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「配当王」の中でも特に増配率の高い3銘柄

出典:Getty Images

2021年は年初からのコロナウィルス向けワクチンの普及による景気回復期待を背景に、米長期金利が一時1.7%台後半まで急上昇する中、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数が直近高値から10%超下落するといった調整局面を迎えつつあります。

実際に主要なテーマ型ETFの推移を見ると、年初来以降は米長期金利の急ピッチな上昇による株式バリュエーションの低下から、高成長グロース株が売られやすい一方で、高配当の割安銘柄に優位な相場展開が続いています。

そこで、今回は高配当株戦略の一つとされる「Dividend Kings(配当王)」を分析対象に、投資ユニバースの運用環境及び、長期保有に適した銘柄をご紹介致します。

まず、「配当王」に採用されるために必要な基準として、連続増配年数の条件をクリアする一方で、「配当貴族指数」のように「S&P500種株価指数」の組入れ銘柄かつ、時価総額や流動性(平均取引額)の要件を満たす必要はありません。

図①

配当戦略 連続増配年数 採用銘柄数

(2021年3月末 時点)

増配の判断基準
配当王 50年以上 31 配当支払日を基準に暦年(CY)または会計年度(FY)で年間配当が増加

興味深い事に、「配当王」を構成する31銘柄のうち、約5割弱が時価総額20億ドル未満の中・小型株であり、コカ・コーラの様に誰もが知る大企業でなくても、長期に渡って、連続増配を可能にする強固なビジネスモデル及び、株主重視の経営を実践する優秀な企業が存在しています。

図②

Market Cap Size Number of Dividend Kings Major companies
Mega Caps $200 billion+ 3 Johnson & Johnson Procter & Gamble Coca-Cola
Large Caps $10 billion to $200 billion 13 Lowe’s Companies 3M Company Altria Group
Midcaps $2 billion to $10 billion 11 Commerce Bancshares Federal Realty Lancaster Colony
Small Caps $300 million to $2 billion 4 SJW Group Northwest Natural Universal Corp

また、2021年3月末時点で「配当王」の採用銘柄数は31銘柄のうち、セクター別では、「生活必需品」、「ヘルスケア」、「資本財・サービス」の3セクターで8割強を占めており、特に上位2セクターから分かる通り、ディフェンシブな業種の割合が多い事が特徴です。

図③

図①,②,③:suredividend.com「2021 Dividend Kings List」を基に筆者作成

更に、「配当王」の長期的なパフォーマンスは、「S&P500種株価指数」に対して上回っており、また暴落時の最大下落率も低く、結果的にリスク対比のリターンの指標である「シャープレシオ」が示す通り、連続増配による複利効果の優位性が証明されています。

Portfolio Initial Balance Final Balance Total Return CAGR Best

Year

Worst

Year

Max. Drawdown Sharpe

Ratio

Dividend Kings* $10,000 $272,929 27X 13.03% 40.56% -13.22% -30.78% 0.88
Vanguard 500 Index Investor $10,000 $123,485 12X 9.76% 37.45% -37.02% -50.97% 0.56

*上記数値は1993年1月を基準に、2019年12月までの期間を参照

出所:MoneyInvestExpert.com「Performance Dividend Kings」を基に筆者作成

実際に、金融危機の発生した2008年における年率リターン、そして、標準偏差 (Annual Volatility)の低さから分かる通り、市場平均のパフォーマンスを目指すインデックス運用に対して、長期目線で運用する際の投資効率が高くなる可能性を示唆しています。

FY2008 Ann. Returns 27 Yr Ann. Volatility (SD)
Dividend Kings -14% 12.5%
S&P 500 -37% 17.3%

出所:simplysafedividend.com

*標準偏差は対象期間におけるリターンのブレを示しており、低い数値ほど優秀とされる

以上の点から「配当王」の様に、数十年に及ぶ連続増配銘柄を中心にポートフォリオを組む事ができれば、世界の機関投資家が運用指標とする「S&P500種株価指数」にも負けないリターンを実現できる可能性もあると言えます。

そこで、2021年3月末時点の「配当王」を構成する31銘柄の過去5年間における株価リターンを見ると、うち8銘柄が2倍以上に上昇しており、いずれも昨年3月のコロナショックの底値からいち早く反発し、特に上位2銘柄はこの1年間で100%以上の上昇率を見せています。

それでは、「Dividend Kings (配当王)」の構成銘柄のうち、過去10年間に渡って、増配率が最も高い上位3銘柄をご紹介致します。

Ticker Sector  Dividend Increases

(Years)

Dividend Yield Payout Ratio DGR5y

(CAGR)

DGR10y
(CAGR)
1 LOW Consumer Cyclical 57 1.3% 29.6% 15.98% 18.24%
2 HRL Consumer Defensive 55 2.0% 57.7% 12.08% 15.17%
3 NDSN Industrials 57 0.8% 32.9% 10.52% 14.22%
4 PH Industrials 64 1.1% 31.8% 6.91% 11.93%
5 MMM Industrials 62 3.0% 62.9% 7.07% 10.73%
6 DOV Industrials 65 1.4% 41.9% 8.07% 10.67%
7 AWR Utilities 66 1.8% 55.9% 8.16% 9.68%
8 CBSH Financial Services 10 1.4% 35.8% 9.26% 8.81%
9 FUL Basic Materials 51 1.0% 17.8% 4.56% 8.79%
10 SCL Basic Materials 53 0.9% 15.7% 9.41% 8.78%

