500指数と同等かそれ以上のリターンが期待できる銘柄のことを指しています。

更に連続増配企業であれば配当が四半期ごとに見込めるため、長期保有することでS&P500を上回る可能性が更に高くなるのです。

そんな安定連続増配株の代表的な銘柄であるP&G(プロクター&ギャンブル)(NYSE:PG)について今回は考察していきます。

P&Gと連続増配

米国オハイオ州に本拠があるP&Gは日本でも生活必需品メーカーとして浸透しています。

企業名を知らなくともファブリーズ、アリエール、レノア、パンパースなどの商品名を聞けば、ほとんどの方が知っていると答えるのではないでしょうか。

P&Gは株式市場の世界では、今年で65年連続増配を継続している日用品世界最大手の超優良企業としても有名です。

現在約70カ国に事業拠点があり、販売網は約180カ国をカバーしています。

世界全体の売上高は約9兆円。マーケティングに力を入れている企業としても世界的に有名であり、度々MBAの授業でも題材となる代表的な企業です。

個別ブランドを徹底的にマーケティングすることで個々の売上を伸ばし続け、現在、驚くことに約65ブランドのリーディングブランドを保有しています。

また日用品は景気に左右されにくく、コロナ禍においても一定の売上を期待できる企業としての強みがP&Gにはあります。

P&GとIVV(S&P500)のパフォーマンス比較

2006年~2020年の間でP&GとIVV(S&P500ETF)(NYSEMKT:IVV)のパフォーマンスを比較すると、年平均のトータルリターンはP&Gが9.61%、IVVが10.36%となっています。

P&GはIVVよりも年平均−0.75%劣る結果となりました。

しかし1990年7月〜2020年6月の長期間で見た場合、P&Gの方がS&P500よりも優れたパフォーマンスを発揮しています。

両者、甲乙付け難いパフォーマンスであることは間違いないでしょう。

P&Gが優れている点として、米国のマーケットが先行き不透明な時や暴落時の安定したパフォーマンスにあるのではないでしょうか。

例えば2008年のリーマンショックの時はIVVは−35.84%、P&Gは−12.36%となり、株価上昇率では他のセクターに軍配が上がるものの、ディフェンシブな局面でより安定したポートフォリオを組み入れたいときにP&Gは必ず候補に上がる銘柄の一つではないでしょうか。

またP&Gの株価はボラティリティが安定しており、配当金を年4回確実に得ることも投資家にとって大きなメリットだと思います。

ビジネスモデル

P&Gは生活必需品セクターでビジネス展開をしていますが、このセクターの特徴として競合他社が多く市場の寡占が難しいことが挙げられます。

こういった熾烈な競争下において毎年20%以上の営業利益率をキープし続けていることは驚異的です。

これこそP&Gが世界最高峰のブランドマネジメントを展開し、顧客のJob(片付けるべき仕事)を解決し続けていることの実績です。

P&Gのビジネスモデルはマーケティングと言っても過言ではありません。

現在に至るまでの成功は1920年代に確立した「ブランドマネジメント」という経営手法にあります。

ブランドマネジメントとはブランドごとに管理して育成する仕組みです。

つまりブランド毎にマネージャーが経営者のような立場と責任を負うことで、優秀な人材を育てる企業文化が確立されています。

これにより窮地にあるブランドを立て直す人材が企業内に絶えず存在することが可能となり、長年継続して黒字経営を続ける企業として今日に至るのです。

P&Gの主な商品の販売先として、Eコマース、量販店、食料品店、百貨店、ドラッグストア、卸売業など多岐にわたります。

投資家の方の中には「ググる(グーグル)=検索する」と同じように「P&G=マーケティング」とイメージする方も多いのではないでしょうか。

P&Gは「1つの言葉で企業を連想できるまでブランドイメージを脳裏に定着させた数少ない企業」であり、これもブランディングによる企業努力と成果だと思います。

事業セグメント

P&Gの事業セグメントは5つに分けることが出来ます。

  • Beauty(シャンプーやコンディショナー)
  • Grooming(主にシェーピング商品)
  • Health Care(オーラルケア、ヘルスケア)
  • Fabric&HomeCare(洗濯用品、洗剤)
  • Baby、Feminine&Family Care(ベビー用品、生理用品、ティッシュ用品)

全ての部門において営業利益率20%以上と安定した収益構造です。

主なエリア別の売上構成は、本社がある米国や北アメリカで約47%、ヨーロッパで22%、アジア太平洋で約10%、中国で約9%です。

1番売上がある米国が今後も人口増加していくことから、今後も更に売上高が成長していくことが予想されます。

P&Gをポートフォリオに組み入れることのメリット

P&Gの強さの秘訣にCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)に絶対的な強みがあります。

CCCとは商品の仕入れから現金を投入してから最終的に現金化されるまでの日数の指標です。

数値が低い(マイナスが大きい)ほど、収入が入ってから支出が出るまで時間があることになります。

このCCCがP&Gの強さです。他社と比較してみましょう。

  • P&G(CCC−36.2)
  • ユニリーバ(CCC−29.2)
  • コカ・コーラ(CCC+34.2)
  • ジョンソンエンドジョンソン(CCC+73.7)

P&Gは同業のライバル企業であるユニリーバよりもCCCが優れています。

また他のセクターのトップ企業と比べてもP&GのCCCは圧倒的な数値であることが分かるはずです。

ちなみにP&Gより優れた代表的なCCC企業はApple(CCC−78)です。

CCCの観点から見ても、P&Gは暴落時にも狼狽売りしにくい銘柄であることと安定した収益構造によって、投資家は安心して長期保有できる銘柄だと言えるはずです。

グロース投資家は今こそ安定連続増配株を見直す時かもしれない

2021年の株式相場の難しさは多くの投資家が感じていることかもしれません。

新型コロナワクチンの進捗状況、予想外に悪かった米国の雇用統計、FRBのテーパリングの可能性、インフレ懸念、様々な状況によってグロースorバリューへと資金が動いています。

明らかに金融相場から業績相場へとマーケットが移行しつつあります。

米国経済は今年が経済成長率のピークであり、来年以降、コロナ前のように経済成長は2〜3%台を推移すると予想されています。

そんな難しい相場展開の中で、ポートフォリオの安定性とS&P500よりもアウトパフォームする可能性のある数少ない安定連続増配株として、P&Gは面白い銘柄だと筆者は考えます。

免責事項と開示事項 記事の作者、鈴木林太郎は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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