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連続増配を誇る企業に投資するETF「DGRO」の中から選ぶ、特に優秀な銘柄3選

出典:Getty Images

4月現在「ダウ工業株30種平均」や「S&P500種株価指数」は史上最高値圏にあり、いずれも年初来で約12%超の上昇を記録する中、S&P500種の採用銘柄のうち、187銘柄が52週高値更新と米国主要企業の約4割弱が既にコロナショックの暴落から回復を見せています。

出所:野村證券「Nomura21 Global」を基に筆者作成

実際に、IMFは世界経済見通し(WEO)で、20年のGDP成長率がマイナス4.3%と前回予測から3.7ポイント上方修正かつ、21年も3.1%の拡大を予想する等、米国の景況感は回復しつつあり、QUICK・ファクトセットによると、米主要500社の決算では2021年第1四半期(主に1~3月期)が前年同期比24.5%の増益が予想されています。

そこで、業績相場に移行しつつある米国株式市場において、今回は企業利益の拡大と共に、継続的な株主還元政策にコミットする優良企業、いわゆる「連続増配銘柄」を投資対象としたETFをテーマに、その投資環境及び、構成銘柄をご紹介致します。

主要な連続増配ETF

Symbol Total Assets ($M) Dividend Yield

(FWD)

DGR3Y

(CAGR)

DGR5Y

(CAGR)

DGR Total

(CAGR)

Expense Ratio
VIG $58,199 1.54% 6.17% 4.77% 12.75% 0.06%
SCHD $22,329 2.81% 14.66% 12.09% 12.16% 0.06%
DGRO $18,188 2.10% 13.40% 10.10% 50.45% 0.08%
NOBL $8,151 1.96% 15.28% 11.37% 13.48% 0.35%
DGRW $5,780 1.79% 13.16% 9.16% 9.16% 0.28%
SPY $361,019 1.34% 5.82% 6.23% 6.98% 0.09%

出所:seekingalpha.com「Dividend Growth」を基に筆者作成

まず、連続増配銘柄を投資対象にしたETFのうち、運用資産残高の順に上位5銘柄を見ると、いずれも過去5年間において、多くの機関投資家が運用指標とする「S&P500種株価指数」をアンダーパフォームする一方で、運用開始以降の増配率が概ね二桁以上の成長率と長期保有する事で、市場平均以上の配当利回りを実現できる可能性を示唆しています。

中でも、米資産運用大手ブラックロックが手掛ける「DGRO(iShares Core Dividend Growth ETF)」は2014年の運用開始以来、年複利成長率50%というずば抜けた増配率を記録しており、ここではDGROを分析対象にETFの概要と構成銘柄を見ていきます。

DGROは米国株式時価総額の97%をカバーする「Morningstar US Market Index」の関連指数である「Morningstar US Dividend Growth Index」をベンチマークとして、同指数の採用銘柄は下記のスクリーニングを経て、厳選されています。

5年間の連続増配実績
アナリストのコンセンサス利益予想がプラス(増益)
配当性向が75%未満
配当利回り上位10銘柄を除外
年1回の構成銘柄入れ替えかつ、四半期毎にリバランス

出所:Morningstar Inc「Morningstar® US Dividend Growth IndexSM」を基に筆者作成

現時点で、DGROの長期的なパフォーマンスは市場平均に劣後していますが、運用開始以来の約7年間で年率リターンにおいては、増配率と同様に二桁台の上昇率を見せています。

Annual Average Returns as of March, 2021
1y 3y 5y Inception
DGRO 51.68% 15.33% 15.56% 12.80%
IVV (S&P 500) 56.31% 16.74% 16.25% 6.94%

また、DGROの全391銘柄のセクター別割合では、「情報技術」、「金融」、「資本財」といった景気拡大局面に強い業種が上位を占めているため、企業業績のピークが予想される4~6月期決算に向けて、構成銘柄のリターンがプラスに寄与する公算が高いと思われます。

iShares.com「iShares Core Dividend Growth ETF」を基に筆者作成

それでは、DGROにおいて構成比率の上位30銘柄を対象に、連続増配の恩恵を享受しやすい銘柄、すなわち「Yield on Cost(*YOC)」が高い優良銘柄をご紹介致します。

「YOC」とは具体的に「年間受取り配当金÷買値 (平均取得価格)」であるため、連続増配する前提で考えると、基本的に「YOC」が高い銘柄ほど、長期保有するに従って配当利回りが上昇します。

Ticker Industry  

Weight

 

Dividend Yield (FWD) DGR5Y

(CAGR)

5 Year

Yield on Cost

1 AVGO Semiconductors 1.93% 3.12% 50.92% 9.53%
2 TXN Semiconductors 1.29% 2.20% 21.67% 6.95%
3 JPM Banks

—Diversified

2.64% 2.36% 15.39% 5.69%
4 NEE Regulated Electric 0.99% 1.97% 12.54% 5.38%
5 CSCO Communication Equipment 2.02% 2.80% 10.25% 5.22%
6 QCOM Communication Equipment 0.96% 2.05% 6.50% 5.17%
7 DUK Regulated Electric 0.95% 3.86% 3.27% 5.01%
8 HD Home Improvement Retail 2.41% 2.02% 20.11% 4.87%
9 VZ Telecom Services 2.72% 4.30% 2.15% 4.82%
10 BAC Banks

—Diversified

1.74% 1.88% 29.20% 4.77%

出所:seekingalpha.com「Dividends」を基に作成

*上記各項目は2021年4月23日時点のデータ

*下記個別銘柄の「財務情報」は「morningstar.com」または、各社公表値を参照

ブロードコム

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
21.7% 50.16% 25.18% 27.57% 14.12%

