2021年も引き続き注目したいビヨンドミートを全解剖。今後の株価の行方

2020年に開催された第92回アカデミー賞において作品とは別に話題になったのが「ヴィーガン」です。
その理由は、賞にノミネートされた候補者に振る舞われる恒例の昼食会や授賞式前に提供された料理が、100%ヴィーガン対応の料理にチェンジしていたからです。
そもそもヴィーガンとは「完全菜食主義者」のことですが、語源の由来は1944年のイギリスです。
従来のベジタリアン主義の終わりと新しい在り方として、Vegetarianの頭3文字と尻2文字をとって「Vegan(ヴィーガン)」という言葉が誕生したのです。
ヴィーガンになるきっかけは健康、環境保全、アニマルライツなど21世紀特有の様々な理由がありますが、世界中でヴィーガン人口は増加しています。
そしてアメリカは先進国の中でも最もヴィーガンが増加しており、現在は16人に1人のアメリカ人がヴィーガンと言われています。
こうした背景から飲食店におけるヴィーガン対応の店が増加しており、植物で出来たお肉を模した代替肉需要が増えています。
そんな代替肉のリーディングカンパニーがシリコンバレー にある「ビヨンドミート」(NASDAQ:BYND)です。
今回はビヨンドミートの将来性と今後の株価の行方について考察していきます。
ビヨンドミートとミッション
ビヨンドミートは、2009年に創業したカリフォルニア州マンハッタンビーチに拠点を置く企業です。
代替肉の分野では世界で初めて上場した企業としても有名です。
また大学との共同開発によってエンドウ豆から「肉」を再現することに成功しています。
大豆やグルテンも不使用で遺伝子組み換え作物でもありません。
2016年から肉ではないのに「肉売り場」に陳列されており、これは世界で初めての出来事です。
またビヨンドミートが掲げるミッションとして、健康と地球環境の大きな問題の解決に貢献することを約束しています。
これが事業のコアバリューです。
ビヨンドミートに投資する著名投資家とその理由
ビヨンドミートへ投資する有名人といえば、ビル・ゲイツやツイッターの共同創業者ビズ・ストーン、その他にも俳優レオナルド・ディカプリオなど多数の著名人が出資をしています。
ではなぜ多くの著名人が出資しているのかというと、必ずしも投資家がヴィーガンだからというわけではなく、本当に美味しい「肉」の代替品が誕生することで、世界の食肉産業に大きな変革を起こすゲームチェンジャーになることを期待しているからです。
その理由として、実は伝統的な畜産業は想像以上にエネルギーを必要としていることを知らない方も多いのではないでしょうか。
実際、温室効果ガスの18%、地球上の水の70%、そして年間約1200万ヘクタールの土地を砂漠化や干ばつさせているのも事実です。
これを畜産業だけの問題として捉えるのではなく、資本主義の構造が地球環境にとって完璧なモデルではないことを示唆しています。
実は既に世界人口を養うだけの食料が地球上で生産されているものの、現実はそうではなく、貧富の差はさらに拡大しています。
こうした構造を変えようとする一つの在り方として、投資家はビヨンドミートへ投資している側面もあるのです。
ビヨンドミートの将来性
ビヨンドミートの将来性を予測するには、代替肉の潜在市場の大きさに注目する必要があります。
米国の食肉市場規模は年間で約2,700億ドルという巨大な市場です。
この内、代替肉の潜在市場はどれだけの規模になるのか予測する必要があります。
大豆をベースとしている代替肉ですが、ミルク市場における大豆ベースの牛乳は全体の約13%です。
つまり代替肉が将来期待できる潜在市場は約350億ドル規模の市場期待値があることになります。
それだけ大きなマーケットになる可能性が代替肉にはあり、今後も売上高が上昇していくことが予測できます。
またビヨンドミートは現在、全米にスーパーなどを含めて約2.8万箇所の場所で販売されています。
なかでも2019年にビヨンドミートはマクドナルドと連携することを発表しました。
今後マクドナルドは独自に代替肉の製造をビヨンドミートと共同開発します。
2020年11月には植物由来の代替肉を使用した新しいハンバーガー「マックプラント(McPlant)」の発売計画も発表しています。
今後全世界のファーストフードでも従来の肉と代替肉を選択できる社会が確実に到来するはずです。
とはいえマクドナルドは宗教上の理由でヴィーガンの多いインドなどでもヴィーガン対応のハンバーガーを提供(2013年〜)してきた歴史があります。
今後マクドナルドに対してビヨンドミートがサードパーティという立場による関わりを持ち続けるサプライヤー契約を継続するのかは分かりませんが、代替肉市場は今後そのシェアを増加させることは間違いないでしょう。
ビヨンドミートの競争優位性
いくら代替肉の必要性を求める声が増えたとしても、肝心の「味」が美味しくなければ成長はないはずです。
ビヨンドミートは製品開発にも独自のアプローチをしています。
2019年に発売された「Beyond Burger」は、まるで本物の肉のような味や食感に近付いたことで、ヴィーガンでない消費者にも関心を集めています。
植物ベースであり、環境的利点も含めた商品として大きく注目されているのです。
また代替肉というイノベーションを起こすために必要なメンバーがビヨンドミートに集結していることも魅力の一つです。
2019年末には100名を超える科学者、エンジニア、シェフなどで構成されたチームを自社で作っており、既存製品の改善も進めています。
執筆時点でのビヨンドミート(BYND)の株価は140ドル前後を推移しています。
チャート的には上値抵抗線となる160ドルを超えていくのか注目したいところです。
長期での保有であれば株価のアップサイドはまだ始まったばかりだと筆者は考えています。
【米国株動向】タコベルの新メニューのニュースでビヨンド・ミートの株価が急上昇
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免責事項と開示事項 記事の作者、鈴木林太郎は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。