【米国株決算】モルガン・スタンレーの最新決算情報と今後の株価の推移

モルガン・スタンレー(NYSE:MS)は、米国の金融持株会社です。
米国内外で事業を展開しており、資金調達や合併・買収のアドバイス、事業再編支援、不動産・プロジェクト融資、貸付、投資調査、株式・債権の販売、売買などのサービスを提供しています。
そのほか投資商品仲介や投資顧問、資金計画、年金・保険商品の販売、信託業務、不動産や未公開株式への投資、運用サービスの提供なども行っています。
本記事ではモルガン・スタンレーの最新決算である2020年第4四半期決算及び通年決算の情報と今後の株価の推移について見ていきます。
決算発表前における株価等のデータ
モルガン・スタンレーは2020年第4四半期決算及び通年決算を2021/01/20のアメリカ市場開場前に発表しましたので、決算発表の前日である01/19における同社株価の値動きについて概観していきます。
19日における同社株価の始値は76.52ドルであり、終値は74.99ドルとなっていました。
2000年頃の高騰ののち、2003年から2007年頃まで上昇し、リーマンショック前の高値は70ドル強となっていました。
しかしながらリーマンショックにより、同社株価は一時10ドルを下回り、その後は緩やかに上昇し、コロナショック直前には56ドル前後の高値を付けていました。
コロナショックにより同社株価は一時30ドルを下回りましたが、その後は堅調に回復を続け、特に11月以降は米国の追加経済対策による景気回復への期待が高まったほか、米10年国債利回りが1%台に乗るなど、利ザヤ拡大への期待増加などを背景に、株価は急激に上昇し、リーマンショック前の高値にまで上昇しました。
モルガン・スタンレーはS&P500の構成銘柄の一つであり、01/23時点での同社時価総額は1,323億ドルとなっています。
同社の直近の配当実績は以下の通りです。
- 2021/01/28…配当:0.35ドル(配当利回り:1.87%)
- 2020/10/29…配当:0.35ドル(配当利回り:1.87%)
- 2020/07/30…配当:0.35ドル(配当利回り:2.76%)
- 2020/04/29…配当:0.35ドル(配当利回り:2.73%)
- 2020/01/30…配当:0.35ドル(配当利回り:3.65%)
コロナショックによる株価安から、配当利回りは3%前後と高水準なものになっていましたが、11月以降に株価が急騰したため、配当利回りは2%前後となっており、S&P500の平均配当利回りを下回っています。
今後増配が行われるのかどうかに注目が集まります。
最新決算情報について
概要
モルガン・スタンレーが発表した2020年第4四半期決算の概要は以下の通りです。
- 純売上高…136.40億ドル(前年同期比26%増)
- 純利益…33.85億ドル(前年同期比51%増)
- 希薄化後一株当たり純利益…1.81ドル(前年同期比39%増)
アナリストらによる同社業績の事前予想について見ていくと、売上高は115.0億ドル、non-GAAPベースのEPSは1.30ドルとなっていました。
同社の実際の業績は、売上高が136.4億ドル、non-GAAPベースのEPSが1.92ドルとなっていましたので、アナリストらによる事前予想を上回っています。
続いて同社が発表した2020年通年決算の概要について見ていきます。
- 純売上高…481.98億ドル(前年同期比16%増)
- 純利益…109.96億ドル(前年同期比22%増)
- 希薄化後一株当たり純利益…6.46ドル(前年同期比24%増)
同社CEOが決算短信で発表したコメントは以下の通りです。
当社は3つの事業と地域すべてにおいて優れた業績を上げ、非常に好調な四半期と記録的な通期業績を達成しました。
非常に困難な年であったにもかかわらず、従業員が一丸となってお互いや地域社会を支え、クライアントのために成果を上げたことを非常に誇りに思います。
当社のユニークなビジネスモデルは、E*TRADEとイートン・ヴァンスの買収により長期戦略をさらに実行していく中で、引き続き当社に貢献しています。
2021年に向けて、当社は大きな勢いで臨み、当社の競争力と継続的な成長の機会に自信を持っています。
