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2021年版「ダウの犬戦略」から選ぶ優秀銘柄3選

出典:Getty Images

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、3月に世界の金融市場が未曾有の大暴落を経験しましたが、日欧米などの主要中央銀行による大規模な金融緩和が功を奏し、年末には世界の上場企業の株式時価総額は、史上初の100兆ドルを超えるなど激動の1年となりました。

結果的に2020年末の取引最終日には、「NYダウ平均株価」や「S&P500指数」といった米国主要株価指数は、終値ベースで史上最高値を更新しており、世界中の投資家は来年以降の米国経済の回復及び更なる成長に強気の姿勢である事が分かります。

そこで、今回は米国で最も一般的な株価指数の一つである「NYダウ平均株価」をテーマに、特に「ダウ10戦略」、通称「ダウの犬 (Dogs of the DOW)」と呼ばれる投資手法に焦点を当てながら、将来的に配当利回りの上昇が期待される銘柄をご紹介致します。

まず、米国株価主要3指数において、ハイテク株比率が高い「ナスダック総合株価指数」の上昇率は、金融危機直後の09年以来の大きさを記録する一方で、「NYダウ平均株価」は昨年の22.3%高には劣るものの、2年連続の上昇を記録しました。

米国株価主要3指数 主な特徴 構成銘柄 年間騰落率 主要銘柄
NYダウ平均株価 構成銘柄の平均株価を指数化 米国の優良企業30社 7.2% Apple、Microsoft
S&P500 時価総額加重平均型株価指数 米国の主要産業を代表する500社 16.3% GAFAM、Tesla
ナスダック総合株価指数 時価総額加重平均型株価指数 米ナスダック市場に上場する全銘柄 43.6% Amazon、Netflix

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社

一方で「NYダウ平均株価」構成銘柄のうち、配当利回りが最も高い10銘柄に年末12月31日に投資し、翌年末まで継続保有し、その時点で配当利回りが最も高い10銘柄へリバランスするという「ダウ10戦略」の2020年におけるリターンの優位性は低い結果となりました。

Index Price

12-31-2019

Dividend Yield

12-31-2019

Price

12-31-2020

Dividend Yield

12-31-2020

YTD Change
Dogs of the Dow 3.90% 4.75% -12.60%
DJIA 28,538.44 2.60% 30,606.48 2.74% 7.20%

出所:2020 Dogs of the Dow「Daily YTD Performance Tables」を基に筆者作成

とりわけ、2020年においては「NYダウ平均株価」の構成銘柄のうち、Appleの80.7%を筆頭に、年初来リターンが高い銘柄ほど配当利回りが低い一方で、Exxon Mobilの様に「ダウ10戦略」の中でも高配当利回りの銘柄ほど、パフォーマンスの悪化が顕著な傾向にあります。

一方で、「ダウ10戦略」は過去50年間という長期的なスパンでは、米主要株価指数をアウトパフォームしてきた実績があり、またベータ値が市場平均 (S&P500)の1より小さく、相場サイクルを通してより安定していた点から、長期投資における優位性が証明されています。

ダウ10戦略と主要指数のパフォーマンス比較 (1957~2006年)

  利回り(CAGR) ベータ
ダウ10戦略 14.08% 0.8532
ダウ30(NYダウ平均株価) 11.86% 0.9341
S&P500 11.13% 1.000

出所:ジェレミー・シーゲル著「株式投資」

この傾向は2000年以降にも見られ、5年、10年、そして20年間における年率リターンから、長期間での配当再投資効果による同戦略の優位性を示しており、また直近5年間においては、2016年と2018年が主要指数に対してオーバーパフォームする等、短期的にはリターンにバラツキがある点が特徴です。

Periods Ending December 31, 2018 1999/12/31~2019/12/31
Investment 5 Year 10 Year Since 2000
Dogs of the Dow 13.40% 15.90% 9.50%
Dow Jones Industrials 13.30% 13.90% 8.40%
S&P 500 12.50% 14.20% 7.70%

出所: Dogs of the Dow「Dogs of the Dow Total Return」を基に筆者作成

そこで、2020年末時点の「NYダウ平均株価」の構成銘柄の配当利回りを基に、今年の「ダウ10戦略」を比較すると、AMGNとMRKの2銘柄を除いて、昨年と同じ構成銘柄であり、特に、IBMとDOWにおいては昨年同様に、同戦略のトップ3にランクインしています。

それでは、2020年における「ダウ10戦略 (ダウの犬)」に採用された10銘柄のうち、「YOC (5年間)」の高い上位3銘柄を紹介致します。

なお、「YOC」とは具体的に「年間受取り配当金÷買値 (平均取得価格)」であるため、連続増配する前提で考えると、基本的に「YOC」が高い銘柄ほど、長期保有するに従って配当利回りが上昇します。

フリーキャッシュ・フローマージンは具体的に「フリーキャッシュフロー÷売上高」であり、連続増配の原資となる企業が自由に使える現金をどれだけ効率よく稼いでるかを見る指標として、その対象銘柄の収益面、ならびに財務面の安定性を図る重要です。

【優秀銘柄】~2021 Dogs of the DOW~

「ダウ10戦略」に採用された10銘柄 において、YOC (5年)と連続増配年数の加重平均値はそれぞれ、3.64%と29年と3年時点に対して、配当利回りの上昇が見られ、セクター別ではヘルスケアと情報技術が共に同戦略において2割超を占めています。

