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令和3年度の税制大綱で住宅ローン控除の特例制度はどのように変わるのか?

出典:Getty Images

令和2年の2020年12月21日に「令和3年度の税制改正の大綱」が発表されました。

消費税増税対策にともない、住宅ローンの控除期間を従来の10年から13年に延長する特例は、新型コロナウイルスの影響で延長をしていました。

しかし、今回の税制大綱でさらなる延長が決定され、住宅ローンの対象となる物件の条件まで緩和されています。

この記事では令和3年度の税制大綱で住宅ローン控除がどのように変化するのか解説し、今後検討されている住宅ローンの改正案についても解説していきます。

令和1年度の税制大綱における住宅ローン控除の適用期間の延長

令和3年度の税制大綱の内容を説明する前に、今回の改正において重要な令和1年度の税制大綱の内容を改めて確認していきましょう。

2019年は消費税の増税が施行された年であり、住宅の購入にかかる消費税も8%から10%に上昇しました。

消費税増税における住宅購入の減退を防ぐために令和1年度の税制大綱において、増税から一定の期間の間に購入し、居住を開始した住宅に関しては控除の期間を10年から13年に延長することを決定する住宅ローン控除の特例制度を発表しました。

住宅ローン控除を最大限に活用するためには、10年以上の返済計画を組み、できる限り控除のない期間を減らすために10年~15年程度を目安に返済することでした。

しかし、住宅の購入価格や経済力によっては10年を目安に返済するのは難しい方も多いので、3年の期間の延長は控除を最大限に活用するとしても返済のゆとりを生み出してくれます。

増税後に住宅を購入した方であれば必ず利用したい制度ですが、控除の適用期間の延長を受けるためには以下の3つの条件を満たす必要がありました。

  • 消費税10%で住宅を購入する
  • 2019年10月1日から2020年12月31日までに入居する
  • 住宅の床面積が50㎡以上

まず、住宅の新築などの費用が消費税10%でなければ控除期間の延長は適用されません。

これを「特別特定取得」といいます。

特別特定取得でない住宅は対象外です。

住宅ローン控除を受けるための条件は基本的に変化がありません。

控除を受けるための所得制限に変化はなく、返済期間が控除期間よりも長くなければ控除が受けられないことにも変わりはありません。

しかし、適用の条件である入居期間と住宅の床面積の2つに関しては、令和3年の税制大綱で改正されています。

令和3年度の税制大綱における住宅ローン控除の改正

令和2年新型コロナ税特法により、住宅ローン控除の期間延長の適用期間が注文住宅を新築する場合は2020年9月末、既存住宅の取得や、増改築を場合は2020年11月末に延長されました。

しかし、令和3年度の税制大綱により、令和1年度の税制大綱で発表した住宅ローン控除の特例の適用期間はさらに延長されることとなりました。

改正によって変更された点は以下の通りです。

令和1年の税制大綱 令和2年新型コロナ税特法 令和3年の税制大綱
入居期間 2019年10月1日~2020年12月31日 2019年10月1日~2021年12月31日 2021年1月1日~2022年12月31日
床面積 50㎡以上 50㎡以上 40㎡以上

次々に入居期間が延長され、分かりづらいと思う方もいるかもしれませんが、入居期間は改正案ごとに1年ずつ延長しており、その結果、令和4年末までに入居すれば住宅ローン控除の特例が適用されると考えれば分かりやすいと思います。

契約期間は令和2年の新型コロナ税特法から、注文住宅を新築する場合は2021年9月末、既存住宅の取得や、増改築を場合は2021年11月末に延長されています。

令和3年の住宅ローン控除の改正で最も注目するべき点は、これまで住宅ローン控除の適用条件が床面積50㎡以上であったのに対して、住宅ローン控除の特例の条件を満たしている場合に限り、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅にも適用されることです。

ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅で控除を受けるには所得制限が1,000万円となっています。

所得が1,000万円を超える年には住宅ローン控除を受けることができません。

床面積50㎡以上で控除を受けるための所得制限である3,000万円よりも厳しくなっている点に気をつけましょう。

これまで床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は住宅ローン控除が受けられなかったので、居住用住宅として売れないことも多かったのですが、税制大綱による契約期間中はこのような住宅にも需要が高まることが予想されます。

住宅ローン控除の床面積の緩和は過去にさかのぼって適用できる?

住宅ローン控除の特例の適用期間は、新型コロナウイルスの影響もあり延長していますが、増税からすでに2年が経ち、当初の入居期間もすでに過ぎています。

住宅ローン控除の特例が適用され、13年の控除期間を前提に現在返済をしている方もいるかと思いますが、床面積の緩和に関しては過去にさかのぼって適用することは可能なのでしょうか?

結論は、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅を2020年10月1日以前に新築住宅を契約していても住宅ローン控除は受けられません。

床面積を緩和した狙いは、新型コロナウイルスの影響による居住用住宅の購入の減退を防ぐ意味が強いので、あくまでこれから住宅を購入する方に有利な改正ということになります。

また、新型コロナ税特法の適用期間の対象外である2020年12月末などに住宅を契約した方は令和3年の税制改正大綱の対象になります。

床面積40㎡以上50㎡未満の住宅の契約条件も満たすので、住宅ローン控除を受けるためには居住を始めた日が重要になります。

令和3年の税制大綱における床面積40㎡以上50㎡未満の住宅の居住期間は2021年1月1日~2022年12月31日までです。

そのため、2021年1月1日以前に居住を開始している方は住宅ローン控除が受けられず、それ以降に居住を開始した方のみ控除が受けられる仕組みです。

基本的には過去にさかのぼって適用できませんが、適用条件を知らずに満たしていた場合は特殊なケースではありますが適用が可能になっています。

控除率は今後の税制大綱次第では「1%」ではなくなる?

住宅ローン控除は、住宅ローンの年度末残高の1%を税額控除する制度で、税金の控除効果が非常に大きいです。

2021年現在では住宅ローンの金利が1%を切ることもあるので、住宅ローンの控除上限である4,000万円を目安に上限一杯まで借りると、税金の控除効果が金利を上回る逆ザヤが発生します。

仮に0.5%の金利で返済して住宅ローン控除を適用しているなら、控除率1%の差額の0.5%分の利回りが住宅ローンを返済しているだけで発生していることになります。

控除する税金があることが条件ですが、間接的な資産形成の手段にすることも可能です。

これまでの住宅ローン控除は金利の低さを利用して、借りる必要がないのにも関わらず上限までお金を借りてローンを組むことで最大限に節税ができる制度でした。

住宅ローンの契約者はフラット35などの住宅金融支援機構の住宅ローンなどをのぞいて、ほとんどのケースで団体信用生命保険に加入しているため、契約者が団体信用生命保険の対象になった場合は、ローン残高が一括返済される点でも借りれば借りるほどメリットが大きくなることを助長していました。

このような節税の抜け道を会計検査院は以前から問題視しており、2022年度の税制大綱で住宅ローンの控除率を1%から、住宅ローンの金利が1%に満たない場合は利払い分のみ控除する案が政府・自民党から出ています。

2022年の税制大綱で住宅ローン控除の控除率が見直されれば、これまでの節税方法が通用しなくなる可能性があるのです。

令和3年の税制大綱における住宅ローン控除の改正案は住宅ローンの契約者にとって有利になる改正でしたが、令和4年の税制大綱では控除制度が大きく改悪されることが予想されます。

これから住宅を契約する方は控除期間の延長や、控除の対象となる住宅の幅が広がったことも考えながら、控除率が将来的に必ずしも1%でなくなることも考慮したうえで、無理のない返済計画を立ててください。

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