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テーパリングとは?テーパリングが実施されるタイミングについても解説

出典:Getty Images

新型コロナの感染拡大により、各国の中央銀行は大胆な量的緩和策を実施しました。

すると問題になるのが、この量的緩和策をどのタイミングで縮小するのかという、テーパリングに関する議論です。

そこで今回は、テーパリングについて解説します。

テーパリングの意味や、過去の事例、テーパリングが実施されるタイミングなども併せて解説します。

テーパリングとは?

テーパリングとは、量的緩和政策による金融資産の購入減額を指す経済用語です。

英語で「tapering」のことで、taperは先細り、漸減を意味します。

景気が後退する、あるいは社会的要因により経済が冷え込むと、政策金利の引き下げが行われます。

金利を引き下げることで資金調達がしやすくなり、生産設備投資の拡大が行われ、業績が向上するのが狙いです。

しかし、政策金利が実質ゼロ水準にあり、これ以上引き下げることができない状況下だった場合、中央銀行は量的緩和策を実行します

量的緩和策とは、中央銀行(日本の場合は日銀)が国債や不動産担保証券などを大量に購入することで市中に資金を供給し、景気を向上させる金融融和策です。

テーパリングは、この量的緩和策の購入額を順次減らしていくことになります。

タイミングとしては雇用統計などの景気指標が一定の改善を見せた時で、購入額を減らすことから出口戦略とも呼ばれています。

テーパリングの過去の事例

テーパリングの過去の事例でいえば、2008年のリーマンショック後が上げられます。

アメリカで起きたリーマンショックにより、連邦準備理事会(FRB)は政策金利をゼロ%近辺まで引き下げ、量的緩和策として国債や不動産担保証券などの資産を購入し始めました

2008年から2015年までに積み上げた米国債は約2.5兆ドルに達しました。

リーマンショックから7年が経過し、雇用統計も改善されたことから、2015年ごろかFRBはテーパリングを開始しました。

まず、国債や不動産担保証券の購入額を減らし、残高がこれ以上積みあがらないように調整。

2016年からは政策金利を段階的に上昇させます。

購入減額と政策金利の利上げにより、2018年から米国債や不動産担保証券の残高が減少し始めていました。

このままテーパリングが進んでいくのではないかと予想されていましたが、2020年に状況が一変しました。

2020年は状況が反転する

2020年3月頃から新型コロナの感染が拡大したことにより、世界規模で経済に大きな狂いが起きてしまいました。

一時は2.5%まで上昇していたアメリカの政策金利は0.25%まで引き下げ、FRBはリーマンショック後のペースを上回る勢いで米国債を2カ月で1.5兆ドルも買い足しました。

4月になり市場がある程度安定すると、FRBは米国債を月800億ドル、不動産担保証券を月400億ドルのペースで購入するようになりました。

つまり、リーマンショック後の量的緩和策のテーパリングは、2020年になって中止となったのです。

テーパリングが実施されるタイミングは?

新型コロナの感染拡大により起きた経済の混乱により、FRBは政策金利を大幅に引き下げ、米国債などの購入という量的緩和策を実行しました。

新型コロナによって量的緩和策が実施されたことから、テーパリングが実施されるのも新型コロナの感染が収束したころだと言われています。

例えば、ワクチン接種が進み、世界的に見ても感染者数が減少、あるいは量的緩和策などにより景気が回復し、経済指標が好調になれば、テーパリングのタイミングになります。

ただし、テーパリングのタイミングはFRBやアメリカ政府の意向、今後の金融緩和政策と市場の反応など、様々な要素が絡んでいるため、一概に新型コロナの感染が収束した段階とはいえません。

そこでテーパリングの目安になるのがフォワード・ガイダンスです。

フォワード・ガイダンスは中央銀行が発表する将来の指針で、少なくとも2023年まではゼロ金利を維持するとしています。

記事執筆時点でのフォワード・ガイダンスをまとめると、2021年~2022年にかけてテーパリングの実施を予告、2022年から実施し、2023年は保有資産残高を維持しつつ、2024年に利上げを始めるという出口戦略です。

FRBのパウエル議長は2021年2月10日に行われた講演で、「パンデミックを乗り切ったと確認するまで量的緩和策の変更はしない」と発言しており、2月17日の連邦公開市場委員会でもテーパリングの条件が整うまでに時間が必要だと判断しています。

FRBがテーパリングや出口戦略に慎重な理由

新型コロナのワクチン接種が始まったことで、各銀行のトップがテーパリングや出口戦略のタイミングについて議論を始めています。

そのなかでパウエル議長の発言が慎重的なのは2013年の「テーパータントラム」が関係しています。

リーマンショック後に始まった量的緩和策に対して、当時のバーナンキFRB議長はテーパリングの実施を予告しました。

しかし、このテーパリングの予告は市場関係者にとって意表を突く形だったため、債権投資家のろうばい売りを引き起こすという結果を招きました。

長期金利は急上昇し、株価も不安定になり、結果としてテーパリングの実施が遠のきました。

この騒動を、かんしゃくを意味する「Temper Tantrum」とテーパリング(Tapering)を組み合わせた造語、テーパータントラムといいます。

パウエル議長はテーパータントラムを繰り返させないためにも慎重な発言を繰り返しておりますが、かえって市場の疑心暗鬼を生んでいるという指摘もあります。

日本銀行のステルステーパリング

上記までのテーパリングはアメリカの量的緩和策に関することで、日銀はテーパリングに関して独自の動きを見せています。

日銀もFRBと同様に2020年3月より長期国債や日本株ETFを大量に購入する大規模な量的緩和策を発表しました。

日本株ETFの購入上限を年間12兆円と設定し、3月と4月の購入金額は合わせて約2.76兆円と高額で、日本株の暴落を買い支えています。

ところが、2021年に入ってから日銀の量的緩和策に陰りが見えてきました。

例えば、年間最大12兆円と打ち出した日本株ETFの買い入れですが、2021年1月4日から501億円に減額しています。

2020年の買い入れ額の最低ラインが1日おおむね700億円だったのに対して、200億円の減額になります。

短期国債の残高は2020年8月末をピークに減少し、社債や貸し出しも減額傾向にあります。

この購入減額がこのまま続くとなれば、間違いなくテーパリングがすでに実施されていることになります。

しかし、記事執筆時点では日本銀行からテーパリングに関する発表はありません。

テーパリングの告知なしに量的緩和策の縮小を実施することを、ステルステーパリングと呼びます。

日銀は過去にもステルステーパリングと呼べる量的緩和策の購入減額を実施していることから、2021年1月からの購入減額もステルステーパリングの一種だろうと言われています。

まとめ

テーパリングは量的緩和策の購入額を減らすことで、いわゆる出口戦略です。

各中央銀行が行っている量的緩和策を永遠に続けるわけにはいかないため、いずれテーパリングは実施されます。

テーパリングが実施されれば、現在のように中央銀行が国債などの大規模な買い入れを実施しなくなるため、株価や国債に大きな影響を与えます。

投資をする際は、テーパリングについても気をつけましょう。

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