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2021年、これからの新興国投資について考える

出典:Getty Images

先進国と新興国は互いに景気や投資の流行サイクルなどによって注目される時期が異なります。

現在、米国経済は絶好調であり、米国へ投資することは合理的な判断だと思いますが、ポートフォリオの一部を新興国に投資することで、運用利益の上乗せを目指すことを検討しても面白いのではないでしょうか。

今回は欧州・新興国投資について考察していきます。

新興国投資のポイント

新興国に投資する場合、マーケットが好調な時は問題はないものの、新興国投資ならではの注意点があります。

それは株安と新興国通貨の下落が同時に発生した場合です。

このとき短期的に相場が大きく下落することがあるので、新興国投資は日々投資対象国の通貨が正常な値動きであるのか確認することが大切です。

新興国に資金が流れる大きな理由としては、先進国よりも高い成長性が期待されるときです。

資金が新興国に集まると通貨も高くなり強くなります。

そうなると株価も押し上げられるのですが、そこに注意しなければならないポイントがあるので説明します。

新興国の通貨が高くなるとき

新興国の通貨が高くなった場合に懸念されるのは、輸出競争力の低下です。

新興国の多くが輸出国なので輸出量の減少は国内経済の減退に繋がります。

輸出額がピーク時の5%以下

輸出額が減少し経常収支(1国の国際収支評価基準)が赤字の場合、さらに赤字が悪化していないかを確認する。

外貨準備金

経常収支の赤字が拡大して外貨準備金が減少した場合に注意が必要です。

なぜなら自国の中央銀行が外貨準備金を使って自国通貨を買い支えている状態になるからです。

この状態の時、リスクの高まりや先行きの不透明さを嫌う投資家は一旦売り払うケースがあります。

このケースの場合、売りが先行するので自国通貨の価値は下がります。

通貨が下がれば自国経済が苦しくなりますが、通貨が下がることで輸出競争力は回復します。

輸出品が売れて輸入品が売れなくなることで貿易収支が次第に回復していくと考えられます。

以上のようなサイクルが新興国投資をする上で大切なポイントになります。

では各国経済と見通しについて見ていきましょう。

中国経済

中国経済が堅調であることはGDPからも読み取れます。

2020年コロナ禍において中国は+2.3%の経済成長を達成しました。

これは先進国の中でも好成長を遂げた国です。

また消費者物価指数(CPI)が極めて安定しており、マクロで考えた場合、中国経済はとても優秀です。

実際、5G技術をめぐる米国との熾烈な競争をしており、特定の分野では米国よりも進んでいます。

これは米国が資本主義のリーダーになって100年以上経ちますが、歴史上初めての出来事です。

また中国の新築住宅価格は年々上昇していますが、それ以上に年収が伸びています。

こうした観点から考えても、中国経済のファンダメンタルズは堅調であり、中国リスクはゼロではないものの、世界経済の中では安定した経済基盤がある国と言えるのではないでしょうか。

欧州経済

欧州経済にとって2020年は英国のEU離脱、コロナの蔓延と苦しい状況が続いています。

歴史的にローマ帝国など様々な国が一つの共同体を作っては消えてきたことを考えれば、今後EUがどこまで続くのかは分からない状況でしょう。

英国が離脱した最大の理由は国家主権を取り戻すことです。

英国よりもEUが最優先される状況よりも、英国はEUから独立し各国と貿易関係を気付く方が国益になると判断したのです。

コロナワクチンの普及とともに経済は回復すると思いますが、今後EUのあり方が問われる局面にあると思います。

ドイツへの投資

ドイツの2020年のGDPは前年比−5%でした。

コロナによる経済減速があったものの、実はリーマンショックの翌年(2009年)のGDP−5.7%よりも落ちることはありませんでした。

ドイツ経済は小さな製造業が中心であるため、コロナの影響を最小限に抑えています。

コロナが回復していけば、工業国であるドイツの需要の高まりが期待されます。

またドイツ最大の自動車輸出相手国はEUから離脱した英国であり、両国の自動車に対する関税の行方にも注目です。

主な投資先

  • iシェアーズMSCI ドイツETF
  • ドイツ銀行
  • シーメンス(OTC:SIEGY)

