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IPOの出口案件とは?出口案件と見なされたIPOの事例も解説

出典:Getty Images

IPOに対する人気は高く、IPOに関するニュースや情報はSNSでも注目が集まっています。

その中で、IPOを実行する特定の企業を出口案件と呼ぶことがあります。

出口案件と見なされたIPOは他のIPOと異なる特徴があるため、売買に参加する際は注意が必要です。

そこで今回は、出口案件について解説します。

出口案件と出口戦略の違いや、出口案件と見なされたIPOの事例についても合わせて解説します。

出口案件とは?

出口案件とは、大株主の創業者や投資ファンドが市場で資金を現金化して回収することを目的とした投資対象を指します。

主に投資ファンドから資金を援助されているベンチャー企業が上場する際に使用される呼称です。

投資ファンドがベンチャー企業に投資する目的は、ベンチャー企業が将来的にもたらすリターンを確保するためです。

リターンを確保する手段はいくつかありますが、代表的なのがIPOやM&Aです。

IPOは未上場企業が新規上場することで、投資ファンドや創業者が保有する株式を取引所で売買できるように売り出すことです。

投資ファンドは保有している株式を売却することで利益を確定できます。

そこで、投資ファンドはIPO株の公募価格を高めに設定することで、売り出した瞬間にリターンを確保できるようにします。

そのため、出口案件は公募価格が高いので初値が上がりにくく、場合によっては利益がすべて投資ファンドに行くという理由から人気が低く、結果として公募割れを引き起こす可能性があります。

出口計画とは?

出口計画とは、企業が投資ファンドに対して将来的にIPOをするのか、M&Aをするのかといった方法や時期、どれだけのリターンが見込めるのかなどを明確にした事業計画のことです。

エグジットプランやバイアウトとも呼び、事業を次のステージに押し上げるための計画でもあります。

つまり、出口案件は投資ファンドがリターンを確保するために行うIPOやM&Aを指す言葉で、出口計画は企業側が投資家に対して提案する事業計画のことです。

出口計画には主に次の方法があります。

  • IPO
  • M&A

それぞれ、順番に解説します。

IPOを用いた出口計画

日本で出口計画、出口案件と言えばIPOのことを指します。

株式を上場したタイミングで投資資金を回収する出口計画で、投資ファンドにしてみるとほかの方法よりも得られるリターンが多くなります。

企業にしてみれば投資ファンドが保有している分の株式を上場するのは、創業者や経営陣の株式を減らさないため経営権を手放さずに済みます。

一方で、IPOは不確定な第三者による買収リスクが高くなることと実施されるまでに費用や時間が掛かることがデメリットに上げられます。

M&Aを用いた出口計画

M&Aは企業の合併・買収を指しており、ベンチャー企業や事業を別会社に売却して投資資金を回収する方法です。

将来性のあるベンチャー企業や事業を大企業は常に求めており、投資ファンドや投資家は大企業とのコネクションが豊富です。

そのため、出口計画にM&Aを用いると、短期間で投資資金を回収できるというメリットがあります。

一方で、M&Aを実行すると企業の経営陣の権限は縮小、あるいは無くなってしまいます。

また、IPOに比べると得られるリターンが少ないというデメリットもあります。

日本では出口計画といえばIPOですが、アメリカでは出口計画の9割がM&Aです。

日本でM&Aが少ない理由は、M&Aに関するノウハウや情報が不足していることと、ベンチャー企業が大企業との交渉に上手くいかないなどの理由があります。

しかし、最近では日本のベンチャー企業でも出口計画にM&Aを選択することが多くなっています。

ベンチャー企業の数が増えていき、M&Aに関するノウハウが広まったことと、M&Aに対応した種類株式(優先株式)での投資が増えていることが理由に上げられます。

出口案件と見なされたIPOの事例

出口案件と見なされて初値が公募価格を下回った事例や、反対の結果になった事例もあります。

有名なのが雪国まいたけとウィングアーク1stの事例です。

雪国まいたけのIPO

雪国まいたけは2020年9月17日にIPOを実施しました。

上場時価総額が1,000億円近くに達し、売出金額は447億円とその時点での年内最大を記録しました。

しかしながら、公募価格2,200円に対して初値は2,100円と公募割れをしました。

最近のIPOは17銘柄連続で初値が公募価格を上回っていただけに、雪国まいたけの公募割れは注目が集まっています。

元々、成長期待が望みにくい大型案件で、食品株といった不利な条件があったのが公募割れを引き起こした理由にも上げられますが、最大の要因は投資ファンドによる出口案件と見なされたことです。

雪国まいたけは2015年にアメリカ投資ファンドのベインキャピタルグループによるTOBで上場廃止となっています。

今回のIPOでベインキャピタルグループは保有している株式をすべて放出すると見込まれていたこともあり、出口案件という理由もあって人気が下がってしまったのです。

ウィングアーク1stのIPO

ウィングアーク1stは企業の情報活用を促進するソフトウェアおよびクラウドサービスの提供を行っている企業です。

前身にあたる1stホールディングスから社名を変更し、5年間で業績を伸ばしたことで2021年3月13日再上場を果たしました。

実は、ウィングアーク1stのIPOは三度目の正直になります。

2019年と2020年に承認されるも途中で上場が中止し、2021年に三度目の新規承認がされて再上場に成功したのです。

三度もIPOを実施しようとした背景には投資ファンドが関わっています。

ウィングアーク1stのIPOは公募がゼロで売出がモノリスホールディングスの100%になります。

売出とはすでに発行済の株式を上場することで、売出100%ということは投資ファンドにすべてのリターンが入ることになります。

三度もIPOに挑戦するということは、それだけ投資ファンドがリターンを求めている証です。

このように明らかに出口案件と分かるIPOは市場での人気が下がりやすく、公募割れを引き起こすことがあります。

しかしながら、ウィングアーク1stのIPOは公募価格1,590円に対して、初値は2,000円を付け、記事執筆時点では2,590円まで上昇しています。

業績が好調だったことと、大手顧客が多く市場評価が高いことなどが要因だと考えられます。

出口案件はリスクが高いIPO

株価は需給バランスによって決定します。

市場で不人気の株式は株価が下がりやすく、人気のある株式は株価が高くなります。

出口案件と見なされるIPOは、投資ファンドが利益を確保するためのIPOのため公募価格が高くなる傾向があり、人気が下がってしまうので公募割れを引き起こしやすいです。

実際、雪国まいたけは公募割れを招いた後は、株価が1,621円まで下がり、記事執筆時点でも1,974円と公募価格を下回ったままです。

一方で、IPOした企業に確かな実績と将来性があれば、ウィングアーク1stのように株価が上昇することはあります。

以上のことから、出口案件と見なされたIPOは株価が上昇することもあれば、下落することもあるため、リスクの高い株式だといえます。

まとめ

以上が、出口案件の解説になります。

日本だと出口案件は投資ファンドが利益を確保するために実施するIPOのことを指しており、市場での人気は低いため公募割れを引き起こしやすいです。

一方で、業績が高く将来性があるIPOだと出口案件とみなされても株価が上がる場合もあります。

IPOはリスクのある投資対象で、なかでも出口案件はどうなるのか予想が付きにくい投資対象です。

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