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中央に管理組織のない自立分散型組織とは?DAOの法人化に関する動きも解説

出典:Getty Images

インターネットの普及により、技術や価値観の変革は急ピッチで行われるようになっており、最近では組織の形態にも新しい形が訪れようとしています。

そこで今回は、中央に管理組織のないDAO(自律分散型組織)について解説します。

自律分散型組織のメリットやデメリット、自律分散型の法人化に関する動きも合わせて解説します。

DAOとは?

DAOとは、「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、日本語では自律分散型組織と訳します。

特定の管理者や主体を持たず、組織内に階層構造が無く、構成員が個々で自主的に運営される組織のことで、誰かの意思ではなく、構成員の合意により定められたルールに従ってガバナンスが執行されます。

あらかじめ定めたルールに基づいて組織は運営されるため、中央でコントロールする組織や母体が無いというのがDAOの基本的な考え方です。

元々はビットコインやイーサリアムといった暗号資産に用いられるブロックチェーンの応用の一つでしたが、近年では企業運営の効率化を目指せるなどの利点から注目を集めています。

自立分散型組織と従来の組織の違い

イーサリアムを考案したヴィタリック・ブテリン氏によれば、自律分散型組織(DAO)と従来の組織は次のように分類できます。

  • 従来の組織…経営者がいて、労働者もいる
  • 自律分散型組織…経営者はいないが、労働者はいる
  • ロボットを使う企業…経営者はいるが、労働者がいない
  • AIによる完全自動企業…経営者も労働者もいない

従来の組織とは伝統的な株式会社のことで、主に中央集権型組織のことを指します。

中央集権型組織は特定の管理者(代表取締役など)が意思決定をして企業を導きます。

一方で、自律分散型組織は意思決定を特定の管理者に委ねるのではなく、あらかじめ決めたルールに基づいて個々人が活動します。

中央集権型組織と異なり、意思決定権が構成員に分散されているのが大きな違いになります。

自律分散型組織のメリット

自律分散型組織のメリットは透明性と公平性にあります。

透明性があるというのは、自律分散型組織を動かすルールがあらかじめ定められており、ルールを書き換えることが不可能なため、誰でもルールの内容を精査して行動することが可能ということです。

誰でも精査できるということは、誰かの不正も明らかになりやすいということから、公平性も高いと言えます。

また、自律分散型組織は契約をスマートにおこなえるという利便性の高さもメリットになります。

これをスマートコントラクトといい、事前に契約(ルール)を設定しておけば、何かしらのイベントが発生した時にはプログラムにより自動的に実行されます。

例えば、タクシー配車アプリはタクシー運転手と利用者を自動的にマッチングするだけでなく、契約の決済代行、乗った距離に応じた料金の計算などを事前に設定した契約に則って実行します。

これにより、タクシー運転手も利用者も、自分で決算するという手間が省け、業務の効率化が行えます。

このように、自律分散型組織は核となるルールや契約を設定さえしておけば、あとは仲介者を必要とせずルールや契約が自動で実行してくれる仕組みにもなります。

自律分散型組織のデメリット

自律分散型組織のデメリットは、あらかじめ定めたルールや契約を簡単に変えられないことです。

自律分散型組織においてルールや契約は組織の中核であり、組織に参加する者たちが合意した内容になります。

このルールや契約を簡単に変えられてしまえば、ルールや契約に対する信用が損なわれます。

例えば、タクシー配車アプリの決済の方法や料金体系が頻繁に変更されてしまえば、タクシー運転手も利用者もタクシー配車アプリを信用して使い続けることはできません。

また、自律分散型組織は法律による定義付けが現時点で明確になっていません。

中央集権型のように意思決定機関を持たない自律分散型組織は、何かがあったときに誰が責任を負うべきなのかが不明瞭となっています。

そのため、アメリカでは自律分散型組織の企業は合名会社として扱われ、全構成員が無限責任となると考えられています。

ほかにも、自律分散型組織はルールや契約に基づいて活動するため、構成員が国境を越えて繋がる可能性があります。

国や地域が異なれば法律も異なるため、定めたルールや契約によるトラブルが起きるのではないかと指摘されています。

自律分散型組織に関する法案がアメリカで提出

自律分散型組織を実際の会社に落とし込むための法律は現時点だと存在していません。

しかし、2021年1月にアメリカのワイオミング州で自律分散型組織の法人化を正式に認めるための法案が提出されました。

3月11日には上院で最終的な投票が行われ、賛成28票・反対2票という結果になり、3月18日には下院に正式に提出され、関連した開発委員会に送られ検討・調整の段階入っています。

このまま下院でも可決されれば、ワイオミング州で自律分散型組織が有限責任会社という法人になります。

自律分散型組織の法人化は経営に関する決断の効率化と分散化が可能になると期待されており、全参加者が対等な立場になる新しい形の組織として見られています。

ただし、現時点では自律分散型組織が優れているかどうなのかは実験して検証する必要があるとされており、自律分散型組織を法人化することへの懸念もされています。

まとめ

以上が、自律分散型組織についての解説になります。

従来の組織と異なり、トップに意思決定機関を置かず、参加者があらかじめ定めたルールや契約に基づいて動く組織のことで、もともとはブロックチェーンの応用です。

経営を決定する権限を分散させる手法で、従来の組織よりも意思決定がスムーズになるのではないかと期待されています。

2021年に入り自律分散型組織を法人化する動きがアメリカでみられるようになり、注目が集まっています。

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