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個人投資家もおさえておきたい、リスクパリティ戦略

出典:Getty Images

2021年2月下旬、リスクパリティ戦略をとるクオンツのポートフォリオが大きくダメージを受けたと言う趣旨のニュースが流れました。

個人投資家にはあまり聞き慣れない戦略ですが、世界ではリスクパリティ戦略を採用しているヘッジファンドが多いため、マーケットでの存在感は無視できないほど大きくなりました。

リスクパリティ戦略は簡単に言えば分散投資の手法の一つです。

リスクパリティ戦略のパリティを日本語訳すると「等しい」「同格」となります。

投資の世界では「均衡」と訳すると分かりやすいかもしれません。

ただし、リスクパリティ戦略では、個人投資家や従来型のファンドの分散方法に比べると少し複雑な計算を用いてアセット・アロケーションを決めます。

個人投資家がリスクパリティー戦略を採用してヘッジファンドのようにポートフォリオを個人でつくるのは現実的ではありません。

しかし、市場でリスクパリティ戦略を用いたファンドの存在は大きいため個人投資家も「どんな投資法で市場にどんな影響を与えるのか?」程度は知っておいて損はありません。

リスクパリティ戦略とは?

リスクパリティ戦略はポートフォリオの各資産のリスクを均等(パリティ)にする投資手法のことです。

言い換えると分散投資でもリスクを均等にしたアセットアロケーションを組む投資法です。

一方で旧来からの分散投資はリスクを均等にするのではなくアセットを均等に割り当てます。

例えば株式4割、債権6割といった具合に資産を基準に分散させます。

このような各資産の割合を固定配分にしたポートフォリオは、株式などリスクの高い資産の影響がポートフォリオ全体に対して与える影響が大きくなってしまいます。

リスクパリティ戦略が世界中で拡大したきっかけは、リーマンショック前後の市場の低迷でした。

リーマンショックでは株も債権も全て売られ一斉に値下がりました。

全ての資産が値下がりしたときに伝統的な固定配分型のポートフォリオは大きくダメージを受けてしまい、よりリスクを抑制した分散投資に注目が集まりました。

そこでアセットから固定配分するのではなく、ボラティリティ(変動率)を各資産クラスで均等に分け、各資産のリスク割合が均等になるようにすることでリスクを抑制する手法が広まりました。

これがリスクパリティ戦略です。

リスクパリティ戦略は頻繁にリバランスをする

リスクパリティ戦略ではリバランスを一定期間(例えば毎月)ごとに行います。

毎月のボラティリティを一定にするために各アセットの配分を細かく調整します。

つまり、ボラティリティをもとに資産配分を決めて安定した運用を目指すのがリスク・パリティ戦略です。

ただ、年率換算されたボラティリティを、そのアセットクラスの予測ボラティリティで除するといった計算が必要になるため、個人投資家が個別株や債権を組み合わせて自分でリスク・パリティ戦略を手軽に再現することはできません。

個人投資家ではなくクオンツが得意とする投資法です。

ビッグデータを用いて投資を行う「クオンツ運用」とは?メリット・デメリット、個人でも行えるのか解説

リスクパリティ戦略の投資信託

個人でリスクパリティ戦略をとることは難しくても、リスクパリティ戦略を採用した投資信託なら購入可能です。

ただしリスクパリティ戦略を採用していても、中身がETFや投資信託によってかなり変わります。

  • アセットの中身はETFや投資信託次第
  • リスクパリティ戦略でボラティリティを押さえる方針は共通している

この2点がリスクパリティ戦略のETFと投資信託の特徴です。

例えば米国上場ならば、QRHNX、AQRIX、RPARなどが挙げられます。

同じリスクパリティ戦略でも構成は変わります。

中身を見てみると現金、株式、債券、から幅広くアセットが選ばれています。

しかし運用方針によって構成は本当にバラバラです。

例えば、QRHNXはトータル・リターンを重視した内容、AQRIXはクレジットデフォルト・スワップや通貨スワップなどが含まれているなど、あくまでもボラティリティを均等しているだけで中身は異なります。

つまり、リスクパリティ戦略をとっているETFはS&P500などのインデックスファンドとは異なり、信託報酬だけでなく、どんなアセットを保有しているのかを事前に確認する必要があります。

ただ、米国のリスクパリティ戦略を採用したETFは日本の大手ネット証券でも取り扱いがありません。

日本だとアキラ・キャピタル・リスク・パリティ12ファンドに投資をする「リスク・パリティ戦略αオープン」という投資信託が買いやすいでしょう。

リスクパリティ戦略のメリットと問題点

リスク・パリティ戦略は一言でいえばボラティリティを下げた運用が可能になります。

ボラティリティが低いということは、中長期で保有していて同じパフォーマンスでも途中経過のリスクが低く資産価値が安定するメリットがあります。

一方、リスクパリティ戦略のプレイヤーが増えすぎることで問題が起きます。

株価が急落すると値動きが荒くなります。

つまりボラティリティが上がってしまいます。

そしてボラティリティが高まるとボラティリティを小さくするために株の比率を下げるため、株を売ります。

  1. 株が下がる
  2. ボラティリティが上がる(株が下がると値動きが激しくなる)
  3. ボラティリティの比率を下げるため株を売る
  4. 市場全体の売りが加速する

このような問題が指摘されるようになったのです。

リスクパリティ戦略の今後

リスクパリティ戦略を世界に広めたのは、ヘッジファンド世界最大手のブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオ氏です。

世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーターの投資手法

しかし、そのレイ・ダリオ自身が従来のリスク・パリティ戦略を見直すという報道がありました。

株価はS&P500をはじめ大きく値上がりしました。

しかし、リスクパリティ戦略のポートフォリオではボラティリティの低い債券の割合が増えてしまいます。

債券は歴史的な利回りの低下に伴い、リスクもリターンもあまり期待できないアセットでした。

そして株価が下がるとボラティティ回避のため、株を売り、売りが売りを呼ぶ展開になってしまうのもリスクパリティ戦略の問題として浮上しました。

また、いくら分散しても株式も債券も全て下がるという状況では逃げ場がないことも浮き彫りになりました。

個人投資家がリスクパリティ戦略を実際にすることはないかもしれません。

しかし、大きなファンドが市場の動向を左右する面もあるためレイ・ダリオのような大きな資金を動かすファンドの動向は定期的に見ておくと良いのではないでしょうか。

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