2021年の投資に向けて。世界経済・金融市場のトレンドをおさらい

2020年の世界経済は大きく揺れました。
年初は比較的順調に株価や為替は推移したものの、2月にコロナウィルスの問題が顕在化してからは、株価・為替ともに急落しました。
その後、株価や為替は急回復し、NYダウは過去最高値を更新しています。
このようにめまぐるしく相場は動きましたが、2021年の相場はどのように動くのか気になる方も多いのではないしょうか?
そこで今回は、2021年の世界経済・金融市場のトレンドについて予測してみます。
株価は高値圏にとどまるも勢いは鈍化
米大統領選の勝者確定やコロナワクチンの承認および接種開始を受けて、NYダウ、ナスダック、S&P500の主要株価指数は過去最高値を更新しました。
上昇の勢いは鈍化してきているものの、小幅調整をしながら下値を固めて上昇しているので、相場には安定感があります。
新たな買い材料が出てくれば、一段高が期待できる状況にあります。
英国でのコロナウイルスの変異種発見から、 コロナ感染への不安が再浮上する動きもありますが、難航していた米国での追加経済対策が可決されたことや、引き続き緩和マネーに支えられていることは、株価の支援要因となります。
11月に29年半ぶりの26,000円台に乗せた日経平均株価は、12月は一時26,905円まで上昇したあと、26,000円台で底堅い値動きとなっています。
27,000円にはなかなか届かず、上昇の勢いがやや鈍ったかに見えますが、 12月29日に714.12円プラスと大幅上昇し、27,568.15円の高値を付けました。
今後もこの勢いは止まらないと考えられています。
為替市場でのドル安地合いは変わらず
為替市場では、ドル安の地合いが続いています。
米金利が低下して、ドル投資の妙味に乏しいこと、コロナ感染拡大で米経済成長が大きく滅速したこと、FRBの金融緩和政策によって大量のドルが市場に供給されていることから、株高で投資家がリスク選好を強めるリスクオンの局面では、ドルから他通貨への資金シフトが起こっています。
世界経済が回復に向かう中、マネーは相対的に高利回りの新興国資源国の通貨や、売られすぎだった欧州通貨に流れる展開となっています。
ドルが下落する一方、ブラジル・レアル、オーストラリア・ドル、ユーロなどが上昇しました。
ドル円相場は、ドル安の流れが波及して円高が続いており、過去5ヵ月の中心レンジであった 104円〜108円を明確に下抜けました。
たたし、102円台ではドル買いから103円台に反発しており、一方向に円高が進む状況ではありません。
新興国の経済や通貨に回復の動き
新興国経済だけでなく、世界経済全体の中でも、中国経済の回復には目を見張るものがあり、東アジアや東南アジアなど、中国の景気回復の恩恵を得るアジアの近隣諸国は、引き続き良好な経済環境が期待できます。
加えて、アジア以外の新興国にも回復の動きが見られており、トルコのGDPは市場予想を上回る強いものとなりました。
しかし、同国には欧米との外交間題が存在しており、売られすぎからの反発が見られるブラジル・レアルや南アフリカ・ランドと異なり、トルコ・リラは弱いままとなっています。
2020年12月、トルコはロシアからのミサイルの購入に関して、米国から経済制裁を受けています。
最近の出来事
- 12/2…英国:英政府が、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発するコロナワクチンの使用を承認。8日、接種開始
- 12/3…中東他:OPEC加盟国と非OPEC加盟国で構成されるOPECプラスは、来年1月からの日量50万バレルの増産で合意
- 12/8…日本:菅首相、追加経済対策の事業規模が 73.6兆円、財政支出が40兆円になると表明
- 12/10…ユーロ圏: ECB理事会パンデミック緊急資産購入プログラムを5,000億ユーロ拡大し、 2022年3月まで9カ月延長
- 12/11…米国:米食品医薬品局 (FDA) が、米ファイザーと独ビオンテックによるコロナワクチンの緊急使用を許可。14日、接種開始
- 12/14…日本:政府は12/28から1/11まで、全国でGo Toトラベルを一時停止することを決定
- 12/14…米国:選挙人投票によってバイデン氏が正式に大統領選挙に勝利
- 12/16…米国:FOMCさらに著しい進展が見られるまで資産購入を継続とし、緩和長期化を示唆
- 12/18…日本:日銀金融政策決定会合。企業資金繰り支援策を2021年9月末まで半年延長、3月をめどに各種施策を点検
- 12/20…英国:コロナウイルスの変異種の拡大から、主要都市でロックダウン(都市封鎖)を再導入
- 12/21…米国:上下両院で 9,000億ドル規模の追加経済対策案が可決される。トランプ大統領の署名待ち
今後の重要スケジュール
- 1/5…米国:ジョージア州での上院議員選挙の決選投票
- 1/18…日本:通常国会召集
- 1/20-21…日本:日銀金融政策決定会合
- 1/20…米国:大統領就任式
- 1/21…ユーロ圏:ECB理事会
- 1/26-27…米国:FOMC
- 1月中…米国:大統領の施政方針演説
- 1月中…世界:IMF (国際通貨基金) 世界経済見通し改定
- 2/11…中国:春節開始(17日まで)
- 2月中…米国:予算教書
- 2月中…米国:パウエル米FRB議長 議会証言
今後のマーケット環境
足元のマーケットは、米追加経済対策の可決とコロナウイルスの変異種の拡大懸念という強弱両方の材料に挟まれていますが、先行きは企業業績の改善や経済データの回復が注目される展開となりそうです。
各国での拡張的な金融政策と財政政衡の組み合わせは、株などのリスク性資産の相場を押し上げるとみられます。
米国では、民主党のバイデン次期大統領が正式決定しました。
ただし、1月5日に実施されるジョージア州の上院議会選挙の決選投票で共和党が勝利すると、 上院の過半数を共和党が取って「ねじれ議会」となるため、パイデン氏が公約した各種政策には制約がかかりそうです。
日本株は、11月の急上昇後の反動売りが見られない状態です。
ワクチンの普及や業績改善期待から、先行きは再び買いの動きが出てくると予想されます。
為替市場では、資源国や新興国通貨への選好が続き、「リスクオン相場でのドル売りがドル円相場に波及する動きが続きそうです。
ただし、来年の米金利動向次第ではドル買いの動きが出てくる可能性もあります。
主なリスク要因
- 新型コロナウイルス終息の遅れ (接種されたワクチンの有効性や安全性、コロナの変異種に関心が集まります)
- 米国の政治情勢(議会選挙の勢力確定、追加財政の行方、新政権の外交政策などに不透明感があります)
- 新興国経済の不安定化 (新興国発の金融不安定化のリスクがあります)
- 原油相場の低迷(協調減産体制が崩れれば再び急落する恐れがあります)
まとめ
今回は2021年の世界経済の見通しについて説明をしました。
コロナウイルスを始めとする様々なリスクが2021年もあります。
しかし、2020年終盤にかけて日本株を始めとする株価は大幅に上昇をしました。
戻り売りがない現状とこれから出てくる企業業績、もしくはコロナワクチンへの期待など良い材料の方が多い状況です。
しばらくは、株価為替ともに強い状況が続くのではないでしょうか?
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