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株価に影響を及ぼすオーバーハングとは?IPO後に買い控えが発生する理由も解説

出典:Getty Images

業績の好調や企業買収に成功したといった好材料があるから必ず株価が上昇するとは限りません。

なぜなら、株価は需給バランスにより決まりますが、需給バランスに影響を及ぼす要因は幾つもあるからです。

そこで今回は、需給バランスに影響を及ぼすオーバーハングについて解説します。

オーバーハングが起きた事例や、IPO後に買い控えが発生する理由も合わせて解説します。

オーバーハングとは?

オーバーハングとは、大株主や企業の創業者が株式を大量に売り出すだろうという予測が強まり、株価の上昇を抑える現象を指します。

企業にもよりますが、株式を10%以上保有している大株主は珍しくありません。

大株主が個人の場合もあれば、投資ファンドなどの機関投資家の場合もありますが、個人投資家が注意しなければならないのが、大株主が株式を大量に売却する可能性があるということです。

例えば、上場企業の創業者が亡くなると、保有していた株式が相続税確保のために売却されることがあります。

その場合、大量の株式が市場に売りに出されるので、株価は下落します。

市場参加者は、そのような遺族の行動を予想し、将来的に株価が下がる可能性があるから、該当する株式を購入するのは止めようと買い控えをします。

すると、その企業の業績が良くても、株価が上がりづらいという現象が起きます。

つまり、オーバーハングとは株式が大量に売却されると予想した市場参加者が買い控えをすることで、株価が上昇しづらくなる現象のことです。

IPO後はオーバーハングが起きやすい

オーバーハングが起きやすいのはIPO後と言われています。

なぜなら、IPO後はロックアップが掛かっているため、将来的に売りが強まる可能性があるのです。

ロックアップとは、IPOを行う企業の株を大量に保有している投資ファンドやベンチャーキャピタルがいる場合に、取引所が掛ける売却制限です。

投資ファンドやベンチャーキャピタルはIPO前の企業に出資をして、対価として上場前に株式を貰います。

そして、IPO後に株式を売却して、出資した額以上のリターンを得ようとします。

ロックアップは投資ファンドやベンチャーキャピタルのような既存株主が、IPOをしたばかりの企業の株式を売却できないように、次の条件を設定できます。

  • IPO後、一定期間が過ぎるまでは株式を売却できない
  • IPO後、株価が一定基準を上回るまでは株式を売却できない

ロックアップが必要なIPO株とは、将来的に投資ファンドやベンチャーキャピタルが保有している株式を大量に売却する可能性があります。

そのため、市場参加者は将来的に売り圧力が強くなるのを懸念するので、オーバーハングが発生しやすくなります。

オーバーハングの事例

オーバーハングはIPO後に発生しやすい現象で、過去にはスシローグローバルホールディングスの上場後にも起きました。

スシローグローバルホールディングスは2017年3月に東証1部に再上場したのですが、再上場前の株式を約95%も投資ファンドが保有していました。

当時のスシローグローバルホールディングスは投資ファンドにとって資金回収が主な目的である出口案件と予想されていたため、市場参加者の多くが将来的に売却されて株価が下がると予想していました。

そのため、IPO株ですがそれほど購入されず株価が横ばいの状態を維持したまま推移していき、オーバーハングが発生しました。

結果的に、IPO後の180日間のロックアップが終了し、それから1ヵ月が経過しても投資ファンドが保有している株式を大量に売却する動きは見られませんでした。

当時のスシローグローバルホールディングスの業績が堅調だったことと、ロックアップが解除されてしばらく経つのに売り圧力が強まらないことが理由となり、一気に需要が高まり株価は半年で2倍まで上昇しました。

このようにオーバーハングによって買い控えが発生すると、需要が蓄積され好材料によって株価が急上昇する可能性があります。

一方で、オーバーハングにより買い控えが発生し、これといった好材料が無ければ株価が低迷するというケースもあります。

オーバーハングとデッド・オーバーハングの違いは?

オーバーハングは売り圧力が強まると予想した市場参加者の買い控えです。

似た名称の経済用語に、「デッド・オーバーハング」がありますが、オーバーハングと意味は異なります。

デッド・オーバーハングとは、企業や国家が過剰な債務を抱えたことにより、新規事業を実行するためのニューマネーが調達できないことを指します。

元々は1977年にアメリカの大学教授が発表した論文にかかれた理論です。

収益性の高い新規事業が成功してリターンが発生しても、過剰な債務の返済に回ってしまうと予想されるので、貸し手はリターンを得られません。

リターンが得られないと貸し手が予想してしまうと新規の資金調達ができず、結果として収益低迷から脱却できないという経済リスクを論文で指摘しています。

オーバーハングとデッド・オーバーハングはどちらも不安要素から資金の流入が減ることによる現象を指しています。

しかし、オーバーハングは株式に対する現象で、デッド・オーバーハングは企業や国家といった経済主体に対して発生する現象という点で異なります。

企業分析において、債務の割合が大きい企業はデッド・オーバーハンに陥りやすく、収益を増やすのが難しい可能性があると覚えておきましょう。

まとめ

以上が、オーバーハングの解説になります。

オーバーハングは、将来的に売り圧力が強まるだろうという市場参加者の予測により発生する買い控えのことです。

買い控えが発生することで、好材料がある株式でも株価が上昇しづらくなります。

株価は需給バランスにより決定するため、買い控えが発生することで潜在的な需要が高まり、好材料をきっかけに株価が上昇することはあり得ます。

一方で、買い控えにより潜在的な需要が低下し、好材料も無いため株価が低迷することも十分にあり得ます。

株式投資をする際はオーバーハングだけを理由に投資先を選定するのは止めましょう。

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