The Motley Fool

SFAの世界で急速に成長するズームインフォは何が凄いのか?

出典:Getty Images

SFAというのは、「Sales Force Automation」の略で、営業の自動化というような意味です。

営業はこれまでデータの取得・分析・実際の営業活動など、職人技に頼るようなところがあり、凄い営業はスターで引っ張りだこになる一方で、セールスが上手く行かず、消えていく人も多いような職種と言われていました。

この状態は、営業力のある営業社員にはとても有利に働きますが、組織にそのノウハウなどが蓄積せず、あまり効率的ではありませんでした。

SFAというのは、営業の仕方を出来るだけ自動化して助けるシステムで、これによって営業力のムラをなくして全体のレベルを上げようとするものです。

CRMの概要

この世界で既に地盤を築いているのが、昨年、ダウ30種工業平均(所謂、NYダウ)に採用されたセールスフォース・ドットコム(NYSE:CRM)です。

ティッカーシンボルにもなっている「CRM」というのは、「Customer(Client)Relationship Management」の略です。

顧客情報に関して、人事・組織情報や営業記録などを一元的に管理し、営業の進捗管理などをすることで、営業をサポートするシステムです。

こうした顧客管理システムは非常に良く出来ているものの、データがきちんと入っていなければ宝の持ち腐れです。

これをGIGO(Garbage In Garbage Out)と言います。

どんなに良いシステムでも、データがきちんとしていなければ、大したものは出てこないということです。

営業データのほとんどは、営業社員が得た情報を営業社員が自らインプットして、貯めていく必要があるということです。

営業社員には、こうした作業が苦手な人も多く、データの精度にムラが出来てしまう、最新の情報とは限らない、というようなことが最大の問題でした。

営業の効率性を上げるための顧客・見込み客情報を営業社員のデータインプットに頼っていたのでは、なかなか効率的にならないし、すぐに古い情報になってしまいます。

正確に情報を常にアップデートしようとすると、時間ばかりかかって、営業活動が出来なくなってしまいます。これでは本末転倒です。

ビジネスインテリジェンスのズームインフォ

この問題の解決に大きな貢献をするのが、今回紹介するズームインフォ・テクノロジーズ(NASDAQ:ZI)です。

名前がウェブ会議システムのZoom Video Communicationsと似ていますが、全く関係ありません。

資本系列もない全く別の会社ですので、ご注意ください。

このズームインフォは、顧客や見込み客の人事・組織情報、企業活動情報などを、営業社員に代わって常に最新の情報を保有し、ユーザーが使えるような状態にしています。

それによって、自社の商品・サービスのターゲット企業のリストアップ、コンタクト情報の獲得したり、ターゲット企業を可能性でランキングしたり、その企業が自社の製品・サービスを購入する可能性についての兆候をモニターしたり、セールス(ディール)プロセスの進捗の管理をしたり、その営業活動に役立つような洞察や分析を提供してくれたります。

こうした情報を自分で集めずに、利用出来たら、非常に効率的な営業が出来ると期待できると思います。

これは非常に画期的で有用なサービスです。

(ZI 2020年第4四半期業績発表資料より)

そんな情報があったらとても素晴らしいと思うものの、どうやってその情報を集めているのか?企業の情報、個人情報が漏洩しているのではないかと心配になってしまいます。

合法的にしかもタイムリーに集めることが出来ることなどできるのか?と疑問を持たれた方も多いかと思います。

ズームインフォの情報源は何なのでしょうか?ここにこの会社の凄いところがあります。

(ZI 2020年第4四半期業績発表資料より)

同社は情報源として4つを上げています。

  1. コミュニティ・エディション・ネットワーク
  2. ウェブサイト
  3. データ・トレーニング・ラボ(300人のリサーチャー)
  4. 一般に誰でも使用できるデータ

