ビットコインなどの暗号資産の課税の仕組みは?海外の課税制度も解説

2020年は暗号資産が全体的に高騰した年で、ビットコインは2017年末の最高値を更新しました。
そのため、年内で利益確定をした、あるいは別の暗号資産を購入した方は少なくなくありません。
年内に暗号資産を売却・支払いに使った・別の暗号資産と交換などをしているのなら、利益に対して課税が発生します。
そこで今回は暗号資産の課税の仕組みについて解説します。
暗号資産(ビットコイン)とは?
暗号資産とは、暗号技術が使用されていて、インターネット上で利用できる電子的資産の総称になります。
代表的なのがビットコインやイーサリアムで、以前は仮想通貨と呼ばれていましたが、2019年5月に資金決済法と金融商品取引法の改正が可決・成立したことにより暗号資産と呼称が変更になりました。
暗号資産の課税の仕組み
結論から申し上げますと、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産も課税対象になります。
投機的な意味でいえば株式投資に似ている暗号資産ですが、課税の仕組みに関していえば次の2つが大きく異なります。
- 課税のタイミング
- 課税の所得区分
株式投資と同じ仕組みと考えていると、想像以上の税金を請求される恐れがあります。
暗号資産の課税のタイミング
ビットコインやイーサリアムを現金で購入し、保有している間は課税されません。
課税のタイミングは次の4つのいずれかになります。
- 暗号資産を売却
- 暗号資産で買い物
- 暗号資産で別の暗号資産を交換
- マイニングで暗号資産を受け取る
保有している暗号資産を売却し、売却金額が購入金額より高くて利益が出れば、その利益分が課税対象になります。
売買における利益が課税対象になるのは株式投資と同じですが、暗号資産は通貨としての側面もあるため、暗号資産で商品を購入する、あるいは別の暗号資産を購入したときにも課税が発生します。
たとえば、10万円で購入したビットコインで15万円のテレビを購入したとします。
この場合、10万円のビットコインが15万円に値上がりしたタイミングで利益を確定したと見なされ、差額の5万円が課税対象になります。
別の暗号資産との交換も同様の考え方ですが、暗号資産の交換は次のようなケースもあるため注意が必要です。
たとえば、100万円で購入した暗号資産Aの価値が1,000万円になったので、年末に暗号資産Bに交換します。
交換したタイミングで納税義務が発生しますが、年が明けてから時価1,000万円の暗号資産Bが暴落して10万円になってしまいました。
暗号資産を交換したタイミングで課税が発生するため、課税の対象は差額の900万円ですが、手元にある暗号資産Bの価値は10万円まで暴落しています。
それでも、差額の900万円に対して税金を納めなければなりません。
これらのケースでは、暗号資産で支払った・交換したタイミングで利益と損失が確定したと判断されます。
分かりづらい場合は、「保有していた暗号資産を売却して現金に換えて、その現金で支払った・交換した」と考えると納得しやすいでしょう。
また、暗号資産にはマイニングという、参加することで暗号資産を報酬として受け取ることができる仕組みがあります。
この場合、参加者は報酬として受け取った暗号資産の時価から、必要経費を差し引いた金額が課税対象になります。
株式投資と違い、売却時以外にも課税のタイミングがあることを忘れないようにしましょう。
課税の所得区分
株式投資の売却益が「分離課税の譲渡所得」に対して、暗号資産の取引で得た利益は「総合課税の雑所得」に区分されます。この所得区分の違いはかなり大きいです。
- 分離課税の譲渡所得…給与所得と分離して課税
- 総合課税の雑所得…給与所得と合算して課税
たとえば、株式投資と暗号資産の取引でそれぞれ100万円の利益を得たとします。
株式投資の場合の計算式は次になります。
- 100万円×315%-控除額=課税金額
一方で暗号資産の場合の計算式は次になります。
- (給与所得+100万円)×累進課税税率-控除額=課税金額
暗号資産の「総合課税の雑所得」とは、給与所得や事業所得、不動産所得といったほかの所得と合算し、所得が多くなるほど税率が高くなる累進課税となります。
株式投資の課税所得区分と異なるため、暗号資産での利益が大きくなるほど課税額も増えていきます。
また、課税所得が増えると住民税や健康保険といった社会保険料も増えるため、トータルで支払う金額が増えていきます。
暗号資産の損失は繰り越せない
株式投資などで発生した損失は確定申告をすることで翌年以降3年間、損失を繰り越せます。
損失を繰り越すことで、翌年以降に発生した利益と相殺することで、利益に対する税金を減らすという損益通算という制度があります。
ですが、個人での取引で発生した暗号資産の損失は繰り越すことができません。
また、株式投資で100万円の利益、暗号資産で100万円の損失を出したとしても、相殺できないのです。
ただし、雑所得内での利益の相殺は可能で、暗号資産Aで100万円の利益を、暗号資産Bで80万円の損失を出した場合、差し引き20万円の利益と給与所得を合算して課税額が算出されます。
海外の取引所で取引している場合
海外の暗号資産取引所で取引している場合でも、日本在住なら日本の税制に則って課税されます。
日本の税務署が海外の取引所での取引記録をすべて精査しているかは不明ですが、少なくとも海外の取引所に対する入出金処理は把握しています。
そのため、海外の取引所へ入金した金額よりも出金した金額が多ければ、課税の対象となります。
暗号資産に対する海外の課税制度
日本の暗号資産に対する課税制度は「総合課税の雑所得」で累進課税税率となっています。
利益が大きいほど支払う税率が増えていき、最大45%になります。
この税率は各国の暗号資産の課税制度のなかでも極めて高いといわれています。
- ドイツ…保有期間が1年以上の場合、譲渡所得税(売買)が免除される
- シンガポール…暗号資産の長期投資なら個人・企業は課税されない
- スイス…個人投資家の投資・取引は譲渡所得税が免除
- アメリカ…株式投資と同じ扱い
上記は暗号資産に対する海外の課税制度の一例ですが、どの国も暗号資産に対する課税制度は日本に比べれば安いといえます。
まとめ
以上が、暗号資産の課税の仕組みに関する解説です。
暗号資産の取引で得た利益は、給与所得などと合算して納税額が決定します累進課税のため、利益が大きいほど支払う税金額も増えていき、同時に住民税なども増えていくため、翌年の税金負担が重くなります。
海外の取引所で取引をしているから大丈夫、ということはありません。
少なくとも、日本の取引所での入出金処理はチェックされているため、海外の取引所で利益を上げている場合は課税対象となります。
きちんと計算して納税しましょう。
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