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「配当チャンピオン」の中でも特に増配率の高い3銘柄

出典:Getty Images

コロナウィルス向けワクチンの普及による景気回復期待を背景に、米長期金利が一時1.7%台後半まで急騰する等、米国株式市場に調整色が強まった3月から一転して、現在では「ダウ工業株30種平均」や「S&P500種株価指数」が史上最高値を更新と相場環境は良好です。

しかしながら、3月半ばにかけて米主要株指数が軟調な地合いの中、高配当株式で構成される主要ETFは比較的堅調に推移しており、年初来リターンにおいても市場平均を上回る等、成長グロース株に対して、高配当の割安銘柄がより優位な相場展開が継続しています。

そこで、今回は高配当株戦略の一つとされる「Dividend Champions(配当チャンピオン)」を分析対象に、その運用環境及び、長期保有に適した銘柄をご紹介致します。

まず、「配当チャンピオン」の採用基準として、連続増配年数では、「配当貴族」と同じですが、時価総額や流動性といった要件が緩和されているため、構成銘柄数は2倍以上に増えており、より広い投資ユニバースを対象に優良銘柄へ運用したい投資家に向いています。

配当戦略 採用条件 採用銘柄数

(21年3月末)

増配の判断基準
配当チャンピオン 連続増配年数:25年以上 *142 配当支払日を基準に暦年(CY)または会計年度(FY)で年間配当が増加
配当貴族
  • 連続増配年数:25年以上
  • S&P500種株価指数の構成銘柄
  • 時価総額30億ドル以上
  • 平均取引額/日:500万ドル以上
65 配当権利落ち日を基準に暦年(CY)で年間配当が増加

*うち「配当貴族」の構成銘柄60種を含む

一方で、「配当チャンピオン」を構成する142銘柄のうち、6割超の銘柄が時価総額100億ドル以上の大型株である一方で、中小型銘柄の構成割合は5%未満であるため、実質的には大型の優良株に幅広く分散投資する事を可能とする投資ユニバースと言えます。

Market Cap Size Number of Dividend Champions Major companies
Mega Caps $200 billion+ 7 Johnson & Johnson Walmart Procter & Gamble
Large Caps $10 billion to $200 billion 64 PepsiCo McDonald`s Medtronic
Midcaps $2 billion to $10 billion 41 Aptargroup Federal Realty American States Water
Small Caps $300 million to $2 billion 21 McGrath RentCorp SJW Group Universal Corp

suredividend.com「2021 Dividend Aristocrats List」を基に筆者作成

また「配当チャンピオン」の業種毎の時価総額では、「生活必需品」、「資本財・サービス」、「ヘルスケア」の3セクターが約6割を占める一方で、銘柄数の多さでは「金融」をはじめ、景気変動に敏感な業種も目立ち、25年以上に渡る連続増配の実績を考慮すると、景気サイクルへの耐性が強く、継続的な配当成長を実践する優良企業で構成されています。

出所:S&P Dow Jones Indices「S&P 500配当貴族指数」を基に筆者作成

更に、「配当チャンピオン」のセクター毎に各構成銘柄の平均値を参照すると、全11業種のうち、「情報技術」セクターのみが5年及び、10年間に渡って、2桁以上の増配率を達成しており、「エネルギー」や「不動産」に対して、相対的に配当利回りが低い一方で、長期投資のインセンティブが高まり易く、将来的な利回りの成長性が期待されます。

Averages by Sector Dividend Yield Years of Dividend Increases DGR5y DGR10y
Information Technology 2.11% 36 11.37% 12.96%
Industrials 1.55% 42 8.50% 10.23%
Consumer Discretionary 2.51% 48 7.01% 9.99%
Energy 5.35% 33 9.16% 9.65%
Health Care 1.41% 41 8.06% 9.23%
Consumer Staples 2.59% 48 6.56% 8.40%
Materials 1.46% 40 7.02% 8.21%
Financials 2.48% 34 6.48% 6.49%
Utilities 2.65% 43 5.91% 5.14%
Communication Services 4.15% 37 2.94% 5.02%
Real Estate 4.10% 35 4.18% 4.26%

出所:The Dividend Investing Resource Center「U.S. Dividend Champions」を基に作成

それでは、「Dividend Champions (配当チャンピオン)」の構成銘柄のうち、過去5年間に渡って、最も増配率の高い上位3銘柄をご紹介致します。

Ticker Sector Dividend Increases

(Years)

Dividend Yield Payout Ratio DGR5y

(CAGR)

Five Year Price Return
1 CTAS Industrials 38 0.87% 39.8% 27.66% 315.92%
2 AOS Industrials 27 1.50% 46.8% 19.81% 100.43%
3 SPGI Financials 48 0.86% 28.7% 17.13% 273.02%
4 ERIE Financials 31 1.86% 69.8% 16.53% 175.82%
5 FFMR Financials 30 3.22% N/A 16.53% 34.79%
6 ITW Industrials 46 2.00% 66.1% 16.03% 152.79%
7 LOW Consumer Discretionary 57 1.25% 29.6% 15.98% 177.21%
8 SHW Materials 42 0.71% 25.6% 14.75% 273.02%
9 CSVI Information

