【米国株動向】ストア・キャピタルは注目に値する配当株か?

モトリーフール米国本社、2021年3月25日投稿記事より
良い配当株と偉大な配当株があります。その違いは配当投資家にとって重要です。
したがって、ストア・キャピタル(NYSE:STOR)が偉大な配当株か疑問を感じる場合は、その他の2つの偉大なリートと比較してみるとよいでしょう。
1.コアビジネス
ストア・キャピタルは、ネットリースを行っているリートです。
つまり、賃借人が不動産の賃貸料だけでなく、税金などの費用も負担する形式のリース事業を行っています。
これは一般的に、リート分野ではリスクの低い投資と見なされています。
これを行っているのは、ストア・キャピタルだけではありません。
業界の巨人であるリアルティ・インカム(NYSE:O)と長い歴史を持つW.P. キャリー(NYSE:WPC)もネットリース事業を主力事業にしようと考えています。
ストア・キャピタルの約2,600物件のポートフォリオは、リアルティ・インカムの約6,600物件の半分以下ですが、W.P.キャリーの約1,250物件を大きく上回っています。
リアルティ・インカムとストア・キャピタルは、どちらも小売業向けの不動産に重点を置いているのが特徴です。
W.P.キャリーのポートフォリオはかなり多様化しており、工業用不動産に重点を置いています。
そのため、小売業向けのポートフォリオが結果的に小さくなっています。
W.P.キャリーのポートフォリオのうち、わずか18%が小売業向けです。
時価総額で見ると、ストア・キャピタルが86億ドル、W.Pキャリーが120億ドル、リアルティ・インカムが234億ドルです。
ストア・キャピタルの規模は比較的小さいですが、かなり若いリートであるため、それを気にする必要はありません。
規模が小さいのは悪いことではありません。
それは、より簡単に成長できることを意味します。
例えば、リアルティ・インカムとストア・キャピタルの購入物件の数が同じであれば、ストア・キャピタルの方が売上と利益に大きな影響を与えます。
また、ストア・キャピタルは現時点でライバル達と競争するのに十分な規模を持っているため、サイズが障害になることはありません。
2.ストレステスト
ストア・キャピタルは2011年に設立され、2014年に上場しました。
つまり、当リートは、2007年から2009年のリーマンショックの深刻な不況を経験していません。
つまり、危機に対応した経験がないのです。
そのため、パンデミックが発生したとき、投資家はストア・キャピタルの経営陣が危機を切り抜けられるか不安を感じました。
一方、リアルティ・インカムとW.P.キャリーは、多くの不況を乗り越えてきました。
しかし、ストア・キャピタルはこの危機をうまく乗り越えました。
パンデミックの初期には家賃の回収率は劇的に低下しましたが、その後は順調に回復しています。
ストア・キャピタルは現在、賃料の約93%を回収しています。
これは、リアルティ・インカムと同レベルですが、W.P.キャリーの回収率を数パーセント下回っています。
ストア・キャピタルは、危機への対応能力を発揮しました。
当リートのトラックレコードは、リアルティ・インカムやW.P.キャリーに比べれば短いですが、危機への対応能力をマーケットにアピールしたといえます。
3.配当
リートは、配当を通じて株主に収入を還元するよう特別に設計されています。リアルティ・インカムは、28年の増配実績があります。W.P.キャリーは24年で、ストア・キャピタルは6年です。
ただし、ここで考慮すべきことがあります。
第一に、ストア・キャピタルは、今年の第3四半期に増配を行いました。
パンデミックは明らかに進行中であり、配当の引き上げは強さの表明でした。
当然のように、リアルティ・インカムとW.P.キャリーも四半期配当を増やしました。
配当に関しては、W.P.キャリーはこの3社におけるトップであり、6.1%の配当利回りを提供しています。
なお、リアルティ・インカムの利回りは約4.5%、ストア・キャピタルの配当利回りは4.4%です。
これは、W.P.キャリーが工業用不動産を多く保有していることが影響しています。
しかし、ポートフォリオの類似性を考えると、ストア・キャピタルの利回りがリアルティ・インカムの利回りよりも低いのは興味深いといえます。
ストア・キャピタルは若干配当を抑えることで、成長のために資金を会社に残しているのだと思われます。
配当の伸び率は、ストア・キャピタルが本当に差別化を図っている分野の1つです。
2016年以降、配当は33%と大幅に増加しています。
これは、リアルティ・インカムやW.P.キャリーを保有する投資家にとっても魅力的な水準です。
ストア・キャピタルは注目に値する配当株か?
ネットリース業界で最も古く、最も尊敬されているプレーヤーのいくつかとストア・キャピタルを比較しても、それ程遜色はありません。
ストア・キャピタルは「良い」リートといえます。しかし、「良い」ことは必ずしも「偉大」ではありません。
ストア・キャピタルには、それを「偉大」なカテゴリに分類するだけの歴史がまだありません。
しかし、これはストア・キャピタルへの投資を勧めないという意味ではありません。
配当と成長を同時に求める投資家にとって、ストア・キャピタルはおそらくリアルティ・インカムやW.P.キャリーよりも良い選択でしょう。
注意すべき点は一点だけです。
長い歴史の中で何度もその偉業を達成してきた他の2つのリートとは異なり、ストア・キャピタルはパンデミックという1つのストレステストを生き延びただけであるという点のみです。
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免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Reuben Gregg Brewerは、W.P.キャリー株を保有しています。モトリーフール米国本社は、ストア・キャピタル株を保有し、推奨しています。