5年チャート

コメント

2005年にアバゴ・テクノロジーとして誕生した同社(NASDAQ:AVGO)は、2016年にブロードコム社を買収、現在は米国カリフォルニアを拠点に通信用半導体を設計するファブレスメーカーとして、特にスマホ向けの無線通信分野において強みを持ち、特に世界のインターネット通信量の約9割超が同社の技術を経由しており、IP(知的財産)の特許件数は2万件以上に及びます。

主な事業セグメントにはワイヤレスやブロードバンド向け製品を扱う「半導体ソリューション」が売上げ全体の7割超を稼ぐ主力である一方、決済情報等のデータセキュリティを担う「インフラソフトウェア」では、新型コロナウイルス禍に伴う在宅勤務の普及でクラウド関連の需要増加を背景に、20年における売上げは前年比28%増の増収と好調です。

直近21年第1Q決算では、売上高が前年同期比で14%増かつ、純利益が同3.5倍増と4四半期連続の増収増益を達成すると同時に、営業費用を同17%削減した事で営業利益率が20%台を回復、また調整後EBITDAが過去4年間で2.4倍に拡大と着実に収益基盤を強化しています。

財務面では、フリーキャッシュフロー・マージンが過去10年間で平均28%と高い利益率を背景に、増配率が過去5年間で約52%という高水準で推移する中、ガイダンスで前年比10%超の増配を発表する等、足元の配当性向の高止まりが懸念材料ですが、株価は積極的な株主還元政策を好感する形で、直近1年間で80%超上昇と市場平均を大きく上回っています。

テキサス・インスツルメンツ

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
42.3% 37.96% -5.38% 0.35% 8.58%

5年チャート

コメント

創業91年を迎える同社(NASDAQ:TXN)は半導体の設計・製造・販売まで手掛けるメーカーであり、特にアナログ半導体においては世界最大のサプライヤーとして、約14%のマーケットシェアを誇り、ウエハー製造や組立て工場を含む世界14カ所に製造拠点を構えており、10万件超のクライアントに対して、約8万にも及ぶ製品ラインアップを提供しています。

主要な事業セグメントは「アナログチップ」と「埋込式加工」の2部門から構成されており、自動車や個人用電子機器、産業向けの半導体の収益が売上げ全体の8割超を占める主力であり、20年第4Qの決算では、前者の営業利益が前年同期比44%増かつ、後者は同56%増と大幅な増益となり、コロナ禍で逼迫する半導体の需給がプラスに寄与しています。

20年通期では減収減益となるも、過去16年間でフリーキャッシュフローを年複利成長率12%で拡大させながら、配当も同25%で17年連続の増配を達成、また自社株により発行株式数は46%減少と持続的な株主還元政策を支える非常に強固な財務基盤を持っています。

結果的に、過去5年間保有した場合の配当利回りはその高増配率により、現時点の2%台に対して約7%に、また同時に株価も3倍超と市場平均を大幅にアウトパフォームしており、インカム及び、キャピタルゲインの双方を拡大させる事で、株主リターンを最大限に高め、近い将来に「配当貴族」の仲間入りも視野に入れて、連続増配の継続が期待されています。

JPモルガン

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
N/A -66.85% N/A 1.53% 8.41%

5年チャート

コメント

総額3.4兆ドルにも及ぶ資産持つ世界有数のグローバル金融グループかつ、米銀最大手である同行(NYSE:JPM)は「S&P500種株価指数」の構成銘柄のうち上位9番目の時価総額を誇り、主に投資銀行業、消費者と中小企業向け金融サービス、商業銀行業務、金融取引、資産管理のリーダー的存在として、「JP Morgan」ブランドでは投資銀行(IBD)やプライベートバンク事業を、また「Chase」ブランドが商業銀行及び、個人向けリテール事業を手掛けています。

セグメント別では、個人向け預金や貸出、住宅・自動車ローンを提供する「消費者金融 (CCB)」と引受業務やトレーディングで稼ぐ「投資銀行 (CIB)」が売上げ全体の約8割を占める一方で、「商業銀行 (CB)」と「資産運用(AWM)」が2割前後を担い、特に「AWM」の運用資産残高は2.7兆ドルと前年同期比17%増加と金融緩和を追い風に資金流入が堅調です。

20年通期はFRBのゼロ金利政策に伴い、金利収入が2四半期連続で減収となる中、年後半にかけて投資銀行業務や資産運用、住宅ローンの組成などで手数料収入が伸びた事で、非金利収入は前年比7%の増収となり、今後は将来の脱炭素経済を見据えて、30年までの10年間で再生可能エネルギーやグリーン技術に1兆ドルを投じて、融資事業のテコ入れを図ります。

直近の21年第1Qでは、純営業収益が前年同期比14%増かつ、純利益が同5倍と過去最高益を更新しており、特に活発なIPOを追い風に株式引受が好調な投資銀行部門では収入が3.2倍に拡大し、また52億ドルの貸倒引当金の戻し入れが増益に寄与した点について、ダイモン最高経営責任者(CEO)は「米経済の急速な回復によるものだ」と自信を見せています。

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米国の株式市場は最高値を更新している一方で、バブルを警戒する見方もあります。そこで、より堅実な投資先として、緩やかながらも成長し続け、持続的に増配する銘柄を検討してみてもよいでしょう。このレポートでは、堅実な成長が見込める5つの高配当株をご紹介します。

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免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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