The Motley Fool

報道されない時ほど注目したいGPIFの運用状況

出典:Getty Images

GPIFが先日2020年10月~12月の運用状況を公表しました。

参考:GPIF運用10兆円黒字 10~12月:日本経済新聞

運用収益が10兆3,528億円で、運用利回りは6.29%。

20年12月末の運用資産残高は177兆7,030億円で過去最高となり、市場運用を開始した01年度からの累積収益額も85兆3,011億円と過去最高を更新したそうです。

GPIFは”Government Pension Investment Fund”の略で、正式名称を「年金積立金管理運用独立行政法人」といい、厚生労働省所管の独立行政法人です。

日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っています。

サラリー生活を送っていれば、厚生年金保険料を納めていますし、自営業者なら国民年金保険料を納めているはずですが、その保険料の運用をしてくれているのがGPIFで、世界屈指の投資家といわれています。

その運用状況は四半期ごとに公表されています。

筆者の私見で恐縮ですが、このGPIFに関しては運用成績が芳しくないときほど、マスコミの報道が多くなるように思います。

しかしながら、前述したとおり、累積収益額は非常に大きい世界屈指の機関投資家です。

GPIFも我々個人投資家同様マーケットと向き合っている投資家です。

運用成績がいい時も悪い時もあります。

芳しくない時だけ報道のネタにするのはいかがなものかと思っています。

GPIFは運用資産の資産構成割合を時折見直しています。

2014年にはそれまで60%程度を占めていた国内債券の割合を60%から35%に大幅に引き下げた一方、日本株、外国債券、外国株の割合を引き上げました。

参考:GPIF、運用見直しを決定 国内株25%に引き上げ:日本経済新聞

この時のGPIFにどんな情報が入っていたかを知る由もありませんが、その後現在までの間に日銀はマイナス金利を導入し、国内債券は満期保有にしてもリターンが小さい資産となりました。

2014年に国内債券の割合を落としたのは、結果論ですが正解だったと思われます。

昨年の春にはさらに国内債券の割合を引き下げ、外国債券の割合を引き上げる変更を実施しています。

参考:GPIFが資産構成比率を変更、外国債券の比率を引き上げ、4月1日から適用:モーニングスター

そこで筆者は簡易的なシミュレーションを実施してみました。

実際の資産構成割合は幅を持たせているのでいつも同じではないはずですが、暫定的に以下のように定義し、期間中は変化がなかったと仮定します。

また、GPIFには多額の資金が毎月のように入っているはずですが、それらはさしあたり無視し、割合変更後のリターンのみをシミュレートします。

本来の運用はアクティブ部分もあるかもしれませんが、このシミュレーションにおいてはインデックス運用とします。

本来であればインデックスの値そのものを使えればいいのですが、GPIFが手数料を払っていることも考慮して、現実に存在している円建ての投信やETFで算出することとしました。

利用した商品は以下の通りです。

純資産残高を考慮するとGPIFが積極的に利用しているとは考えづらいですが、ここでは誰でもできるシミュレーションのための補完ということでご理解いただけると幸いです。

また、使用したものよりももっとふさわしいものがあるというご意見もあろうかと思いますが、さしあたりはご容赦ください。

データはYahoo!ファイナンスから取得しました。

国内債券型だけは、今回のシミュレーションに必要な期間を取得できるETFが見つからなかったので公募投信を使用しています。

また、海外債券型もできれば毎月分配型ではない方がよかったのですが、今回必要なデータ期間を満たすものとして選択しました。

  • 国内債券:野村 国内債券インデックスファンド
  • 国内株式:1306 NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信
  • 海外債券:1677 上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型
  • 海外株式:1550 MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信

それぞれの終値の月次リターンを算出して累積し、GPIFの資産構成割合が2014年にも変化せず今まで続いていた場合と、2014年と2020年の変化が反映された場合を比較した結果が以下のグラフです。

一時的にダメージを受けたことはありましたが、足元は資産構成割合を変化させたポートフォリオ(実線)のパフォーマンスが変更なしのポートフォリオのパフォーマンスを明らかに上回っています。

ボラティリティこそあれ、日本株は約30年ぶりの高値を付け、外国株式も現在は高値の水準にあります。

資金の流出入を考慮していませんし、例えば株式にはアクティブ運用部分もあるかもしれませんので、この結果だけで判断してはいけない要素がありますが、現時点では2014年の資産構成割合の変更で株式の割合を引き上げたことが功を奏しているように思えます。

このような運用状況が国民の耳になかなか届いていないように思えることを非常に残念に思います。

間接的とはいえ多くの現役世代がGPIFのお世話になっています。

年金受給フェーズになっても多くの人がお世話になっています。

結果が芳しくなかったときだけ声高になるのではなく、能動的に関心をもって、うまくいっているときは称賛する姿勢が大事ではないでしょうか。

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