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政策保有株とは?問題点や現状について解説

出典:Getty Images

株式は株主から資金を集め、事業を運営し、得た利益を株主に還元します。

しかし、株式のなかには保有することが目的となり、資金の空洞化などの問題を招く政策保有株というのがあります。

そこで今回は、問題視される政策保有株について解説します。

政策保有株のどこが問題になるのか、政策保有株の現状についてもあわせて解説します。

政策保有株とは?

政府保有株とは、株式会社同士が相互に株式を所有し合うことで、株式持ち合いとも呼ばれる日本企業独自の仕組みになります。

1960年代ごろから広まった仕組みで、企業が別企業に対して投資をするのではなく、取引先との関係を維持する、あるいは買収防衛といった経営戦略上の目的で相互に株式を保有し合います。

元々は、旧財閥系の企業グループが戦後の混乱でも結束を高めようと互いの株式を持ち合ったことが始まりとされ、銀行を中心に広がり、1990年ごろには上場株式の時価総額の3割が政策保有株になります。

政策保有株は日本特有のコーポレートガバナンス(企業統治)の実行債務で、海外では理解されづらい仕組みになります。

これまで、企業統治の形骸化や資産の有効活用を妨げる恐れから、海外投資家から批判されてきました。

政策保有株の問題点

政策保有株の問題点は、企業の資本が他社株式に投資されることで、空洞化が起きていることが上げられます。

互いに株式を持ち合っている場合は、どちらの会社にも空洞化が起きてしまい、より資本効率が悪化します。

次に、株式を相互に持ち合うということはモノ言わぬ株主を生んでしまうため、議決権行使による監視機能が正常におこなわれない可能性があります。

その場合、経営者の意向に沿った決議となり、株主全体の利益が損なわれる恐れがあります。

また、政策保有株を相互に持ち合っている場合は取引関係における力関係は公平ですが、片方だけが政策保有株を保有している場合、保有される側との間に上下関係が生まれてしまいます。

以上のことから、政策保有株は問題のある仕組みとみなされ、政策保有株を取り巻く環境は変化しています。

政策保有株を取り巻く環境の変化

日本独自の仕組みである政策保有株は、1990年代のバブル崩壊により、その意義と存在価値が大きく揺らぎました。

政策保有株の株価は大きく下落し、損失が広がったことで、金融機関は政策保有株を手放すようになったのです。

また、2002年には政府主導で「銀行等保有株式取得機構」が設立されました。

銀行が保有している政策保有株が下落した場合、銀行の経営が悪化するリスクがあるため、市場を通さずに政策保有株を時価で買い取る機構になります。

銀行への優遇措置や政府の市場への不正介入など批判的な意見もありますが、一方で銀行の財政が安定化され、貸し渋りなどが抑制されて景気が回復する効果を期待されています。

2015年には全上場企業に対してコーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)が導入され、政策保有株の方針を開示することが求められるようになり、2019年3月期の有価証券報告書から開示対象が拡大し、政策保有株を取り巻く環境は変化しつつあります。

政策保有株の現状

政策保有株を所有している企業をランキングすると、三菱UFJファイナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループといったメガバンクがトップ3を占めています。

政策保有株が財閥の結束を固めるために銀行を中心に始まった仕組みという背景を考えると、メガバンクがトップを独占しているのは不思議ではありません。

メガバンクを含めたランキングの上位は1兆円以上の政策保有株を保有しており、メガバンクや金融機関に続くのがトヨタ自動車や京セラといった一般事業会社になります。

一般事業会社のなかで政策保有株を最も多く保有しているのはトヨタ自動車になりますが、メガバンクや金融機関に比べると保有銘柄数は圧倒的に少ないです。

これは、一般事業会社が保有している政策保有株は傘下に入っているグループ企業の割合が高く、100%子会社化しているケースもあるからです。

近年は政策保有株への批判や環境の変化もあり、一般企業で政策保有株の削減が進んでおります。

例えば、2018年に富士通は政策保有株を78銘柄削減しており、その中にはKDDIやOKIといった企業が含まれています。

2020年3月期末までの上場企業の合計時価総額が約548兆円に対して、全上場企業の保有する政策保有株の合計は約52兆円になります。

1990年ごろは、市場の約3割が政策保有株だったのと比べれば、割合が1割まで削減できたことになります。

1990年3月期末の市場全体の時価総額が約479兆円だったので、約3割は約143兆円のため、金額にしてみると約90兆円分の政策保有株が手放されたことになります。

現在の日経平均は高値を記録しているため、企業が政策保有株を売るチャンスと考えても不思議ではありません。

その場合、約52兆円の株式が市場に売りに出されるということは需給バランスが大きく変動する可能性があります。

実際、2021年2月19日に日清食品ホールディングスは、メガバンクが保有する自社の株式、つまり政策保有株を売却すると発表しました。

古河電気工業やトピー工業なども政策保有株を売却すると発表しており、政策保有株が売却される流れとなりつつあります。

まとめ

以上が、政策保有株の解説になります。

政策保有株は企業同士の関係維持や買収防衛といった経営戦略のために保有する株式で、日本特有の仕組みになります。

政策保有株の問題点は健全な企業運営が行えなくなる可能性と、資金の空洞化による効率の悪化で、海外の投資家からは批判の声が上がっていました。

日本ではバブル崩壊後から政策保有株は減少傾向にあり、政策保有株を取り巻く環境は変化しています。

最近は日経平均が高値を記録していることもあり、企業や金融機関は政策保有株を売る動きを見せています。

市場の需給バランスに影響を与えるため、投資をする際は注意をしましょう。

免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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