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IPO株に用いられるブックビルディング方式について解説

出典:Getty Images

ブックビルディング方式は、IPO株の価格決定の際に用いられる方法の一つです。

かつてIPO株の価格決定には投資家による入札形式が用いられていましたが、投資家の投機的な思惑により価格が必要以上に急騰することも多かったので、現在はブックビルディング方式が主流です。

競争入札形式による価格決定の問題点を解決するために用いられたブックビルディング方式ですが、IPOについて調べていてもよく分からなかった方もいるかもしれません。

この記事ではIPO株におけるブックビルディング方式について解説していきます。

ブックビルディング方式で公開価格が決定する流れについて

ブックビルディング方式は「需要積み上げ方式」とも呼ばれます。

投資家の需要状況を積み上げて、その結果を元にIPO株における公開価格を決定します。

ブックビルディング方式で公開価格が決定する過程は下記の通りです。

  1. 証券会社・機関投資家による仮条件を決定
  2. 仮条件の範囲内で投資家が購入条件を示す
  3. 結果をもとに公開価格を決定する

一般の投資家の需要状況を把握する前に、IPO株の引受証券会社は公開価格の仮条件を決めます。

例えば、新規上場株の上場適正価格を様々な角度から分析した結果、1,500円が妥当であると判断しました。

しかし、1,500円で売り出した場合、一般の投資家が高いと考えれば株は売れなくなってしまいます。

証券会社の提示した条件が一般の投資家が考える需要と離れてしまうのを避けるために、ブックビルディング方式では適正価格からプラスにもマイナスにも範囲を取って、1,300円~1,700円といったように仮条件を提示するのです。

この仮条件をもとに投資家はブックビルディング期間中に「IPO株をいくらで何株買いたい」という需要状況を申請します。

投資家から集めた需要状況を元に公開価格が決定します。

公開価格が上限の1,700円になった場合は、1,700円未満で申請したすべての投資家のIPO株を購入するための抽選権が失われる仕組みです。

このように、投資家の需要を反映した公開価格の決定と抽選をおこなうのがブックビルディング方式になります。

競争入札方式とは?

現在では採用されることは少ないですが、IPO株の価格決定方法には競争入札方式もあります。

公開株式数の50%以上の株式を一般投資家の参加する入札に付し、その他にも様々な条件を加味した上で公開価格を決定します。

最低入札株式数は東京証券取引所では1,000株単位です。

上限価格を設けていないので、一般投資家の入札によっては価格が大きく跳ね上がることがあります。

ブックビルディング方式は新規の投資家にはメリットが大きい

価格が上昇し続ける危険性がある入札方式よりも、値幅が制限されたブックビルディング方式の方が投資家のメリットは大きいです。

なぜなら、必要以上に高値掴みをするリスクが少ないので、投資家は安心してIPO株を購入できます。

また、IPO株は正式に上場すると株価が公開価格よりも上昇することが多いです。

そのため、IPO株をブックビルディング方式で購入して、上場後の初値で売却しても利益が出やすくなります。

既存の投資家は全体の株数が増えることにより、1株あたりの利益が少なくなるデメリットもありますが、新規の投資家がブックビルディング方式で株を購入するデメリットは少ないといえるでしょう。

ただし、短期から中期の値動きは激しくなるので、中期にかけて株価が公開価格を割る可能性もあります。

IPO株は業績が良く、勢いのある会社が多いです。長期的に業績が大きく上昇すると考えるなら、適正に近い株価で保有しているのですから長期保有をするのもよいでしょう。

新規の投資家は初値売りによる短期での取引か、業績を期待した長期投資どちらのスタンスでもブックビルディングに参加できます。

ブックビルディングに参加するための注意点

ブックビルディングの仕組みについて理解したところで、実際にIPO株を購入するためにブックビルディングに参加するときの注意点について解説していきます。

  • ブックビルディングのスケジュールを忘れずに確認する
  • 確実に購入するなら仮条件の上限価格で申請
  • 株数は証券会社によって指定がある場合もある

ブックビルディングのスケジュールを忘れずに確認する

ブックビルディングは投資家が条件を申請できる期間が指定されているので、期間内に申し込めなければ抽選に参加できません。

購入したいIPO株の上場が決まった際は、引受先の証券会社の口座開設などの準備も必要になりますが、常日頃から上場までのスケジュールを確認しておく必要があります。

抽選に参加することなく、抽選権を失わないためにもスケジュールのチェックを怠らないようにしましょう。

確実に購入するなら仮条件の上限価格で申請

ブックビルディングは公開価格より下の価格で申請してしまうと、申し込み条件を満たしていても自動的に抽選権を失ってしまいます。

また、2021年はIPO株バブルであり、ほとんどのIPO株の公開価格が仮条件の上限価格で決まることが多いのが現状です。

少しでも安く買いたいという心理が働いてしまうところですが、理由がなければIPO株は仮条件の上限価格で申請するのが一番良いでしょう。

株数は証券会社によって指定がある場合もある

自分の資産の範囲内であるという前提ではありますが、ブックビルディングにおいて株数を指定する場合は特に制限はありません。

100株単位での購入という条件はありますが、資産があればどのような株数を指定をしても基本的には問題はないということです。

ただし、証券会社やIPO株によっては購入できる株数に指定がある場合があるので気をつけましょう。

また、仮条件と株数を指定して申請し、当選した場合は必ず購入する義務があります。

後から支払えないことが発覚して購入できない場合は、ペナルティを課されることもあるので注意が必要です。

まとめ

IPO株におけるブックビルディング方式について解説しました。

仕組みを理解した上でブックビルディングに参加し、IPO株の抽選権を獲得しましょう。

また、ブックビルディング方式は証券外務員試験の株式の上場に関する出題範囲にもなりますので、勉強中の方は競争入札方式と合わせて覚えておきましょう。

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