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バフェット指標と市場及び個別銘柄の動きについて

出典:Motley Fool

パンデミックにより、各企業が大きな打撃を受けている中、株式市場は好調に推移し、NYダウ工業株30種平均も昨年の12月には30,000ドルの大台に乗ったほか、日経平均株価も30,000円台に突入しました。

好調に推移している株式市場ですが、割高感は否めません。

割高かどうかを判断する指標として、ウォーレン・バフェットが利用しているとされる「バフェット指標」があります。

本記事では、昨今の株式市場の動きについて、バフェット指標という観点から考察していくほか、個別の銘柄にも焦点を当てながら考えていきます。

日米におけるバフェット指数の推移|株式市場の割高を判断する指標の見方

バフェット指標とは

算出方法は非常に容易で、株式市場の時価総額を、名目国内総生産(GDP)で割ることで算出します。

GDPよりも株式市場の時価総額の方が大きいのであれば、値は1を上回り、値が大きいほど株価の割高感が強まります。

対して算出した値が1を下回っているのであれば、株価に割安感があると言えます。

この指標の背景に、国家の株価は長期的にみるとその国の経済力に見合った水準に近づくという考えがあります。

バフェット氏がいつ頃からこの指標を用いているのかどうかは定かではありませんが、経済のグローバル化が進行する中で、この指標の有効性には一定の疑問が生じます。

名目国内総生産はその国内で生産された付加価値の合計です。

GAFAをはじめとした米国企業は、世界中に影響力を及ぼしており、アメリカ国内だけで収益をあげているわけではありません。

海外でも収益をあげていますので、アメリカ企業が生み出している付加価値は、アメリカのGDPを上回っているはずです。

実際、S&P500企業の海外売上高比率は45%前後となっています。

アメリカ企業の世界に対する影響力を考えると、GDPから非アメリカ企業がアメリカ国内で生産した付加価値を引き、アメリカ企業が海外で生産した付加価値を足した値は、アメリカのGDPを上回っているのではないかと推測することができます。

したがって、バフェット指標は今まで1を上回るかどうかで判断されてきましたが、1.2~1.3を基準としても良い時代なのかもしれません。

バフェット指標の推移

Current Market Valuationで示されていたバフェット指標の推移は以下の通りです。

出典:Current Market Valuation

インターネットバブルが発生した2000年前後にバフェット指標は1.7を一時記録し、インターネットバブルの崩壊後、1を下回っています。

2010年以降、バフェット指数は徐々に上昇し、2020年初めには1.5ほどの値をマークしています。

しかし、その後もバフェット指標は上昇を続けており、2021年2月11日ごろには1.9ほどの値にまで上昇しています。

インターネットバブルの頃の値を上回って上昇しているのです。

先ほど、米国のGDPと米国企業が世界中で生み出した付加価値との差異について言及しました。

米国のGDPよりも、米国企業が生み出した付加価値は多いのではないかとの推測に沿って考えると、バフェット指標は1.9よりもある程度小さくなるのではないかと考えられます。

しかし、GDPを実際のGDPよりも高く見積もったとしても、バフェット指標の1からの乖離具合は合理的に説明できるものではありません。

バフェット指標から考えるのであれば、現在の株式市場は非常に過大評価されているものであると考えることができるのではないでしょうか。

バフェット指標を個別銘柄に当てはめるとどのようになるのか

ではバフェット指標は個別銘柄にも当てはめることができるのでしょうか。

バフェット指標は、先ほど述べた通り、時価総額をその国の名目GDPで割って算出したものです。

GDPとは付加価値の合計を指し示すものですので、企業が生み出した付加価値を指し示す指標に注目します。

企業が生み出した付加価値を示す指標は粗利(Gross Profit)です。

したがって、その企業の時価総額をその企業の粗利で割った場合どのようになるのか見ていきます。

アップルの場合

アップルの2020年通年決算によれば、同社の粗利は1,049.56億ドルです。

対して同社の時価総額は2兆ドル程度となっています。

時価総額÷粗利を算出すると、およそ20という値が出てきます。

バフェット指標においては1を上回れば割高と考えられているものの、アップルという個別銘柄に着目した際、アップルにおけるバフェット指標は20前後という結果になりました。

1という基準からは大幅に乖離していることが分かります。

コカ・コーラの場合

コカ・コーラの2020年通年決算によれば、同社の粗利は195.81億ドルです。

対して同社の時価総額は2,000億ドル前後となっています。

時価総額÷粗利を算出すると、およそ10となっています。

アップルほどではないものの、1からは大きく乖離しています。

エクソン・モービルの場合

エクソン・モービルの2020年通年決算によれば、同社の粗利は1,815.02億ドルです。

対して同社の時価総額は2200億ドル前後となっています。

時価総額÷粗利を算出すると、およそ1.2となります。

アップルやコカ・コーラとは異なり、エクソン・モービルの値は1に非常に近くなっています。

バフェット指標におけるインデックスと個別銘柄の関係性

これまでの情報を踏まえると、バフェット指標の考え方である、時価総額÷付加価値の合計という指標は、個別銘柄においては採用できないということが分かります。

そもそも時価総額÷粗利で求まる値に対して、一般に広く知られているような名称はつけられていません。

広く知られている名称というのは、株価収益率(PER)や株価売上倍率(PSR)などのことを指します。

このことからもバフェット指標の考え方は、個別企業のバリュエーションを示す指標としては有効ではないものと言えます。

その一方でバフェット指標を目安に、現在の株式市場は割高感があるとの考えが、バフェット指標を頼りにする投資家の間では広まっています。

バフェット指標はあくまでアメリカにおける株式市場全体が割高か割安かを判断する材料に過ぎないと言えます。

インデックスに投資している人は、バフェット指標について敏感になる必要があると言えますが、個別銘柄にしか投資していない人は、バフェット指標について敏感になりすぎる必要はないものと考えています。

もちろん、NYダウ工業株30種平均やS&P500の指数が下落すれば、個別銘柄にも影響は出ると考えられますので、個別銘柄にしか投資していない投資家にとっても、バフェット指標は重要です。

しかしながら長期的な投資を行っており、市場全体の動きに左右されない力強さを持った企業の銘柄に投資をしているのであれば、問題はないと考えられます。

ここで大事になってくるのが、企業分析でしょう。

市場全体のトレンドに株価が左右され過ぎない銘柄を選ぶ必要があります。

市場が下落トレンドであったとしても、堅調な動きをする銘柄も、上昇する銘柄もあります。

自身がポートフォリオに組み込んでいる銘柄が、トレンドに左右され過ぎる銘柄ばかりである場合、ポートフォリオの構成について、今一度考えてみる必要があると言えるのではないでしょうか。

参考元

Buffett Indicator SUGGESTS THAT THE US STOCK MARKET IS

Apple Inc. CONDENSED CONSOLIDATED STATEMENTS OF OPERATIONS (Unaudited)

THE COCA-COLA COMPANY AND SUBSIDIARIES Reconciliation of GAAP and Non-GAAP Financial Measures

ExxonMobil Reports Results for Fourth Quarter 2020 and Provides Perspective on Forward Plans

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