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中央銀行のフォワードガイダンスとは?フォワードガイダンスの種類について解説

出典:Getty Images

現在、世界各国で大規模な金融緩和政策が実施されておりますが、個人投資家にとって気になるのは、この大規模な金融緩和をどのタイミングで止めるのかということです。

金融緩和を行っているのは各国の中央銀行で、その方針はフォワードガイダンスという発表を見るとある程度予想をつけることができます。

そこで今回は、中央銀行が発表するフォワードガイダンスについて解説します。

フォワードガイダンスの内容や種類についても合わせて解説します。

フォワードガイダンスとは?

フォワードガイダンスとは、中央銀行(金融政策当局)が今後の金融政策の方針を前もって表明することです。

中央銀行は国の金融機構の中核となる機関のため、フォワードガイダンスは国の今後の金融政策とも言えます。

日本の場合は日本銀行(日銀)が、アメリカの場合は連邦準備理事会(FRB)が、EUは欧州中央銀行(ECB)が発表します。

フォワードガイダンスの内容

フォワードガイダンスは何らかの理由により金利がゼロ近辺まで下がり、伝統的な金融政策(政策金利のコントロールなど)では対処できないときに用いられる非伝統的金融政策です。

具体的には、中央銀行が「一定の条件を満たすまで金融の緩和を続ける」と宣言することです。

一定の条件はその時々で変わりますが、失業率の改善やインフレ率の上昇といった、景気指標の回復が条件に含まれます。

中央銀行が金融緩和をいつまで続けると宣言することで市場に安心感を与え、市場を活性化させるのがフォワードガイダンスの目的になります。

フォワードガイダンスの歴史

フォワードガイダンスは、1990年代に日銀がおこなった「時間軸政策」が先駆けと言われています。

1998年9月、日本はバブル崩壊後の不景気とインフレ率の低下に悩んでおり、日銀は政策金利を0.25%まで引き下げました。

世界的に見ても例のない引き下げにより、日銀は金利操作という不景気の時にとれる金融操作を使い切った状態に陥りました。

この状態を「ゼロ金利制約」といい、名目金利はゼロより低くできないため、中央銀行の伝統的金融政策だけでは経済を刺激するのは困難な状態です。

そこで日銀は、これまでの伝統的金融政策とは異なる非伝統的金融政策に踏み切ることにしました。

それがゼロ金利政策や量的緩和政策、包括化緩和といった金融政策で、時間軸政策も非伝統的金融政策の1つになります。

時間軸政策はゼロ金利政策や量的緩和継続の期間を利用した政策になります。

中央銀行がゼロ金利政策や量的緩和政策をいつまで続けると宣言すれば、その期間は金融緩和が続くと理解され市場に安心感が生まれ、結果として市場に刺激を与えるというが狙いです。

日本では1999年2月よりゼロ金利政策がスタートしました。

同年4月に当時の日銀総裁が記者会見を開き、「デフレが続くうちはゼロ金利政策を続ける」とのコメントを発表しました。

このコメントが、主要国で最初におこなわれたフォワードガイダンスで、その後、FRBなどの各国中央銀行でフォワードガイダンスが採用されるになったのです。

フォワードガイダンスの種類

フォワードガイダンスは「一定の条件を満たすまでは金融緩和を続ける」と宣言することですが、この一定の条件によってフォワードガイダンスは次の3つの種類に分けられます。

  • オープンエンド型
  • カレンダー型(日付型)
  • 経済状況ペース型

オープンエンド型は、金融緩和を続ける条件として具体的な数値や日付を用いないフォワードガイダンスになります。

例えば、「金融緩和を続けるのはデフレ懸念が払しょくされるまで」や「状況が改善されるまでかなりの期間を続ける」といったように、抽象的な表現を用います。

カレンダー型は、金融緩和を続ける条件として、特定の日付を明言するフォワードガイダンスになります。

例えば、「金融緩和は今後6ヶ月間続ける」といったように、具体的な日数・期間が明言されます。

オープンエンド型に比べてカレンダー型は期間が明言されている分、透明性と緩和効果が優れており、市場の動向も予想しやすいです。

経済状況ペース型は、金融緩和を続ける条件として経済状況の閾値を用いるフォワードガイダンスになります。

例えば、「金融緩和はインフレ率が年2%になるまで続ける」といったように、具体的な数字が明言されます。

ほかのフォワードガイダンスに比べると、経済状況ペース型はメッセージ性が強い内容になります。

経済状況を基準にすることで中央銀行が目標数値に到達するまでは金融緩和を続けるという強い意志を市場に示すことができ、中央銀行のビジョンが明確になることで市場や国民が今後の経済を予想しやすくなります。

フォワードガイダンスの効果

基本的にフォワードガイダンスは金融緩和をいつまでやるのか、どうなったら止めるのかといった方針を明言する手法です。

種類が3つに分かれていますが、基本部分は一緒で、異なるのは中央銀行が今後の経済状況についてどこまで見通しができているのかという点です。

オープンエンド型のフォワードガイダンスを中央銀行が発信した場合、中央銀行も今後の経済状況がどのように変化していくのか予想がついていないから、期間や経済状況の閾値などを具体的にしていないと分析できます。

一方で、カレンダー型や経済状況ペース型は金融緩和の止め時がある程度明言されているため、中央銀行が今後の経済状況をある程度予想できていると分析できます。

そのため、オープンエンド型のフォワードガイダンスが発表されると市場が不安定になりやすく、カレンダー型や経済状況ベース型だと明るいニュースとして市場が刺激されることがあります。

実際、リーマンショック後に各国の中央銀行はフォワードガイダンスを積極的に進めるようになり、市場に安心感を与えてきました。

2008年12月にアメリカは政策金利を0.25%にまで引き下げるゼロ金利政策に突入しました。

2009年3月の時点でFRBは「低金利を長い間続ける」といったオープンエンド型のフォワードガイダンスを発表しました。

その後、2011年8月、2012年1月には金融緩和の終了時期を明確にするカレンダー型のフォワードガイダンスを発表すると、投資家や市場関係者に対して安心感を与え、結果として景気回復が徐々に進んでいったのです。

まとめ

以上が、フォワードガイダンスの解説になります。

フォワードガイダンスは大規模な金融緩和をいつまで続けるのか、どのタイミングで止めるのかといった内容を宣言する中央銀行の政策です。

目的は大規模な金融緩和がいつまで続くのか明言することで、市場や投資家に安心感を与え、経済を刺激することです。

フォワードガイダンスの内容によって、中央銀行が今後の経済状況をどの程度予測できているのか分析できます。

内容によっては、市場や投資家に不安や動揺を与える場合もあるため、中央銀行のフォワードガイダンスが発表されたら、内容を確認しましょう。

免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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