バフェットも使うバスケット・アプローチを個人投資でも利用する方法

バスケット・アプロ―チという言葉を聞いたことがありますか?
そしてバフェットもそれを使うことがあるということをご存じでしたか?
そもそもバスケット・アプローチとは、単純に言えば、まとめて買うということです。
バフェットは昨年、2回ほどバスケット・アプローチを使って株を購入しています。
1回目は大変話題になりましたが、日本の商社株を5銘柄(三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅、伊藤忠商事)まとめて買っていたことが判明した、8月の終わりごろです。
そして、もう1回が、11月に大型薬品株4銘柄(アッヴィ、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ、メルク、ファイザー)をまとめて買っていたことが分かった時です。
そもそも、バフェットの投資スタイルとしては、徹底的にリサーチした上で、本当に理解した少数銘柄だけに投資する、というのが基本です。
「全ての卵を一つの籠に盛り、じっと見つめる」というスタイルです。(分散投資の真逆です)
それにもかかわらず、彼はバスケット・アプローチを利用しています。
個人投資家にも活用できるバスケット・アプローチ
バフェット自身が、薬品株の購入に関して、年次株主総会で次のように言ったことがあります。
「薬品セクターが割安に放置されているにもかかわらず、薬品セクターでの勝ち組を選ぶだけのスペシャリストとしての知識がないので、どれか一つを選ぶことが出来ない」
そして「もし、大手薬品銘柄をまとめて市場の平均のPERより割安で買えるなら、秒速でそれを実行する」と言っています。
セクターとして非常に魅力的なことは分かっているが、その中でどれが長期的に勝ち組になっていくのかを見極めるだけの専門的な知識を持たないので、取り敢えずまとめて買ってしまうということです。
それによって、そのセクターのエクスポージャーを取り、セクターの上昇を享受する、というものです。(セクター・プレイとも言われます)
この投資方法は、個人の投資でも非常に役立つ方法ではないかと思っています。
個人投資家には、個別銘柄のリサーチを細かく、そして深く行うことは比較的難しいかと思います。
よほどの確信が無いと、銘柄を一つに絞り込むことは難しいでしょう。
あるいは、不十分な調査と理由で、これが一番と思いこんで投資する、ということの方がもしかしたら多いかもしれません。
思い込みや知っているという薄弱な根拠で投資することは、闇夜で弓を放ち、的に命中させようとするのに近いことです。
運が良ければ当り、というレベルになってしまいます。
そうしたリスクを冒さずに投資の成果を上げていくのに、このバスケット・アプローチ有効です。
バスケット・アプローチが有効な場面
最初はバスケット・アプローチで購入した銘柄群であっても、勝ち組と負け組が明確になってなってきた、あるいは、保有していく過程で、その優劣が分かるようになってきた、という状況になってきたら、絞り込んでいけば良いかと思います。
絞り込んでいくことで、投資の効率を上げていくことが出来ます。
このアプローチ方法は、様々なシチュエーションで使うことが出来ます。
成長の可能性が非常に高いセグメントへの投資
例えば、新しいビジネスセグメントで、どの会社が勝者なるのか、まだまだよく分からないものの、そのセグメントが成長することはかなり確実だと思えるようなケースがあります。
電気自動車(EV)などが例としてあげられるでしょう。
この分野でテスラが先行していることはかなり確からしいように思えますが、その次に続くEV関連メーカーは何か、部品メーカーも含めて、どのような会社が台頭してくるのかは、まだまだよく分かりません。
テスラと違い、実績がほとんどないので、株価もまだまだ冴えないものも多いです。
一時話題になったニコラ、EV向けのパワートレインを製造しているハイリオン、EVの製造販売、部品の製造販売を行っている中国メーカーのニーオ、中国のプレミアムE・SUV製造のリー・オート、カナダのEVメーカーのエレクトロメカニカなど関連企業は多くあります。
その他にも既存の自動車メーカーや、バッテリーでは日本のパナソニックなども有望です。
既存の大型メーカーでは、EV関連の売り上げや収益へのインパクトはまだ小さく、EVテーマでの投資にはなりにくいとも言えます。
こうしたテーマ投資は専業メーカー、あるいはそれに近い小型のメーカーでやることがコツです。
EV専業に近い小型のメーカーのうちの、どれが5年後10年後に勝者になっているかは、なかなか想像つきません。
そのような時には、上記の企業をピックアップしてほぼ均等に買ってみて、モニタリングしながら数年かけて絞り込んでいくというのも、EV発展の利益を享受しつつ、その中での勝者を探す方法としては効果的かと思います。
AI関連、フィンテック、その他、破壊的イノベーションと言われている分野などは、新しいイノベーティブなベンチャーが数多く出ています。
こうした分野への投資には、バスケット・アプローチは比較的有効な手段かと思います。
専門性が必要とされるセクターへの投資
また、特殊な専門性を持っていないと理解しにくいセクターへの投資を行いたい場合にも、バスケット・アプローチは有効と言えます。
これは、先ほど紹介したバフェットの薬品株購入のケースです。
開発中の薬品についての成功可能性などの判断にあたっては、医学の知識や医学分野でのネットワークや知見がものを言ったりします。
その分野で仕事をしている人を別にすれば、素人には判断しにくいものです。
同様のケースでは、バイオテクノロジー・セクターなども、素人にはバスケット・アプローチは有効な手法だと思えます。
先行きが不透明な市場に対する投資
最後に、先行きが分かりにくく、絞り込みがしにくいケースにもバスケット・アプローチが有効になる場面があります。
例えば、金への投資があげられるでしょう。
金への投資をインフレヘッジとして(金価格の上昇狙い)、あるいは株市場との低相関であることから、ポートフォリオのリスクを下げるために投資するなど、いろいろな理由があるかと思います。
金(あるいは金価格に連動するETF)を買うべきか、金鉱株であれば、産金コストが高くオペレーティング・レバレッジの高いハーモニーを買うべきか、あるいは産金コストが低いバーリックゴールドを買うかなどは、今後の金価格の考え方によって変えていく必要があります。
その金価格の動向について、確信がないようなケースでは、金のETFや、上記企業をバスケットで買ってしまうのも一つです。
そして、トレンドが出始めたと確信が出てきたところで絞り込んでいきます。
まとめ
こうしたバスケット・アプローチの根底には、絞り込むだけの自信がない、あるいは間違える可能性も十分ある、ということがあります。
その前提で、リスクを抑えながらもそのセクターのエクスポージャーを取ることで、セクター全体(あるいはそれに近い)の上昇のメリットを取る、というものです。
このバスケット・アプローチの究極の形が、インデックス投資です。
銘柄を選ぶだけの能力と時間がないと諦めて、インデックスに入っているものを丸ごと買ってしまうのがインデックス投資です。
成長株が上昇しようとシクリカルが上昇しようと、インデックスが上昇してくれさえすれば、投資は成功です。
個別株投資にこだわる方でも、このバスケット・アプローチを適宜利用することで、投資の幅を広げていくことができます。
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