ロシアのEC大手「Ozon Holdings」について

ロシアのモスクワに拠点を置く、2020年の11月に上場したeコマースサイトの「Ozon Holdings(NASDAQ:OZON)」を紹介します。
Ozonは毎月4千万人のアクティブユーザーを持つ、ロシアで4番目に大きなeコマースサイトです。
ロシア版のAmazonと言えるでしょう。
ロシアの広大な土地において、翌日配送可能な地域が40%という強みを持っており、配送の96%が時間内に届くという、消費者体験の質が高いのが特徴です。
久々のロシア企業による大型IPOで注目を集めました。
成長を見せる企業は米国企業だけではありません。
企業説明
Ozonは1998年に設立され、アパレル関係の商品を始め、日用雑貨など、様々なものを取り扱っています。
販売の割合で見ると、家電が最も高く25%を占め、次に続くのが家具類の13%、子供用品の10%となっています。
eコマース市場は急成長をしているため、激しい競争が発生しています。
アメリカでは、Amazonがシェアの半分を占めている一方で、ロシアの場合は、5つの企業がシェアを取り合っています。
今後の競争で、成長率が大きく変動する可能性を秘めています。
ロシアマーケットでの成長
ロシアの小売市場は5,200億ドルと言われ、イギリスよりも小規模です。
しかし、人口はイギリスの2倍以上となので、人口という観点から見ると、今後の更なる成長が見込まれます。
さらにロシア内でのeコマースのシェアは6%と低く、拡大の余地があると言えるでしょう。
顧客満足度も年々上昇しており、2020年では79という高い数値を出しています。
アクティブバイヤーとアクティブセラーも年々増加しているため、未だに利用者が少ないロシアのマーケットで展開をしていくのであれば、大きな成長が見込まれると予想されます。
Ozonの目論見書によれば、マルチピュアオンラインのカテゴリーがeコマース全体を占める割合は、2025年には67%に達し、業界で最も大きなシェアを占めると予測されています。
Ozonの強み
前年同期比の流通取引額(GMV)の成長率は以下の通りです。
- 2019年1-12月…+93%
- 2020年1-9月…+142%
数字を見る限り、圧倒的な成長率を誇っている事がわかります。
同社のeコマースサイトを通して、店舗と顧客が取引した流通取引量は、Ozon全体の流通取引量の45%にも拡大しています。
Ozonの販売形態としては、店舗と顧客を繋ぐ場所の提供が流通取引量全体の45%、Ozonから顧客への直販が流通取引量全体の51%に相当します。
直販においては、Ozonがコンスタントに需要がある商品を中心にまとめて仕入れ、販売するという形式です。
Ozonが仕入れ先と交渉することで、仕入れの単価を下げるという戦略を取っています。
Ozonのデータセンターはモスクワに3拠点存在し、自社のサーバーを所有しています。
データ処理の13%をクラウド上に依存していますが、残りの全ては自社のサーバーで対応しているため、セキュリティ面も強固です。
自社システムと連携をしながら、更なる事業拡大を目指していることが分かります。
また配送の速さにも力を入れており、モスクワ・サンクトペテルブルグ間だと当日での配送も可能とのことです。
またロシア人口の40%以上をカバーする地域で、翌日配送が可能です。
広大な土地柄上、物流が難点としてあげられるロシアですが、このような配達速度を持つOzonは、画期的なサービスを提供していると言えるでしょう。
Ozonの弱さ
ロシアで業界で1位のシェアを誇る競合のWildberriesは欧州にも展開しており、市場規模で言うとOzonが追いつくには時間がかかりそうです。
また、eコマースという業界自体がかなりの激戦区となっているため、他社との競争も激化の一歩をたどると予想されます。
Ozonの強みがそのまま他社でも採用された場合は、どのようにアクティブユーザーを獲得していくのかという問題もあります。
また、ロシアで生産される製品が充実しなければ、外国製品への需要がなくならないため、越境事業者との競合が続く場合があります。
さらにグローバル化をするのであれば、世界規模で流通を広げているAmazonのような超大型企業が名を連ねてきますので、世界での成長になると厳しい目線もあるかと思います。
投資先としての検討について
Ozonは数字だけを見れば、投資先としては優秀な銘柄だと考えられます。
成長率が大きく、さらに今後の成長の余白も十分にあります。
しかしながら、懸念事項として、eコマース事業の競争激化など、企業自体の体力勝負になる場合がありますので、注意しなければなりません、
ただ、eコマース産業全体は成長し続けているため、更なる拡大は眼に見えています。
競争の激化を弱みとして挙げるのであれば、Ozonがさらに他社にはできないことを売りにしていけばいいため、配達時間の早さなどを前面に押し出して、顧客体験を最大限に引き伸ばす事ができるのであれば、デメリットは減少していくと考えています。
しかし、革新的な技術や、これからの企業拡大におけるブレイクスルーのようなものは持ち合わせていないため、急激に伸びるといったイノベーション企業ではありません。
そのため今後の市場拡大や企業成長については、緩やかなものになると考えます。
結論としては、長期での保有であれば投資先として選択肢に上がると言えるでしょう。
上場した直後は上昇しましたが、現在の株価は40ドル台で上下を繰り返しています。
今後どこかで大きく下落した際に購入を検討するのがよいと考えます。
参考元:目論見書
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免責事項と開示事項 記事の作者、白紙は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。