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韓国のアマゾン、クーパンがIPO。投資先としての魅力とリスク

出典:Getty Images

2021年3月11日、韓国のアマゾンと言われるクーパン(NYSE:CPNG)がIPOしました。

Uber以来の大型IPOとなり、多くの投資家に注目されました。

IPOの価格は63.5USDと、新規株式公開時の価格から81%上昇。

その後、3月11日のザラ場では下げて、終値は49.25USDに落ち着きました。

クーパンのIPOは2014年の中国の大手ECアリババ以来の大規模なものとなりました。

クーパンはソフトバンクの出資先でもあり、このIPOでソフトバンクは大きな含み益を手にしました。

韓国のアマゾンと呼ばれるクーパンの実力と、今後の投資先としてのリスクについて解説します。

韓国はEC市場で2022年には世界第4位になる予想

JETROより引用(韓国における電子商取引(EC)市場調査(2020年3月))

日本貿易振興機構(JETRO)のレポートで韓国のEC市場の拡大を確認してみると、2010年代から急激に韓国のEC市場が伸びていることが分かります。

世界的にもEC市場は拡大していますが、韓国も例外ではありません。

特に韓国はアジアの中でもITが進んだ国の一つです。

PCやスマートトフォンから買い物をする人が多いのも想像に難くないでしょう。

では韓国のEC市場は世界的に見ると、どの程度の規模なのでしょうか。

実は韓国のEC市場は世界的にみても大きく現在5位となっています。ちなみに4位は日本です。

2022年には伸び悩んでいる日本の市場規模を抜かし、韓国が第4位になるとも言われています。

勢いのあるEC市場で存在感のあるクーパンが世界的に注目されるのは自然な流れと言えます。

アマゾンのいない間に成長したクーパン

(11番街)

韓国には実はアマゾンが進出しておらず、2020年秋頃にようやくアマゾンが韓国に進出するというニュースが流れました。

韓国の中堅ECの「11番街」を通じてアマゾンが取り扱う商品を販売するというニュースです。

韓国は輸出に力を入れている国です。

サムスンやK-POPなどハード面・ソフト面共に韓国の商品はアジアで存在感があります。

韓国は輸入に関しては関税を設け国内産業を保護しています。

そのため米国のアマゾンが進出しづらい状況が続いたのです。

さらに韓国にはクーパンをはじめとしたEC企業も多く、あえてアマゾンが韓国に進出する強い理由がなかったとも考えられます。

クーパンはアマゾンが韓国進出ができなかった間に実力をつけ、成長することができたという側面もありそうです。

クーパンの取り扱い商品

クーパンは韓国のアマゾンと言われるだけあり、取り扱い商品は多岐に渡ります。

アパレル・食品・インテリア・家電・書籍・ペット用品・さらには旅行代理店までしています。

ホテル予約やレンタカーまで扱っているのです。

クーパン一つで生活に必要な商品が何でも買えてしまいます。

クーパン独自のマーケティング戦略も展開

(クーパン公式ページ)

クーパンのWebサイトを日本語訳してみると、ロケット送料・ロケットフレッシュといった単語が並びます。

このロケットというサービスが、クーパンを支える人気の秘密です。

簡単にいうとロケットサービスは「速達」のこと。

商品を注文すると24時間以内に配送してくれるサービスです。

またサイト内でクーポンを大量にばら撒くプロモーションを展開するなど、単に沢山の商品を揃える以外にもマーケティング戦略も積極的に展開しています。

クーパンの決算

(S-1)

クーパンの決算をS-1から確認してみましょう。

Total net revenues(総売上)をみると、4,053589(千)USD、6,273,263(千)USD、11,967,339(千)USDと右肩上がりに伸びていることが分かります。

IPOをする企業は赤字のことも多いので、売上の伸びが注目されます。

売上の伸びに関しては、勢いよく伸びていると判断して良いのではないでしょうか。

一方でNet lossなどの純損失の項目をみると、売上は伸びているものの、赤字経営が続いている状況です。

どちらかと言えば多くのIPO銘柄と同様、成長性に期待して買うタイプの銘柄です。

しかし、クーパンの赤字は先行投資で物流に力を入れるために必要で、先行投資の赤字幅も縮小傾向にあります。

クーパンが抱えるリスク

クーパンには韓国の2つのカントリーリスクがあります。

一つは北朝鮮との関係、二つめは文在寅大統領の政策です。

直近、注目するべきは後者の文氏の政策の方です。

文大統領の政策は賃金の大幅な引き上げや労働時間の短縮といった労働者によった政策です。

クーパンのロケットサービスは、多くの自社採用の配達員に支えられています。

労働者寄りの政策が進めば、クーパンのオペーレティングコストが上昇するのは免れません。

ただ、韓国の労働者の置かれている状況は、失業率・長時間労働など問題視されており、労働者寄りの政策が指示されるのは自然な流れです。(クーパンの配達員が激務で過労死が発生するなど、社会問題になっている)

また競合のEC企業NAVERも力があります。

NAVERはモール型で、日本でいう楽天のようなビジネスモデルです。

韓国の物流最大手の企業と組んでクーパンと競合しています。

そして、投資家にとって直接、注意しなければいけないのはロックアップ期間です。

IPO後に通常6ヶ月以上、株式を売却できないという規定がありますが、クーパンは例外規定を設けており、IPO価格以上で取引されている場合は、6日以内に株式売却を開始できるなど、IPO後の売りものの株が意外に早い段階で出てくる可能性はあります。

しかし、クーパンは韓国EC市場全体の拡大で勢いのある企業には違いありません。

Shopifyやメルカドリブレと同様に、EC市場の成長の恩恵を受ける銘柄の一つとして注目するに値する銘柄なのではないでしょうか。

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