出所:suredividend.com「2021 Dividend Kings List」を基に筆者作成

*上記各項目は2021年3月28日時点のデータ

ロウズ

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
10.8% 10.33% 229.23% 6.26% 18.50%

年間チャート

コメント

1921年創業の同社(NYSE:LOW)は、ホームセンターとして世界第二位の市場シェアを持つ小売企業であり、北米とメキシコを中心に約1,970店舗を展開しており、持ち家所有の個人から不動産賃貸といった業者向けに、家電全般・木工製品・園芸具・照明器具・キッチン等の水回り製品等の住宅修繕に欠かせないツールやキットを幅広く取り揃えています。

同社の強みはその店舗型とオンラインを融合した幅広い販売網であり、最大手の米ホーム・デポをを含めた寡占市場における競争優位性を武器に、足元で営業利益率が2桁台に改善しつつあり、また2020年10~12月期の全米住宅価格指数が過去最大の伸び率を記録する等、歴史的低水準のローン金利を背景とした住宅需要の増加も経営の追い風になっています。

20年通期の業績は、売上高が前年比24%増かつ、純利益が同36%増の増収増益とコロナ禍で在宅時間の増えた消費者の自宅改修ニーズを追い風に、住宅資材の販売が好調となり、第4Qの既存店売上高が28%増となる一方で、22年通期では経済正常化により減収の見通しを発表した事が嫌気されましたが、株価は直近5年間で2.7倍上昇と市場平均を凌いでいます。

財務面では、カナダの販売店舗の拡大といった戦略的支出と、配当性向35%を目標とした配当の継続かつ、上限200億ドルの自社株買い等の株主還元政策を明確にしており、長期目線で持続可能な経営体制が整備されている点において、投資妙味が高いと言えます。

ホーメル

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
10.8% 8.22% 20.88% 2.90% 8.56%

年間チャート

コメント

今年創業130周年を迎える老舗食品メーカーの同社(NYSE:HRL)は、食肉市場において時価総額で約250億ドルの世界最大手として、80ヵ国以上の地域に常温保存型の加工肉製品やプロテイン等の健康サプリメントまで幅広いラインアップを提供しており、特にオリジナルブランドでは35種類にも及ぶカテゴリーでトップまたは、2位の市場シェアを占めています。

現在、食肉市場は人口増加や中間層の台頭を背景に年々拡大傾向にあり、米CBインサイツによると、2018年時点で米国人1人あたりの赤身肉と鶏肉の消費量は過去最大の220ポンドに達し、特に同社の売上げ全体の9割を占める米国は戦略的に最重要とされています。

主な事業セグメントは4部門で、缶入り加工肉「スパム」等を扱う食品雑貨品、ピザの「ペパロニ」等の冷凍食品、七面鳥の加工食品の「JOTS」と海外その他から構成されており、食肉以外にもピーナツバターの「SKIPPY」やサルサソースの「Herdez」も含め、計51種類にも及ぶ食品ブランドを展開しています。

また、同社は25期以上増配を続ける銘柄で構成する「S&P500配当貴族指数」にも採用されており、これまでの連続増配記録は55年と近年の金融危機やコロナ禍でも株主還元政策を一貫して継続、過去10年間においては年複利成長率15%の増配率を実現しています。

ノードソン

財務情報

TTM YOY 10-Year Average Growth Rate
営業利益率 フリーキャッシュフロー・マージン フリーキャッシュフロー成長率 売上高成長率 EPS成長率
21.9% 22.52% 41.81% 7.37% 5.69%

年間チャート

コメント

1954年に「US Automatic Company」において、スプレー式塗料やコーティング剤の技術部門として、創業した同社(NASDAQ:NDSN)は今や、世界35カ国以上で接着剤、コーティング剤、シーラント、生体材料などのディスペンス、流体管理、試験・検査、その他特殊化学製品を消費者向けの非耐久財、耐久財、技術系の最終市場向けに設計から販売まで手掛けています。

特に開発設計において、累計1926件にも及ぶ特許技術を武器とする精密技術の製品ラインアップを整備しており、また年間20億ドル以上の売上げ6割超を海外で販売できるプレゼンスに加えて、医療、電子機器、半導体市場等の幅広く分散された顧客層に強みがあります。

売上げ全体の50%超を稼ぐ主力の「IRS」部門では、材料消費量の削減、製品ラインの効率化を実現する独自のディスペンサーと加工技術といった3種のブランドを提供、また「ATS」部門は表面処理、精密に制御された材料のディスペンス及び、試験・検査等の生産工程で見られる顧客のニーズに沿って統合された製品技術を開発しています。

業績面では、コロナ禍で自動車や電子機器市場向けディスペンサーの販売が落ち込み、20年通期は2期連続となる減収減益と苦戦を強いられる一方で、主要2部門いずれも営業利益率20%超を維持かつ、過去5年間でEBITDAマージンは年複利成長率5%で拡大しており、直近21年第1Qでは当初ガイダンスを上回る売上高を発表する等、業績の底入れを背景に、株価の昨年11月以来となる過去最高値更新が期待されています。

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新型コロナウイルスの感染再拡大で未だ予断を許さない状況ですが、ワクチン開発で大きな進展が示されるなど、厳しい状況の中にも明るい兆しも見えてきています。2021年にかけて成長ストーリーを持っている5銘柄を紹介します。

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免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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