  Dogs of the DOW Market Cap on 12/31/20 FCFM (TTM) YOC3Y (%) YOC5Y
(%)
Dividend Growth (Year) Sector
1 CVX 112.2 2.81 4.10 5.71 33 Energy
2 VZ 41.2 14.89 4.72 5.37 16 Communication Services
3 CSCO 34.5 31.61 3.74 5.27 9 Information Technology
4 MRK 243.1 14.22 4.61 4.92 10 Health Care
5 AMGN 100.8 40.96 4.00 4.35 9 Health Care
6 IBM 189.1 16.86 4.27 4.27 21 Information Technology
7 MMM 207 19.93 2.50 3.89 62 Industrials
8 KO 133.9 21.85 3.58 3.77 58 Consumer Staples
9 WBA 235.7 2.95 2.55 2.18 43 Consumer Staples
10 DOW 162.6 12.83 N/A N/A 1 Materials
  Weighted Average 15.50 3.23 3.64 29  

出所:

FCFM (TTM):Key Ratio(morinigstar.com)

YOC(3Y,5Y), Dividend Growth:Yield on Cost(seekingalpha.com)

*いずれも2020/12/31時点のデータを参照

シェブロン

  • FCFM (TTM):2.81%→「ダウ10戦略」内順位No.10
  • YOC3Y:4.1%→「ダウ10戦略」内順位No.4
  • Dividend Growth:33年→「ダウ10戦略」内順位No.4

「国際石油資本」、または「Supermajor」の一角であるシェブロン(NYSE:CVX)は、「Energy」セクターにおける時価総額で、エクソンモービルに次いで2番目の規模を誇っており、「配当貴族」にも採用されている連続増配銘柄です。

その歴史は1879年創業と約140年に渡って、上流と下流の2つの事業セグメントを通して、主に原油と天然ガスの採掘や開発から生産までのラインを管理すると同時に、石油化学関連製品の精製から販売を陸・海運といった幅広いサプライチェーンに強みがあります。

第2Qにはコロナショックによる原油価格の暴落が響き、米天然ガス資産の評価減などで106億ドルの減損処理により最終損益が赤字転落また、直近の第3Qも売上高が前年同期比32%減と苦境を強いられており、6,000人規模の従業員削減を進めています。

直近では財務体質の強化に向けて、米シェール大手ノーブル・エナジーの買収を発表しており、費用対効果の高い低コストのエネルギー資産を事業ポートフォリオに加える事で、将来的にキャッシュフローの改善及び連続増配の継続が期待されています。

ベライゾン

  • FCFM (TTM):14.89%→「ダウ10戦略」内順位No.6
  • YOC3Y:4.72%→「ダウ10戦略」内順位No.1
  • Dividend Growth:16年→「ダウ10戦略」内順位No.6

米国の携帯電話業界においてトップシェアかつ、5Gネットワークの利用可能地域でも業界首位のベライゾン(NYSE:VZ)は、事業ポートフォリオの中心であるワイヤレス(無線サービス)「Verizon Wireless」ブランドで全米に展開しており、収益全体の7割を占めています。

直近の第3Q決算では、売上高が前年同期比4%減かつ、純利益が16%減の減収減益となった一方で、コロナ禍の在宅勤務の増加がプラスに寄与した事で、高速インターネット接続サービス「Fios」の契約件数は約14万件の純増と、約6年ぶりの高成長を達成しました。

また、ビデオ会議サービスを運営する米ブルージーンズの買収を含めて、2015年以来で買収先は24社と世界の通信大手12社において、最もM&Aに積極的であり、同時に同社のテレビ配信サービス「フィオスTV(Fios TV)」の広告在庫を管理する米アンパーサンドとの提携発表するなど、貪欲に経営基盤の強化を進めています。

更に、同社は米アマゾンに続いて、2040年までに「カーボンニュートラル」の達成を目指す「Climate Pledge」という誓約への署名を発表しており、ESGに対するエンゲージメントが評価され、株主には世界最大の年金基金であるGPIFも含まれます。

シスコ

  • FCFM (TTM):31.61%→「ダウ10戦略」内順位No.2
  • YOC3Y:3.74%→「ダウ10戦略」内順位No.6
  • Dividend Growth:9年→「ダウ10戦略」内順位No.9

2009年にNYダウ平均株価指数に採用されたシスコ(NASDAQ:CSCO)は、ネットワーク・ソリューション分野において世界最大のハードウェア並びにソフトウェアのサプライヤーです。

収益源を分解すると、米国の約6割に続いて、EMEA (欧州・中東・アフリカ)が25%、そしてAsia(日本・中国)の15%という事で、クロスボーダーでネットワーク製品を展開しており、地理的にも良くバランスの取れた事業ポートフォリオを持っています。

中でも「Infrastructure Platform」が売上げ製品の5割超を占めており、テレビカンファレンス等のビジネス現場における製品に加え、近年では「Webex」といった「Applications」における収益拡大も視野に入れています。

直近の第1Q決算では、売上高が前年同期比9%減かつ、純利益が同26%減と企業のIT(情報技術)投資縮小でインフラ関連部門が落ち込む一方で、ソフトウエア利用におけるサブスクリプションの売上比率は78%と増加傾向にあり、ロビンスCEO自らも「事業改善の兆しに勇気づけられる」と指摘しており、業績反転が予想されています。

最大の強みは収益基盤の安定性に見られ、FCFMの過去10年間における平均値は約25%と非常に安定しており、配当性向も45.5%という事で、現在9年の連続増配記録の更新に余裕があるため、長期保有による利回り上昇が期待されます。

免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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