急いで判断すべき局面ではどう待つか。勝負師の方法に学ぶ

前回の記事のように、仕掛けの際には、例えば「三日間」などのまとまった時間を設けて、じっくり待つことができます。
相場のカギは「仕掛け」にあり。手仕舞いより仕掛けを重視すべき理由とは
ある程度の時間を待ちに費やしても、それによって仕掛けに失敗することはあまり考えられません。
しかし、それ以外の場合、特に損切りなどの場合には、即座に判断しなければならないことがよくあります。
じっくり待ってうまく仕掛けることができても、予測できない突発的な値動きに見舞われた場合には、即座に損切りしなければ痛手を被ります。
特にデイトレードでは、ごく短時間の内に判断する必要があります。
もちろん、焦りは禁物です。
多くの人が経験していると思いますが、焦って損切りしてもろくなことはありません。
お茶を飲む勝負師
じっくり待てないところであえて待つためには、「一息つくこと」を心がけます。
例えば、お茶を飲んで一息つくといった方法です。
難しい局面では、一息つく余裕を失い、焦って判断してしまうことが多いものです。
お茶を飲むことで、落ち着くきっかけが得られ、焦りによる失敗をかなり避けられます。
お茶を飲む時間で、取り返しのつかない遅れに陥ることも考えにくいです。
判断を下す前にお茶を飲む、これを実戦に取り入れているのが棋士の羽生善治です。
将棋には、時間制限があります。
終盤になるにつれて時間は減っていき、短時間で判断を迫られます。
終盤では難しい局面も増え、一手の違いで形勢が逆転することもあり、ミスは許されません。
時間をかけて判断したいところですが、そういうわけにもいきません。
そこで、冷静で正確な判断を短時間で下すために、羽生さんはお茶を飲むことを取り入れています。
羽生さんは、著書『大局観』の中で、以下のように述べています。
「冷静さを失い、そうした感情のままに決断すればミスが増えてしまうが、そこにお茶を飲んで一息ついてからのワンクッションを入れてから決断すれば、むしろミスは減るような気がしている。」
健康も欠かせない
難しい局面で焦らず考える、適切なタイミングを待つためには、健康も欠かせません。
「健康」と「待つこと」は無関係に見えますが、切っても切れない関係にあります。
将棋では、後から考えてみれば何でもないところでミスを犯すことを「ポカ」といいます。
この「ポカ」について、一家言ある棋士といえば升田幸三です。
升田幸三は著書『勝負』の中で、ポカについて以下のように述べています。
「ポカというのは、その人の体質、性格ということもありますが、結局は、健康に関係がある。
というのは、体力のないときには、本能的に楽になろうとする。重荷を背負うとるから早く腰をおろしたい、休憩がしたい、これが生理的に出てくるから、そこで読みを切る、ポカがでる、というわけです。早くケリをつけてしまいたいとか、引き分けくらいにしときゃァなんとか義務は果たせるワ、というので…
九分九厘仕上げたのに、健康が悪くなったため九仞の功を一簣に欠くというのは、この世間にいくらもあることです。」
これを読むと、誰もが思い当たることがあるでしょう。
損切りに失敗したとき、身体的あるいは精神的な疲れが大きな原因になっていることが少なくありません。
荒っぽい値動きで判断を迫られ、損切りすべきかどうかを考えていると、そのうちに考えること自体が嫌になってくることがあります。
考えることに疲れて、それだけを理由に見切った結果、早すぎる損切りになってしまったり、あるいは疲れて判断を持ち越した結果、遅すぎる損切りになってしまうのです。
このように、待ちの姿勢の良し悪しは、健康面にかなり左右されます。
慢性的に睡眠不足である、仕事や家庭の問題で大きなストレスを抱えているなど、心身の健康に問題があると、正しく待つことが難しくなり、投げ出してしまうことが増えます。
したがって、仕掛けにしろ手仕舞いにしろ、待つことを心がけ、冷静に正確に判断していくためには、健康も決しておろそかにできない要素といえます。
まとめ
3記事にわたって、「待つ」ことについて具体的に解説しました。
待つということは、単にぼんやり待つことではなく、緊張感をもって、考えをめぐらしながら待つことです。
待ち方には、人それぞれ合ったものがあるでしょうが、待つことによって慎重に判断するのであって、そこには安逸はなく、安楽なものではありません。
「焦らず待て」と言われたところで、なかなか待てるものではありません。
しかし、待つということを実践面から捉え、心がけていくことによって、待つことがそれほど苦にならなくなります。
また、短時間で判断を迫られる局面でも、待つことが欠かせません。
何か一つ、自分なりに一息つける方法を準備しておくこと、そして健康を維持することが大切です。
ぜひ、日々の相場に取り入れてみてください。
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