【米国株決算】マスターカードの最新決算情報と今後の株価の推移

マスターカード(NYSE:MA)はアメリカの大手クレジットカード決済サービス企業です。
同社は直接的にサービスの提供は行わず、同社から権利を得たものがMastercard ブランドのクレジットカードの発行や加盟店に関する業務を行っています。
主な競合であるVisaと比較し、マスターカードはヨーロッパで強いと言われています。
同社が提供するサービスとしては「Mastercard」クレジットカード、「Maestro」オンラインデビットカードサービス、銀行オンラインネットワークシステム「Cirrus」、プリペイドプログラム、非接触型決済サービス、口座振替サービス等などが挙げられます。
本記事ではマスターカードが発表した最新決算である2020年第4四半期決算及び通年決算の情報と今後の株価の推移について見ていきます。
決算発表前における株価等のデータ
決算発表前日である27日の始値は320.36ドル、終値は316.61ドルとなっていました。
同社株価は上場以来上昇を続けており、コロナショック直前における高値は340ドル強となっていました。
コロナショックの影響により株価は一時200ドル前後まで下落し、その後は緩やかに回復し、8月末頃にコロナショック直前の株価を更新しました。
その後は横ばいでの推移をしており、株価の上昇などは見られていません。
マスターカード社はS&P500の構成銘柄の一つであり、執筆時点での同社時価総額は3205億ドルとなっています。
続いて同社の配当実績について見ていきます。
なお日付は権利落ち日を記しています。
- 2021/01/07…配当:0.44ドル(配当利回り:0.56%)
- 2020/10/08…配当:0.4ドル(配当利回り:0.47%)
- 2020/07/08…配当:0.4ドル(配当利回り:0.49%)
- 2020/04/08…配当:0.4ドル(配当利回り:0.54%)
- 2020/01/08…配当:0.4ドル(配当利回り:0.51%)
S&P500の平均配当利回りを下回っています。
ただコロナ禍にありながらも、増配を行っている点は評価できると言えるでしょう。
最新決算情報について
概要
2020年第4四半期決算の概要は以下の通りです。
- 純売上高…41.20億ドル(前年同期比7%減)
- 営業利益…20.58億ドル(前年同期比14%減)
- 純利益…17.85億ドル(前年同期比15%減)
- 希薄化後EPS…1.78ドル(前年同期比14%減)
アナリストらによる事前予想である、売上高40.2億ドル、non-GAAPベースでのEPS1.54ドルを上回っていることが分かります。
パンデミックにより、海外旅行は引き続き低迷しています。
その影響により、業績が悪化したと考えられる一方、ホリデーシーズン中にオンラインでのカード決済が増加したことにより、アナリストらによる事前予想を上回ったと考えることができます。
続いて同社が発表した2020年通年業績の概要です。
- 純売上高…153.01億ドル(前年同期比9%減)
- 営業利益…80.81億ドル(前年同期比16%減)
- 純利益…64.11億ドル(前年同期比21%減)
- 希薄化後EPS…6.37ドル(前年同期比20%減)
同社CEOが決算短信で発表したコメントは以下の通りです。
2021年に向けての勢いは、2020年において発生した新型コロナウイルスという困難を社員がどのように乗り越えてきたのかを反映しています。
当四半期は世界中で主要なパートナーシップを拡大し、オープン・バンキングのポートフォリオにFinicityの買収を加えました。
効果的なワクチンの入手が可能になったことを励みに、デジタル体験を豊かにし、セキュリティと信頼を強化し、新たなイノベーションに向けて引き続き注力しています。
これらの努力は、将来における当社の地位を確立していくでしょう。
Finicityとは、ユーザーが自分の財務情報がどのように共有され、誰が自分の金銭取引を代行できるかを、オープンAPIを通じて決められるサービスです。
この買収によってマスターカードは、消費者や企業に提供する取引の選択肢を増やすことができます。
詳細
続いて同社の2020年第4四半期決算をセグメント別に見ていきます。
まずは地域別での決済総額(GDV)について見ていきます。
- APMEA…5,300億ドル(前年同期比1%減)
- カナダ…490億ドル(前年同期比1%減)
- ヨーロッパ…5,330億ドル(前年同期比1%増)
- ラテンアメリカ…1,080億ドル(前年同期から増減なし)
- アメリカ…5,270億ドル(前年同期比4%増)
- 全世界…1兆7,490億ドル(前年同期比1%増)
APMEAとはアジア・太平洋・中東・アフリカのことを指します。
各地域ともに変動率は高くなく、前年同期並みとなっています。
続いて地域別での支払取引件数について見ていきます。
- APMEA…73.64億件数(前年同期比7%増)
- カナダ…7.28億件数(前年同期比3%減)
- ヨーロッパ…117.25億件数(前年同期比9%増)
- ラテンアメリカ…31.76億件数(前年同期比3%増)
- アメリカ… 79.80億件数(前年同期比1%増)
支払取引件数は全世界総計で1%増加しています。
支払取引件数と決済総額の増減率からの差から、カナダ・アメリカでは大口の買い物が増加、その他の地域では小口の買い物が増加していることが分かります。
競合であるビザの2021年第1四半期決算では、売上高が前年同期から6%減少した56.87億ドル、純利益は4%減少した31.26億ドルとなっています。
2社の業績を比較すると、マスターカードの方がビザよりも前年同期比ベースで業績が悪化していると言えるでしょう。
決算発表後における株価の推移
決算発表直後である01/28における同社株価の推移について見ていきます。
28日における始値は、前日終値である316.61ドルから3%増加した327.09ドルとなっています。
その後も高値での取引が続き、終値は324.28ドルと、前日終値から3%弱増加していました。
同社株価が決算発表を受けて上昇した要因として、アナリストらによる事前予想を上回る決算を発表したことが挙げられます。
同社の業績は、世界全体での消費行動の状態を指し示している側面があり、予想よりも減収幅が小さかった業績に市場は好感しました。
消費行動がパンデミック以前の状態にまで回復するには、多くの時間を要するでしょう。
しかしパンデミックにより、オンライン小売が伸長しており、オンラインでのカード決済の機会も増えました。
パンデミックが収束し、消費行動が回復した際には、同社の業績は大きく成長していると考えることができます。
参考元:Mastercard Incorporated Reports Fourth-Quarter and Full-Year 2020 Financial Results
フリーレポート配信
コロナ禍で消費者が一斉にレストランや航空機の利用を敬遠した一方、在宅需要という大きな恩恵を享受し、新産業として伸びた分野もあります。過去1年で既に株価は大幅に上昇してしまいましたが、在宅関連銘柄としても、長期的な成長株としても注目できる3銘柄を取り上げます。
「在宅需要で新たな産業が勃興する中、注目のコンスーマー関連3銘柄」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)
また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。
公式ツイッターアカウント、公式フェイスブックアカウントをフォローする。
また、公式LINEアカウントの方では、投資初心者向けの情報を発信しています。
免責事項と開示事項 記事の作者、白紙は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。