Technology

49 1.67% N/A 14.63% 267.48%
10 ROP Industrials 28 0.56% 23.3% 14.34% 133.64%

出所:suredividend.com「2021 Dividend Aristocrats List」を基に筆者作成

*上記各項目は2021年3月28日時点のデータ

*下記個別銘柄の「財務情報」は「morningstar.com」または、各社公表値を参照

シンタス

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
17.9% 16.24% 34.13% 7.16% 19.20%

5年チャート

コメント

1968年創業の同社(NASDAQ:CTAS)は、事業者向けの専門サービス会社として、主に北米を中心に外食・医療・製造・建設産業をはじめとする100万以上に及ぶビジネス顧客に対して、制服等の衣類、フロア清掃、化粧室備品、安全・防火製品といった公衆衛生面でのサポートを通して、従業員にとって最適な職場環境の提供を経営理念に置いています。

同社の強みは長期的に持続可能な成長であり、創業以来の過去2年を除く49年間で、増収を達成かつ、営業利益率は直近10年間で最高と確実に競争優位性を高めつつありますが、北米における同社サービスの普及率は約6%、グローバルでは20%未満と今後の更なる市場シェア拡大を目指して、ブランド衣服や薬液供給といった新事業の強化を進めています。

業績面では21年第3Qに、売上高が前年同期比で約2%減の一方で、純利益が10%増の増益を確保しており、部門別では主力の「制服レンタル・施設サービス」と「応急処置・安全サービス」で販管費削減を推進した結果、いずれも税引前利益ベースで増益を達成しています。

財務面でも、D/Eレシオが約0.7かつ、インタレスト・カバレッジ・レシオが12と債務支払能力に問題はなく、足元ではフリーキャッシュ・フローが2桁台の成長を達成する中、配当性向も約40%と将来の連続増配に死角はなく、その期待値を織り込む形で、株価は直近5年間で4倍超に上昇と、市場平均を大きく上回るリターンを見せています。

A. O. スミス

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
15.5% 17.45% 28.97% 6.87% 13.36%

5年チャート

コメント

1874年創業の同社(NYSE:AOS)は温水及び水処理技術において、業界を代表する世界的なメーカーであり、主に北米とアジアを中心に住宅やレストラン、ホテル等の商業施設向けに包括的な水ビジネスを水道事業者からEコマースまで幅広い販売チャネルを通じて提供しています。

主要な事業セグメントは売上げ全体の7割超を占める「北米」と「その他世界」と地域別の2部門から構成されており、前者では主力の各種給湯器をはじめ、凝縮ボイラーや硬水軟化装置やフィルターといった水処理全般を手掛けており、特に「AO Smith」ブランドの米国内のマーケットシェアは家庭用と商業用のいずれにおいても業界トップを守っています。

海外販売では、第二の収益源である中国では直近の水処理事業の販売シェアが北米を凌ぐ56%と地域別で首位、またインドにおいても人口150万人以上の大都市を含む合計400拠点以上の流通網を整備する等、人口の上位2ヵ国で市場シェアを高めつつあります。

直近の第4Q決算では、売上高が前年同期比で11%増かつ、純利益が同31%増の増収増益を達成すると同時に、来期にはコロナ前の水準さえ上回る4億ドルに及ぶ、自社株買いをガイダンスで発表する等、長期投資家を意識した積極的な株主還元政策が評価されています。

S&Pグローバル

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
53.3% 46.91% 31.19% 1.89% 13.81%

5年チャート

コメント

旧社名「マグロウヒル」として1860年に創業した同社(NYSE:SPGI)は、世界屈指の金融情報会社であり、特に信用格付け事業では世界トップシェアを、また3大指数算出会社の一角を担い、米主要株指数の「ダウ工業株30種平均」や「S&P500種株価指数」を提供するインデックスプロバイダーとして、金融市場に欠かせない各種インフラサービスを手掛けています。

主要なセグメントとして、レーティング事業の「Ratings」、ESGスコア等のデータ分析の「Market Intelligence」、指数算出の「Indices」、商品・エネルギー情報の「Platts」の4部門から構成されており、20年は中国国内の信用格付け事業やESG情報のカバレッジ拡充といった成長分野への投資額を前年比で45%増やす等、更に競争優位性を高めつつあります。

特に、昨年末に発表された英調査会社「IHSマークイット」の買収額は430億ドル超とハイテク関連としては同年最大の海外M&Aとなり、各国のPMI指数やCDSの情報提供に強みを持つ同社のノウハウを活かしつつ、合併後はESG投資に不可欠な気候変動関連のデータや未公開企業の資産価値算出といったオルタナティブデータの基盤強化が予想されています。

業績面では20年通期の売上高が前年比11%増かつ、純利益が同20%増とコロナショックに見舞われた金融市場に好機を見出し、主要4部門全てにおいて増収増益を達成すると同時に、営業利益率は約53%と過去4年間で11%改善する等、極めて堀の深いビジネスモデルを構築しているので、近い将来に連続増配50年の「配当王」への採用が期待されています。

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免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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