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バフェットの今年の「会長からの手紙」から何を学ぶか?

出典:Motley Fool

2月27日に、世界一の投資家、ウォーレン・バフェットの会社であるバークシャー・ハサウェーの年次報告書が公開されました。

そして、その巻頭を飾るのが、バフェットによる、バークシャーの株主への「会長からの手紙」です。

バフェットに関する本はたくさん出ていますが、バフェットが自ら書いて世の中に出ているのは、この「会長からの手紙」だけです。

そういう意味では、本当にバフェットの投資を学ぶのであれば、原典であるこれを読むことは絶対に必要ではないかと思われます。

毎年、この「会長からの手紙」で彼が何を述べるのかは、世界中の投資家の関心の的です。

公開されて、すぐに私も読んでみました。

毎年、学ぶことはたくさんあるのですが、今年もいろいろ学ぶことがありました。

今年の「会長からの手紙」のテーマは以下のようなものです。

  • 業績の概略報告
  • バークシャー型のコングロマリットについて
  • コングロマリットの主要4事業についての概略状況説明
  • 自社株買いの正当性について
  • 投資ポートフォリオについて(上位15社のリスト)
  • バークシャーの企業買収の歴史
  • バフェットパートナーシップからバークシャーパートナーシップへ
  • 株主の分類と、最も重要な長期個人投資家層
  • BHEとBNSFの取り組み紹介
  • 今年の年次株主総会の案内

これらのトピックスの中で、いくつか絞ってご紹介していきたいと思います。

投資ポートフォリオと事業ポートフォリオ

世の中的には、この部分がどうしても注目を集めます。

しかし、保有時価の大きいものから15社の名前がアルファベット順に記載されていますが、あまり、詳細には語られていません。

相変わらず、アップルがトップです。

また、石油のシェブロン(Chevron Corporation、CVX)が入っていることなどが注目されました。

昨年夏に話題になった日本の商社のうち、伊藤忠がランクインしていました。

日本の会社がここに載ったのは初めてではないでしょうか。

経営者としてのバフェットからすれば、100%子会社になっている事業ポートフォリオの中にある会社と、投資ポートフォリオの中にある企業とどちらが大切か、ということで言えば、事業ポートフォリオの中にある企業の方が大事という感じかと思います。

事業ポートフォリオの会社の全ての価値が、バークシャーの財務諸表に表れてくるのではないので、S&P500に勝った負けたと評価されるのも、あまり本意ではないようです。

バークシャーの決算には、事業ポートフォリオの企業からの配当のみが計上されていて、留保された利益剰余金は見えません。

そして、これがビジネスに再投資されて価値を更に高めていく、これが大事であると述べています。

コングロマリットとしてのバークシャー

バークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.A)(NYSE:BRK.B)は、あまり関連性のないビジネスの集合体とも言えます。

これは「コングロマリット」という企業形態です。

コングロマリットは、二つの意味で、あまり評判がよくありませんでした。

一つは、そもそも本当に良い企業であれば、買収対象になる企業は自社より劣った企業であり、自社よりも劣る企業を沢山買ってもより良くはならないだろうということです。

「まあまあの企業」の集合体にしかならない可能性があります。

もう一つは、ウォールストリートの投資銀行の口車に乗せられて、高い買い物をして、ウォールストリートを喜ばせているだけに過ぎないことも起きえます。

結果として、本当に素晴らしい業績を残したコングロマリットは非常に少ないのが現状です。

バークシャーのコングロマリットは4つの主な事業から成り立っています。

  • 保険部門(GEICO、National Indemnity、General Reなど):滞留資金であるフロートが投資ポートフォリオの資金源です。
  • BNSF:アメリカ最大の貨物輸送鉄道
  • BHE(Berkshire Hathaway Energy、BHE):ユティリティ・ビジネス
  • アップル(これは投資ポートフォリオの最大ポジション)

バークシャーのコングロマリットにおいては、支配株主であるかどうかは、あまり大きな問題ではないようです。

アップルに関しては、同社の発行済み株式の5.4%を有しています。

支配権を持たないアップルは別にすると、その他の事業ポートフォリオにおける企業には、支配権を持つのですが、基本的には、それぞれ独立の企業であるかのように、自治権を与えて、それぞれのトップに経営にあたらせています。

バフェットは、信頼をベースにして、金は出すが口は出さない、という姿勢を保ち、それぞれのビジネス部門のヘッドは、その期待に応えるべく企業を成長させています。

ある意味、だからこそ、バークシャー・コングロマリットは成功しているとも言えます。

このコングロマリット経営の基本姿勢は、1983年の「会長からの手紙」に示されており、「私たちの形態は会社ですが、私たちの精神的姿勢はパートナーシップです。」ということです。

バークシャーを親会社として、傘下の企業は、会社法的には支配されていることになりますが、バークシャーは傘下の企業を皆、ビジネスのパートナーとして遇しているということです。

信頼関係をベースにしたこの仕組みは、なかなか他では見られないもので、バフェットの経営の素晴らしさの証左とも言えるものとなっています。

自社株買いについて

バークシャーは昨年自社株買いをかなりしていますし、今後もやっていく予定とのことです。

自社株買い(買戻しの後、金庫株とせず、償却までするという前提で)については、発行済み株式数を減少させるので、保有している株数が変わらなくても、その会社に対する自分の持ち分が増えることになります。

短期的な効果よりも、当該企業の持ち分が増えることが素晴らしい、と考えています。

この彼の考え方は投資家でもなく、むしろ資本家(投資家の究極の形態)の考え方と言って良いでしょう。

アップルの例では、アップル株については、360億ドルのコストで、同社の発行済み株式の5.2%を保有していました。

2020年に一部売却して110億ドルを得ていますが、アップル社の自社株買いの効果で、なんと発行済み株式の5.4%の所有に増えています。

360億ドルのコストのうち、110億ドルを回収しているのに、持ち分は増加しています。

しかも、バークシャーの株主からすれば、バークシャーも247億ドルの自社株買いをしているので、株主の皆さんは売却していなければ、アップルの株式に関して言えば、バークシャーの株式の保有で間接的に保有していますが、アップルの自社株買いとバークシャーの自社株買いの両方の効果で、アップルの間接持ち分がより大きくなっています。

買い戻しの効果は時間をかけてジワジワと現れてきますが、長期的にはかなり強力な投資の効果です。

非常に良いビジネスを行っている企業の株を持っていて、その会社が自社株買いを行っていけば、投資家は追加資金の投入をせずに、その会社の持ち分を少しずつ増やすことができます。

今回のレターの中で、基本的に株式投資は長期投資をしていれば、ポジティブサムゲームなので、誰でも儲かるはず。サルが目隠しして50本のダーツで銘柄を選んでも、途中で入替える誘惑に負けなければ勝てる、というような皮肉も入れています。

上の自社株買いの効果にも示されていますが、超長期の投資があるべき姿であることが前提に語られています。

読めば読むほど、学ぶことが見つかる素晴らしい文章です。

英文で13ページほどの文章です。

あまり英語が得意でなくても、少し集中して頑張れば読める程度の長さです。

なお、今年のバークシャーの年次株主総会は、日本時間5月2日です。Yahooで生中継されます。

午前2時にライブ中継が始まり、午前2時半~午前6時までは、恒例のバフェットとマンガーの質疑応答時間です。

正式な年次株主総会は午前6時から6時半くらいで行われます。

ライブで2度ほど参加しましたが、本当に面白くかつ勉強になるイベントです。

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