ポーランドへの投資

ポーランド経済はコロナ対策も順調に進んでおり、コロナによる経済への影響を最小限に抑えることに成功している国です。

2020年の失業率は3%台を推移しており、とても安定しています。

またOECD(経済協力開発機構)の予想では2021年GDP+2.9%、2022年GDP+3.8%に回復すると予測されています。

ポーランドは日本であまり馴染みのない国の一つかもしれませんが、ポーランドはゲーム産業が国の経済成長を支えていると言っても過言ではありません。

昨年話題になった「サイバーパンク2077」や「ウィッチャー」など、世界中で人気のゲームを次々と輩出しています。

ゲーム産業で注目が集まる「ポーランド投資」について

首都ワルシャワには数百といわれるゲーム開発会社があります。

ゲーム産業への投資を検討する際にポーランドに投資することを検討しても面白いと思います。

その他にポーランドの特徴としてEUの工業大国である隣国ドイツの影響を受けやすい特徴があります。

主な投資先

  • iシェアーズMSCIポーランドETF

ブラジルへの投資

ブラジル経済の特徴としてインフレになりやすい特徴があります。

つまり経済が上昇すると金利引き締めをし、それが経済成長を鈍らせているとも言われています。

ブラジル政府は石油事業を贔屓にしており、必ずしも他の事業経営者に友好的ではないことが多いです。

とはいえ、世界銀行の発表によると2021年の経済成長率は3%、22年は2.5%と発表しています。

現政権のボルソナロ大統領は新型コロナワクチンを軽視しているとの批判がある一方、4,000億レアル(約760億ドル)の景気刺激策を打ち出しており、支持率も堅調です。

またブラジルの鉄鉱石は世界最高水準であり、中国経済を足元から支えていることを忘れてはいけません。

主な投資先

  • iシェアーズMSCIブラジルETF
  • ヴァーレ(NYSE:VALE)

インドへの投資

インドの2020年GDPは−8.3%、2021年のGDP予想は+9.1%という指標が多くありましたが、今年は予想以上に経済が減退するかもしれません。

現在、インドではコロナが爆発的に蔓延しており、経済への打撃は計り知れない状況が続いています。

1日の感染者数が30万人を超えており、社会状況も深刻です。

今後、インド銀行の外貨準備金の減少があるのかどうかも注視する必要があるでしょう。

インド経済の道のりは厳しい未来が待っているかもしれません。

とはいえコロナ前のインドは他の新興国とは違いました。

2016年の「高額紙幣流通廃止措置」、2017年の「GST(物品サービス税)の導入」という2つの大改革を行い、インド経済・実業界の勢いは増していました。

財政収支も年々改善していた為、コロナが収束さえすれば経済もまた力強く回復するかもしれません。

主な投資先

  • アイパスMSCIインドETF
  • HDFC銀行
  • インフォシス

ベトナム投資

ベトナムのGDP成長率は堅調に推移しています。

直近の2121年の第1四半期決算は前年比4.5%です。

コロナ前もコロナ禍も驚異的な経済成長を続けているといえます。

なぜベトナム経済が躍進しているのかというと、きっかけは1980年代に始まった「ドイモイ政策」と言われています。

これにより通貨の流出制限が行われたことが、アジア通貨危機などの被害を抑える結果となったのです。

またベトナムの競争力の源泉の一つが労働コストの安さもあげられます。

現在、月間の平均労働賃金は中国の約半分の236ドルです。

このことから当面の間、ベトナムはアジアの中でも労働コストが安く、国際競争力を考えた場合に有利に働くと思います。

しかしベトナムは度々インフレに悩まされており、ベトナム国家中央銀行の金利政策はインフレと通貨対策によって決まります。

今後の課題としては、ベトナムは株式市場の大きさと上場している企業規模が小さいため、何か不祥事があった場合のリスクがやや大きいことが予想されます。

日本からベトナム投資をする場合、ベトナム経済全体に投資するETFが最も安全だと思います。

主な投資先

  • マーケット・ベクトル・ベトナムETF

おわりに

今回は新興国投資について考察していきましたが、大切なことは各国が信用サイクルで考えた場合にどの位置にあるのかということです。

グロース、バリュー、米国株、新興国株、万物は流転するように経済にもサイクルがあります。

投資家にとって大切なことは投資戦略をすぐに切り替えられる思考だと思います。

新興国投資の参考になれば嬉しいです。

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