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スエズ運河の封鎖で問題点浮き彫りに。経済への影響は?

出典:Getty Images

3月23日に、世界最大級の巨大コンテナ船「エバー・ギブン」が、エジプトのスエズ運河で座礁した問題で、世界のサプライチェーンや様々な分野への影響が懸念されています。

スエズ運河は、地中海と紅海を結んでいることから、アジアと欧州を繋ぐ重要な運河であり、世界貿易において最も重要な水路の1つです。

通航できる船の大きさ、総通行量共にパナマ運河を上回っています。

この巨大コンテナ船「エバー・ギブン」がどれほど大きいのかと言いますと、米ニューヨークにあるエンパイア・ステート・ビルディングの高さほどの全長を持つということです。

巨大コンテナ船が座礁した後、懸命な復旧作業が続けられ、遂に3月29日「エバー・ギブン」の離礁に成功、翌日未明には通航が許可され、実に7日ぶりに通航が再開されました。

待機船は420隻超え

スエズ運河の入り口付近、また周辺海域で待機を余儀なくされたコンテナ船やタンカーなどの船は、420隻を超えていました。

突然立ち往生させられたコンテナ船やタンカーの中には、100隻を超える原油タンカーが含まれていました。

毎日、200万バレルの原油がスエズ運河を行き来している中、大型コンテナ船「エバー・ギブン」がスエズ運河を封鎖したというニュースが世界中に流れ、原油価格は一時5%近く上昇し、原油の供給に対する混乱が懸念されました。

また、スエズ運河の封鎖が長引けば、中東産の原油や天然ガスなどが欧州に届かず、大きな供給不足に繋がる危険性も指摘されていました。

今回、待機を余儀なくされたコンテナ船の中には、食品や牛などの家畜、電化製品、電子機器、家具、またトイレットペーパーなどの日用品まで、ありとあらゆる様々なものが入っていました。

スエズ運河庁のトップであるオサマ・ラベイ氏によれば、スエズ運河が再び自由に通過できるようになった後、最初に優先させて移動させた船は牛などの「家畜」を積んでいた船だったという事です。

また、記者会見で「立ち往生していた420隻以上のうち113隻は、3月30日(火曜日)のうちに運河を横断できる予想だ」と述べました。

今回、スエズ運河の運航を一時的に封鎖したことで、世界貿易において1日90億ドル分が、立ち往生となりました。

スエズ運河の開通を待つ船は少なくとも367隻にのぼり、その他の船は、ルートを変更し遠回りして目的地を目指しました。

遠回りを余儀なくされた船は、余分に日数と数十万ドル分の燃料費を必要とします。

また、データ会社のRefinitivによれば、エジプトの重要な収入源になっているスエズ運河の通行料において、運河の一時的封鎖に伴い、9,500万ドル以上の収入(通行料)を失ったということです。

世界のサプライチェーンの遅れ

昨年、世界中に感染が広がった新型コロナウイルスの影響で世界のサプライチェーンに遅れが生じました。

今回のスエズ運河の封鎖は、既に遅れが生じている世界のサプライチェーンに更なる負担をかけることになります。

この状況に対し、サプライチェーン管理協会の専門家は「スエズ運河の運航が再開されても、世界貿易の混乱は引き続き継続される」と述べており、「船の解放と運河の運航再開が成功したからと言って、問題がすべて解決したわけではない」と厳しい見方を示しています。

世界貿易の約12%は「エバー・ギブン」のような約2万個のコンテナを収容できる巨大コンテナ船によって運ばれ、毎日90億ドル以上の商品がスエズ運河を行き来しています。

また、ノース・イースタン大学の政治学の教授であるスティーブン・フリン氏は「この大規模な7日間の混乱は連鎖的な影響が継続され、正常の状態に戻る兆しが少し見えて来るまでに最低でも60日間はかかる」と述べており、連鎖反応として港が混雑したり、旅行や物流において次に予定されていた場所、時間にいるはずの船がそこにいなかったりと、各船1隻ずつに関連したビジネス全体も、今回の混乱の影響を大きく受けると指摘しています。

そして、政治学の教授であるスティーブン・フリン氏が、最も重要な事として挙げたことは、新型コロナ・ウイルスの影響でコンテナ不足が起きており、既に存在するサプライチェーンの遅れをさらに悪化させる、という事でした。

昨年、新型コロナウイルスのパンデミックが世界中に起こり、私たちはサプライチェーンの危うさに直面しました。

その後、世界の各企業や国は、中国依存によるリスクからの脱却を目指し動き始めました。

今回、スエズ運河が一時的に封鎖されたことで、再び世界のサプライチェーンの危うさ、または脆弱さというものが浮き彫りになりました。

大型コンテナ船は、大量、重量物の運搬を可能にし、エネルギー効率も良く、環境負担が少ない運搬方法であり、現代の世界貿易において欠かすことのできない重要なものです。

脆弱さが明るみに

大型コンテナ船は利用できる港湾が限られていることから、今後もアジアと欧州を結ぶスエズ運河を大型コンテナ船が通過することは世界貿易において必須であり、海運業界はここから大きな課題に立ち向かうことになります。

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