The Motley Fool

「冷静」になるには「想定外」はいい機会

出典:Getty Images

やや規模が大きな「個人マネー」がマーケットを左右する報道が出ています。

日本では、モダリス(4883)の大株主であった個人投資家が、モダリスのIPO後ロックアップ期間中にロックアップ対象株式を売却していたことが判明しました。

この件に関しては1社に関してのみの影響ですが、似たような立場の株主がほかにも存在しており、株主間の公平が保たれなかったことは事実です。

当該株主とモダリス社との間で、金銭解決する方向で幕が引かれそうですが、今後のIPOを想定しているスタートアップ企業のCFOは、同様の事態を防ぐためにはどうすればいいのか頭を悩ませているかもしれません。

書面で誓約書を交わしても防げないことが明らかになったからです。

アメリカで発生したのはアルケゴス・キャピタル・マネジメント(以下:アルケゴス)という個人マネーの資産管理会社が要求されたマージン・コール(追加担保要求)に伴う巨大なポジションの換金売りでした。

そのブロック取引の規模は200億ドルといわれていますから、日本円に換算すると東証1部の1日の売買代金と同じぐらいの金額を、事実上いち投資家が数時間の間に売ったことになります。

この事象が引き起こしているのは「投資家がわからないことへの不安」とでもいえましょうか。

アルケゴスが巨大な売りを実行しなければならなかった理由の一つとして、急いでお金を用意しなければならなかったことが想像されます。

500億ドルともいわれるアルケゴスが保有するポジションには様々な種類の有価証券があると想像します。

その中で換金しやすいものから売ったと思われます。

結果、「換金しづらいもの」がアルケゴスの手元に残っているとなると、アルケゴスの資金繰りが悪化していくことで、投資家の不安を増やします。

また、アルケゴスと同様の資金がマーケットにはまだまだたくさんあるのではないかという懸念を持つ投資家もいるはずです。

実際、3月30日は規模こそ相対的には小さいとはいえ、三菱UFJ証券HDが野村HD(8604)と同様のリリースをしています。

投資信託などと違い、アルケゴスのような資産管理会社と呼ばれる投資家は、その運用状況等の開示を要請されません。

裏を返すと、アルケゴスのコピーに近い性格の資金が実はたくさんあるかもしれないとマーケットの関係者が考えるわけです。

そんなわけで日本の新年度早々、「よくわからない」ことへの不安による不穏感が漂うマーケットですが、過去にもこのようなことはありました。

古いところではLTCM(Long Term Capital Management)というヘッジファンドが流動性に乏しい有価証券を多く所有していたことによって、資金繰りが悪化し、息の根が止められました。

リーマンショックも、売りたいときに買い手がほとんどいない有価証券が多数発行され、多くの投資家がそれを持っていたことによって発生したものです。

マーケットでは不定期に前述したような「想定外」のことが起きます。

そしてそれを何度も経験すると、不思議なもので「想定外」の事象に慣れます。

相場における「想定外」も、繰り返せば慣れる

折しも、筆者は先週までの日本株マーケットに過熱感を感じていました。

東証1部の25日移動平均騰落レシオ(買われすぎ、売られすぎを示すと呼ばれる投資指標)は買われすぎを示す130%を超えていました。

マーケットは上がり続けも下がり続けもせず、どちらかへ向かっている勢いは必ずいつか動き方が変わります。

「個人マネー」が引き起こしている不穏なセンチメントは、上昇傾向にある日本株の勢いを止めるきっかけになるかもしれません。

しかしながら、「安くなったら買いたい」と考えている投資家も少なくないはずです。

そのような投資家はプライスが下がるのを待っています。

そのような買いのエネルギーをマーケットに取り込むためには、いったん下げることも必要だと考えます。

しばしはマーケットを不穏な空気が支配する可能性があります。

その間に、自分のポートフォリオを点検しておきましょう。

自分が持っている有価証券は、何がどういう状況になったら儲かるのか、どういう状況になったら損するのか。

それらの見解に対して近い将来に対する予想を自分なりにやってみて、そしてホールドし続けるのか、やめるのか。

リスク性資産と非リスク性資産の割合をどうしたいのか、売るべきものは何か、買うべきものは何かなど、考えておくべきことはたくさんあります。

マーケットに漂う不穏な空気は自分を冷静にさせてくれる機会だと思いましょう。

その機会はありがたくなくても、その機会を繰り返せば、「想定外」のときに自分に吹く逆風を弱めていくことが可能になると思います。

マーケットに我々に見えない要素がある以上、これからも「想定外」は起きます。

その要素は機関投資家でも想定できていないものであることが少なくありません。

機関投資家と個人投資家では情報格差がどうしても生じます。

それを踏まえてマーケットと付き合うことが大事だと思います。

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