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【米国株動向】マンハッタンの将来的なオフィス需要は未だ不透明

出典:Getty Images

モトリーフール米国本社、2020429日投稿記事より

米国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、コロナ関連の規制も解除されるなか、オフィス型REIT(不動産投資信託)は回復の兆しを見せ始めています。

米国西海岸では、一部の大手REITが新型コロナの影響を全く受けなかった一方で、ニューヨーク市のオフィス市場は大きな打撃を受けました。

マンハッタンのオフィスREITであるSLグリーン・リアルティ(NYSE:SLG)は最近、第1四半期決算とオフィス市況を報告しました。

同社はオフィス市場が最悪期を脱したと楽観視していますが、将来的な需要については疑問が残されたままです。

オフィスREITのビジネスモデルは存続可能か?

パンデミックでは、多くの産業が在宅勤務モデルを容易に取り入れられることが分かったため、オフィスREITのビジネスモデルが存続可能かは大きな懸念となっています。

マンハッタンのオフィス物件の最大の貸主であるSLグリーンは、雇用主達がより安い場所へ移転することを恐れています。

SLグリーンは第1四半期にのべ35万スクエア・フィート超に上る21件のオフィスリース契約を結んだと報告しました。

その半分超は契約の更新ですが、更新後の賃料は2.8%下落しました。

さらに、テナントを引き留めるために6.9か月分の賃料を無料にする(フリーレント)ほか、改装工事費用を提供する必要がありました。

過去1年間は、テナント側が交渉で優位に立っていたのは明らかで、インセンティブやディスカウントを除いた契約上の賃料は5~10%下落しました。

とはいえ、質の高いビルや新築物件ではなんとか価格を維持しています。

同社は決算発表で、賃料下落について最悪期は間違いなく脱した、と述べました。

第1四半期には実質的な賃料は落ち着きを見せており、同社は新たなテナントに対して、さらなる改装工事費用やフリーレントを提供しないとのことです。

価格が安定しつつある一方で、投資家にとっての大きな疑問は、オフィスの状況がいつパンデミック前の状態に戻るかということです。

SLグリーンのテナント全般でいえば、今夏のどこかでオフィスが全面的に再開するもようで、実際、ブルームバーグ、アマゾン、JPモルガンチェースなどの大企業が、従業員の全面的な復帰について具体的な日程を設定しているとのことです。

金融機関向けオフィススペースの需要が最も高いようです。

SLグリーンはニューヨーク市の雇用が今年中にパンデミック以前の水準に戻ると見込んでいます。

リスクとしては、企業がオフィスを再開したとしても、多くの従業員が在宅勤務を続ければ、企業のオフィススペース需要は今後減少するということです。

もっとも、同社物件の入居率は2021年第1四半期末時点で94.2%であり、2020年末の94.4%や2019年末の94.3%と比較しても安定した水準です。

同社バリュエーションは歴史的に見て低い水準

SLグリーンの2020年の1株あたりFFO(Funds from operations、当期純利益から不動産売却損益を除き、減価償却費を加算)は7.28ドルで、4月28日終値に基づくFFO倍率は10.2倍でした。

REITでは減価償却費といった非現金費用が発生するため、収益を表すのに1株あたり利益(EPS)ではなくFFOを使用する傾向があります。

とはいえ、EPSは過去の業績を見るのには良い方法で、長期的なトレンドを見るのに使われます。

SLグリーンのPER(株価収益率)は21.9倍(執筆時点)と、過去の推移と比較すると最低水準にあります。

毎月分配される配当は1株あたり0.303ドル、利回りは4.9%です(執筆時点)。

新型コロナからの回復が恩恵をもたらす銘柄の多くは既に株価が上昇しているため、割安な配当銘柄を求める投資家はSLグリーンに興味を持つかもしれません。

新型コロナがニューヨーク市の不動産に対する企業のセンチメントを大きく変えなかったと考え、割安なバリュエーションを求めるのであれば、SLグリーンへの投資は良いでしょう。

一方で、同銘柄には株価がさらに下落する「バリュートラップ」銘柄になるリスクもあります。

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免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Brent Nyitray, CFAは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、アマゾン株を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、アマゾン株のオプションを推奨しています(2022年1月の1940ドルのショート・コール、2022年1月の1920ドルのロング・コール)。
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