モルガン・スタンレーは、E*TRADEやイートン・ヴァンスの買収を行うことによって、ウォール街の典型的な企業から資産運用業界での大手プレーヤーへ成長しようと試みています。
投資銀行色を薄め、リスクある利益の出し方から脱却しようとしており、その結果、以前よりもより堅実な利益を出すことができる企業へと変化していくことが予想されます。
詳細
続いて同社の2020年第4四半期決算をセグメント別に見ていきます。
まず機関投資家証券部門についてです。
純収益…70.04億ドル(前年同期比39%増)
インベストメント・バンキング…23.02億ドル(前年同期比46%増)
アドバイザリー業務…8.27億ドル(前年同期比26%増)
株式引受業務…10.00億ドル(前年同期比137%増)
債券引受業務…4.75億ドル(前年同期比5%減)
セールス&トレーディング…42.20億ドル(前年同期比32%増)
株式…24.98億ドル(前年同期比30%増)
債券…16.64億ドル(前年同期比31%増)
インベストメント&その他…4.82億ドル(前年同期比70%増)
同部門における純収益は前年同期から39%増加しており、特にインベストメント・バンキングの増加が顕著です。
インベストメント・バンキングの中でも株式引受業務による収益は前年同期から倍増しています。
株式引受業務における収益増加は主にIPOなどの増加によるものです。
続いてウェルス・マネジメント部門の業績についてです。
純収益…56.81億ドル(前年同期比24%増)
アセット・マネジメント…29.75億ドル(前年同期比12%増)
取引…13.40億ドル(前年同期比62%増)
純利息…12.07億ドル(前年同期比17%増)
その他…1.59億ドル(前年同期比145%増)
特に取引業務による業績の成長が顕著です。
最後にインベストメント・マネジメント部門にについて見ていきます。
純収益…11.00億ドル(前年同期比19%減)
アセット・マネジメント…8.69億ドル(前年同期比18%増)
インベストメント…2.56億ドル(前年同期比62%減)
その他…▲0.25億ドル(前年同期比0.25億ドル増)
特にインベストメント業務における収益の減少が顕著になっています。
決算発表後における株価の推移
モルガン・スタンレーは2021/01/20のアメリカ市場開場前に決算を発表しましたので、決算発表直後である01/20における同社株価の値動きについて見ていきます。
前日終値である74.99ドルに対して、20日における同社株価の始値は76.25ドルとなっています。
始値ベースでは株価の上昇が見られているものの、その後日中を通して株価は軟調な推移を続け、終値は74.82ドルとなりました。
同社はアナリストらによる事前予想を大きく上回る業績を残したものの、終値ベースで株価を下げました。
この要因として、大手銀行各行による今後の経済に対する先行きの不安視が挙げられます。
各行ともに今後の景気の先行きについて慎重な見方をしており、市場の期待を弱めたものと考えることができるのではないでしょうか。
最後に同社株価の今後の値動きについて考察していきます。
純金利マージンと純金利収入は、2020年第4四半期における水準で安定化するとの見方があり、今後金利収入が大きく増加することは難しいとアナリストは分析しています。
非金利収入について見ていくと、2020年はモーゲージや引受、トレーディングなどの分野が好調に推移しており、結果を残してきました。
しかしながら2021年においても2020年のような好調さを保つことができるのかどうかについて、疑問視する声もあります。
これらを総合して判断すると、2021年における同社の業績は、2020年と比較して大きく成長することは難しいかもしれません。
したがって、株価についても、米国経済や景気動向といった外部要因によって左右されることはあるものの、同社の内部要因によって株価が大きく上昇することは考えにくいと言えるのではないでしょうか。
参考:Morgan Stanley Fourth Quarter and Full Year 2020 Earnings Results
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免責事項と開示事項 記事の作者、白紙は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。