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生涯勝率8割以上を誇るギャンの運用ルールから資金管理術を学ぶ

出典:Getty Images

投資において、時間を割くのは銘柄分析だけではありません。

素晴らしい相場の分析力を持っていても、資金管理力がなっていなければ、相場の世界では生き残れないでしょう。

今回は、生涯、相場で何度も勝ち続けた「ギャン理論」で有名なウィリアム・D・ギャンの運用ルールから7つの資金管理についての鉄則についてご紹介します。

ウィリアム・D・ギャンとは

ウィリアム・D・ギャン(1878-1955)は20世紀前半に活躍した相場師の一人です。

1955年にこの世を去った時点の資産は当時の価格で5000万ドルと言われています。

ギャンは独自のテクニカル分析と運用ルールに基づく短期売買を繰り返し、記録によれば生涯勝率は8割以上という驚異的な勝率を誇ります。

ギャンは1878年綿花の産地であるテキサス州のラフキンに生まれています。

学業もそこそこに働き始め、10代を綿花の問屋で過ごしました。

1902年に綿花の先物取引を始め、3年ほどで近隣で知られたトレーダーとなり、その後はブローカーを経て、ニューヨークに出ます。

45年間続いたウォール街でブローカーとして過ごした期間には、トレーディング以外でも情報サービスや出版ビジネスを展開します。

ギャンの手法について詳細に知ることができるのはこのためです。

大きな成果としては1929年には大恐慌の予測を「来年の見通し」として発表し、実際とは7週間ほどの誤差で時期と規模を的中させています。

1955年77歳にて永眠。

ギャンの資金管理の運用ルール

  • 資金を10等分し、1回の取引の資金の10分の1以上のリスクをとらない。
  • 過剰な売買をしない。
  • 損が出た後では取引量を縮める。
  • 長期間保有し儲けることに成功した後でも、取引量を増やしてはならず、連続して利益を得ることができたら、利益は一部温存する。
  • リスクの分散を図り、できれば4つか5つの銘柄を取引する。資産全部を1銘柄に集中させない。
  • ストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)を使い、含み益がでれば、利益を失わないようにする。
  • ナンピンをしない。

ギャンは取引リスクを1回の取引あたりの損失額であると考えたために初心者でも分かりやすいものとなっています。

リスク管理方法はストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)を使うことから容易なものです。

1回の損失額を元手の10分の1に限定すれば、トレーダーの破産する確率は格段に低くなると考えられます。

ギャンは例として、「もし3回連続で損をしたのなら、取引量を減らし、残っている元手の10分の1だけのリスクを取れ」と述べています。

例えば、1000万円の元手で始めて3回連続で100万円の損を出した場合、元手は700万円になっており、取っても良いリスクは70万円になります。

しかし、取引量を減らすべきタイミングは損失を出したときとは限りません。

「元手がスタート時の2倍になったら、取引量を2倍にしても良いが、それまでは取引量を増加させてはならない」とも、ギャンは述べています。

ストップ・ロス・オーダーには2種類ある

ストップ・ロス・オーダーには資金を守るために資金管理を行う「マネー・マネジメント・ストップ」と理想的な価格・タイミングを見計らった「構造的ストップ」の2種類があります。

ギャンが述べる10分の1の損失にストップ・ロスを入れるというのはここでいう「マネー・マネジメント・ストップ」であることは容易に理解できることですが、理想的な価格・タイミングでストップを入れることも重要です。

大きく利益が乗っているときでもストップを入れておかなければ、利益を得られないばかりかマイナス転換した場合に損失にも対応ができなくなってしまいます。

利益を放置しすぎたばかりに利益を手にしそこなった、あるいはマイナス転換してしまって塩漬け銘柄となってしまったという方も多いのではないでしょうか。

ナンピンは決してするな

日本の投資格言には「下手なナンピンはすかんぴん」というものがあります。

(すかんぴん:素寒貧、非常に貧乏で何もないこと)

同様に、ギャンは同じ銘柄を追加購入する際、相場が有利に動いているときに限定し、ナンピンは決してするなと教えています。

ナンピンの基本的な考えには損失単価(一株あたりの損失額)は減らすことにありますが、損失総額を減らすものでは決してありません。

あたかも損失が減ったように見えるナンピンは損失対策としては無意味なものと心得ておく必要があります。

ナンピンによる成功例としては、日本銀行の「ETF買い入れ」のように資金が無限にあり、かつ長期投資としてならば有効ともいえるでしょう。

しかし、日本銀行のように無限にナンピンできる資金を持った個人投資家など存在しません。

この点で、個人が行えるナンピンの優位性や有効性といったものには資金面で限界があると考えられます。

ナンピンは資金が無限に存在する場合でしか続けることはできません。

「損が増えているときにナンピンしようとすれば重大なミスをおかすことは必定で、早晩資金を全部失うことになろう」とギャンは警告しています。

同時期のジェシー・リバモアと比較して

同時期に活躍したジェシー・リバモア(1877-1940)は何度も巨万の富を築きましたが、しかし、その度に資産を吹き飛ばしました。

一般的に多くの投資家あるいは投機家は儲けては損をすることを繰り返します。

リバモアも例外ではありませんでした。

特にリバモアの弱点は損を出すことに強くなかったことが挙げられます。

リバモアは相場を読むことに長けていましたが、資金運用についてのルールを持っていなかったために、不測の事態が起きても対処することができなかったのです。

したがって、リバモアの破滅の原因は資金管理力の欠如といえるでしょう。

不測の事態は起こるものだと運用し、不測を計算に入れた資金運用は堅実なものとなります。

ギャンは年間数百回という取引を行ったにも関わらず、生涯勝率8割を超えたのは分析力が優れていただけではなく、損をしにくい運用ルールを徹底していたことが特徴です。

一世紀より以前のリバモアやギャンの相場の教訓が現在にも応用できるのは、今も昔も相場でやっていることは変わらず、人の心理もまた同様に変わらないということがいえるでしょう。

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