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相場における「待ちの姿勢」とは?実践面から理解する

出典:Getty Images

前回の記事では、相場における仕掛けの重要性を解説しました。

相場のカギは「仕掛け」にあり。手仕舞いより仕掛けを重視すべき理由とは

言うまでもなく、うまく仕掛けるためには、適切なタイミングを計る必要があります。

そのためには、良いタイミングが訪れるまでじっくりと待つこととなります。

単に待つといえば、いかにも簡単なことのように思えますが、実際には簡単なものではありません。

「今仕掛けなければチャンスを失う」と思い込んで買ってしまう、といった間違いが非常に多いのです。

このような失敗を減らすには、待つとはどういうことなのか、どのような姿勢で待つのか、どれくらい待てばよいのか、などを実践面から理解するのが役立ちます。

宗久翁の姿勢

仕掛けを重視した本間宗久翁は、待ちの姿勢について以下のように述べています。

「米商は、踏出し大切也。踏出悪き時は、決して手違になる也。又商内進み急ぐべからず、急ぐ時は踏出悪しきと同じ。売買共、今日より外、商場なしと進み立時、三日待べし、是伝也。得と、米の通ひを考へ、天井底の位を考へ、売買すべし。底直(値)段出ざる内は、幾月も見合、図に当る時を考へ、売買すべし。」

訳:米相場では、仕掛けが大切である。仕掛けが悪い時は、必ず失敗するものだ。急いではならない。

急いで仕掛けるならば、それは悪い仕掛けとなる。

売るにせよ、買うにせよ、今日しか好機はないと焦っても、三日待て。

相場の動きを注意深く観察し、天井はどこか、底はどこかを考え、慎重に売買しなければならない。

底値でないと思えば、何か月でも待ち、真の好機を捉えて売買せよ

冒頭部分は、前回の記事でも紹介しました。

相場では仕掛けが重要であり、仕掛けが悪ければ失敗したも同然だ、という内容です。

これに続いて、宗久翁は待ちの姿勢について具体的に述べています。

まず、「今仕掛けなければチャンスを失う」という焦りを戒めています。

そして、相場の動きを観察し、天井・底を見極め、慎重に仕掛けるために「ともかく三日待て」としています。

三日待つ効果

三日待つということは、非常に単純な方法ではありますが、実践してみるとかなり大きな効果を感じられます。

大底から上昇の兆しを見せた時、その時点で正確に判断することは困難です。

しかし、ここで焦って仕掛けずに三日も待ってみれば、その兆しが本物であるか、騙しであるかがかなりよく分かるのです。

三日待ったところで、底値から大きく上放れて仕チャンスを失うことはほとんどありません。

やや高く仕掛けることになっても、十分に底値圏と言い得る価格で仕掛けることができます。

また、一旦は転換を思わせた動きも、結局は騙しに過ぎないことも多いです。

そのような場合に仕掛けることを避けるならば、無駄な損失を回避することができます。

さらに、仕掛けるべきでないときに仕掛けず、そこからさらに下がったところで再び仕掛けを計るため、待てば待つほど、下がれば下がるほど有利な価格で仕掛けることができます。

焦って仕掛けることで得られるメリット(いくらか安く買えるメリット)とは比較にならないメリットがあります。

もちろん、宗久翁の言った「三日待て」というのは、必ず三日間に限定して考えるものではありません。

より良い判断を下すために待つのですから、判断がつかなければ四日、五日と待つことも考えられます。

なお、当時の米相場は日足だけで考えていたため、待つべき時間も「日」で考えています。

もし、1時間を軸にデイトレードをしている人ならば、三日も待っていては遅すぎるため、3時間程度が目安になるでしょう。

どのように待つか

次に問題となるのが、どのように待つかということです。

待つといっても、その待ち方には色々あるでしょう。

大きく言って、

  • 値動きを見守りながら待つ
  • 値動きを全く無視してのんびり待つ

このいずれかになるでしょうが、宗久翁はこのいずれでもありません。

まず、待っている期間、ザラ場の値動きを見守ることはありません。

これは、そのような待ち方が間違っているかどうかというよりも、宗久翁の時代は今のように値動きが逐一わかる状況になかったためです。

待っている時には、値動きが気になって仕方ないものですから、ザラ場の値動きをしきりに確認したくなります。

しかし、慎重に判断するために待っているのですから、短い時間の細かい値動きは、あまり良い判断材料にはならないことが多いです。

坐禅して待つ?

かといって、値動きを全く無視してのんびり待つというものでもありません。

宗久翁は、待っている三日の間、慎重に考えをめぐらしていました。

一説によると、坐禅のための部屋を設け、三昧に入り、考え抜いた末に決断していたとも言われます。

実際に宗久翁が坐禅を組んでいたかどうかは、多分に伝説的で、神格化されたような趣きがあり、違和感もないではありません。

しかし、当時は大きな決断をする際、このような形で考えをまとめることは、ごく一般的でした。

これは、当時の日本では儒教思想が基準となっていったためです。

儒教では、慎重に考えをめぐらす際に「静坐」、すなわち精神を集中させて静かに座り、考えをめぐらすことを重視します。

このため、坐禅を組まないまでも、宗久翁が一人静かに座って仕掛けを考えたことは十分にあり得ますし、おそらくそうしていたはずです。

考えをまとめる方法は色々

もっとも、このような待ち方は、様々な刺激を避けて、静かに考えをまとめていくことが目的ですから、必ずしも静坐して考える必要はありません。

一晩、寝ながら静かに考えるということもできるでしょう。

前回の記事で取り上げた佐藤一斎先生も、難しい判断を迫られたときの姿勢について、以下のように述べています。

「凡そ大硬事に遇はば、急心もて剖決するを消いざれ。須らく姑く之を舎くべし。一夜を宿し、枕上に於て粗商量すること一半にして、思を齎らして寝ね、翌旦の清明なる時に及んで、続きて之を思惟すれば、則ち必ず恍然として一条路を見、就即ち義理自然に湊泊せん。」

訳:大きな難しい判断を迫られたときは、急に解決しようとしてはいけない。

しばらくそのままにして、一晩持ち越すのが良い。

枕の上で半分くらいざっと考え、思いをめぐらしながら寝て、翌朝のすっきりした気持ちで続きを考えていくと、解決策が見えてくる。

問題の筋道もよく見えてくるから、そこから判断していけば間違いがない。

一斎先生の待ち方は、科学的にも非常に好ましいといえるでしょう。

仕掛けの判断をめぐらすことは、とても疲れるものです。

意志力も消耗し、粘り強く考え続けること自体に倦み、ずさんな判断に陥りやすくなります。

睡眠をとると、脳の疲れも取れますし、意志力も回復します。

前日まで考えつくしたことを、睡眠後にさらに考えていくことで、良い判断ができるのです。非常に科学的です。

静坐して考える、寝ながら考えるなど、考え方・待ち方にも色々ありますが、自分に合った方法を見つけることが大切です。

まとめ

以上のように、良い仕掛けのためには、例えば「三日」といったまとまった時間、ともかく待つことが役立ちます。

とはいえ、そのように長い時間待てない局面もあります。特に、急な値動きによって損切りを迫られているときなど、待つことが一層難しくなります。

次回の記事では、判断を急ぐべき局面での「待ち」について解説していきます。

急いで判断すべき局面ではどう待つか。勝負師の方法に学ぶ

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