3.はデータソースというよりは、データの妥当性をチェックする機能で、むしろデータの収集というよりは、データをクリーニングする機能です。

重要なのは1.と2.です。

コミュニティ・エディション・ネットワーク

ズームインフォには、有料バージョンと無料バージョンがあり、無料バージョンをコミュニティ・バージョンと呼びます。

このコミュニティ・エディションは、無料でズームインフォのデータを使用できます。

その代償として、ズームインフォのデータを常に最新するために、自分のビジネス・コンタクト・リストをズームインフォにシェアすることを承認します。

データを提供しますが、その一方で、自分のビジネス・コンタクト・リストをネットワークのほかの人から提供されたデータをベースに常に最新の情報にしてもらうことができます。

基本的にここで収集されるデータは、名刺情報などの通常のビジネス活動で得られるものです。

データベースに載せる前にそのデータの妥当性のチェックが行われます。

また、データベースに新たに加えられるビジネスパーソン(プロフェッショナル)は、その旨の通知をもらいます。

その際に、データのアップデートやデータの削除の請求の仕方などのインストラクションももらいます。

すなわち、本人が嫌ならデータから除外してもらうことが出来る、という形で、本人の事後承諾を得ているような形態です。

このコミュニティ・エディション・コミュニティからのデータ情報が既に1日1億件近くあるとのことです。

これは、このコミュニティが大きくなればなるほど多くなり、正確さも増してくることになります。

役職者(キーパーソンレベル)の人からすれば、名刺情報レベルのものは、秘密にするようなものではないので、多くのケースではとくに削除要求もなく承認されるのであろうと想定されます。

これがデータ収集の大きな情報源になっています。

オンライン情報源

38百万以上のウェブサイトを毎日スキャンしてデータを収集しています。

そこで得られる人事情報・組織情報などを企業別に収集していきます。

この過程では、AIや機械学習などの力を借りて、情報収集を行っています。

これらは、基本的に公開情報でもあるので、特に問題なく使用できるかと思います。

大量のデータをAIや機械学習などを使って取得している、ということであっても、やはり最後に人間の目を通す必要があります。

データ・トレーニング・ラボ(300人のリサーチャー)

コミュニティ・エディションやウェブサイトからの大量のデータも、やはり最後はリサーチャーと呼ばれている人間が妥当性のチェックを行い、妥当であると認められたもののみをデータベースに加えられます。

コミュニティ・エディションによる、自発的なデータ提供によるデータ構築の仕方は、SNSの仕組みを上手く応用したものと言えます。

また、ウェブ上に存在する情報は公開情報ということで利用可能だと分かっていても、毎日38百万サイトをチェックすることを実行する人はいませんでした。

しかし、AIなどの出現でそれも機械的に実行することが可能になりました。

コミュニティ・エディションの情報とAIを使ったウェブサイトから得た情報というのが、正確性もそれなりに高そうであるし、断片情報の集合体でも、何か意味のある実態がつかめそうにも思えます。

SFAの仕組みを作る企業というよりは、このデータの集め方がユニークで、この企業の凄いところ、エッジと言えるかと思います。

営業の自動化を目指す、ベンチャー企業が沢山生まれています。

それだけ営業は非効率に行われているということでもあります。

ズームインフォはかなりの優れものかと思います。

データベース系のビジネスは、ともかくデータの量と正確さが肝になります。

新たな国への進出ということになると、最初のデータ構築までをどのように短期化して行うかがポイントになるかと思います。

早く日本でも展開してくれないかと期待してしまいます。

フリーレポート配信

新型コロナウイルスの感染再拡大で未だ予断を許さない状況ですが、ワクチン開発で大きな進展が示されるなど、厳しい状況の中にも明るい兆しも見えてきています。2021年にかけて成長ストーリーを持っている5銘柄を紹介します。

2021年注目の5銘柄」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。

公式ツイッターアカウント公式フェイスブックアカウントをフォローする。

また、公式LINEアカウントの方では、投資初心者向けの情報を発信しています。
友だち追加

免責事項と開示事項 記事の作者、松本義和は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

最新記事