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ヘッジファンドの帝王、レイ・ダリオのポートフォリオから選ぶ優秀銘柄

出典:Getty Images

コロナ禍で師走相場を迎え、米国株式市場では主要3指数が過去最高値を更新する中、世界の上場株式時価総額が100兆ドルを上回り、パンデミックから経済正常化を織り込んだ投資家の潤沢な運用資金が活況なマーケット環境を演出しています。

一方で、コロナショックから今だ苦戦を強いられている運用業界があるのも事実で、度々その高報酬でメディアに報じられるヘッジファンドマネージャーの世界もその一つです。

今回はそんなヘッジファンドをテーマにその市場環境ならびに、特にヘッジファンド運用資産残高が世界最大のレイ・ダリオ氏率いる米ブリッジウォーター・アソシエーツのポートフォリオを分析対象にその構成銘柄をご紹介致します。

まず、業界概況について、2020年上半期末時点で、世界のヘッジファンド運用資産残高は2,300億ドルの減少と金融危機以来のマイナス幅となった一方で、7月以降のV字反発により足元の投資残高は3.2兆ドルと昨年末の水準を回復しつつあります。

地域別では、欧州とアジア太平洋が昨年末比から増加傾向であり、特に欧州については今年初来で34億ドルの資産流入が見られる一方で、ヘッジファンド運用資産残高が最大の北米では8月末時点で、同504億ドルの資金流出と投資家心理の悪化が継続している模様です。

ヘッジファンド市場のパフォーマンスにおいては、9月(Q3)終了時点で、全体で年初来プラス圏に浮上しており、資産別では各国中銀の大規模な金融緩和と財政出動に支えられて、株式指数が6.9%の上昇と特に市場全体を上回る高リターンを見せています。

出所:HFM「Hedge funds in Q3 20」を基に筆者作成

続いて、ヘッジファンドの運用資産残高の上位10社を見ると、うち9社が米国籍であり特に、米ブリッジウォーター・アソシエーツは136億ドルとその運用額が圧倒的な首位です。

  Top 10 largest HF managers by HF AUM As of January 2020($bn)
  HF Firm Specialism HF AUM % out of Total AUM Total AUM Headquarter
1 Bridgewater Associates Macro 136.1 85.1% 160 US
2 Renaissance Technologies Quant 75.0 100.0% 75 US
3 Man Group Vaious 51.4 43.6% 118 UK
4 AQR Capital Management Quant 50.0 26.9% 186 US
5 Two Sigma Investments Quant 48.0 78.7% 61 US
6 JP Morgan AM Various 46.3 1.9% 2,400 US
7 BlackRock Various 44.4 0.6% 7,429 US
8 Elliott Management Corp Activism 40.2 100.0% 40.2 US
9 Millennium Management Multi-start 39.5 100.0% 39.5 US
10 Marshall Wace Equity 34.2 76.2% 44.9 US

出所:HFM「The top 100 hedge fund managers 2020」を基に筆者作成

同社の創業者兼CIOで「ヘッジファンドの帝王」の異名を持つ、レイ・ダリオ氏 は、米フォーブス社が発表する「Billionaires 2020」で46位の資産家であり、また「世界のヘッジファンドマネージャー報酬ランキング」では第5位の9億ドルを稼いだ事でも有名です。

ダリオ氏は、資産価格の変動要因はインフレ、デフレ、経済成長、経済下降の4つに分類して、この各期間に適した資産に25%ずつ均等に投資する事で、最大利回りかつ最小リスクを目指す「全天候型ポートフォリオ」を開発し、1996年より同社のファンドの運営に欠かせない投資戦略と言われています。

  成長 インフレ
Rising↑ 株式・社債 商品取引・金
商品取引・金 TIPS
Falling↓ 長期米国債 長期米国債
TIPS 株式

出所:Bridgewater「The All Weather Story」を基に筆者作成

同氏によると、かつて経験した市場の暴落を踏まえて、「想定外の事態が起きるのは当然」という前提で運用する方法を開発した事が運用哲学の基礎になったと振り返っています。

また、カリスマコーチとして知られるアンソニー・ロビンズ氏がダリオ氏とのインタビューで、個人投資家にも実行可能な全天候ポートフォリオを聞き出す事に成功し、「オール・シーズンズ戦略」と名付けています。

S&P500 VS. A/S (75年間)
  S&P500 A/S戦略
損失の出た回数 18回 10回
最大損失 -43.30% -3.93%
平均損失 -11.40% -1.63%
株価大暴落の7年    
1937年 -35.03% -9.00%
1941年 -11.59% -1.69%
1973年 -14.69% 3.67%
1974年 -26.47% -1.16%
2001年 -11.89% -1.91%
2002年 -22.10% 7.87%
2008年 -37% -3.93%

出典:アンソニー・ロビンズ著「世界のエリート投資家は何を考えているのか」

実際に、ロビンズ氏が同戦略を用いて、過去75年間の仮想実績を検証したところ、最大損失は金融危機の発生した2008年の-3.93%で、また第一次石油危機やITバブル崩壊といった暴落時にはプラス利回りを確保しており、下落耐性に優れた戦略と言えます。

では、ブリッジウォーター・アソシエーツの最新ポートフォリオを見ると、上位10銘柄のうち、6銘柄がETFであり、S&P500に加えて、新興国株指数や金などの複数の資産クラスに幅広く分散投資されています。

出所:Hedge Follow「Ray Dalio Stocks Portfolio」を基に筆者作成

今回は、レイ・ダリオ氏率いるブリッジウォーター・アソシエーツのポートフォリオより、ETFを除く株式を分析対象に売上高成長率の高い上位3銘柄をご紹介致します。

【優秀銘柄】~Ray Dalio Stocks Portfolio~

  Ticker % of Portfolio Revenue(3-Year Annualized)% FCFM TTM (%) Debt/Equity Sector
1 PDD 0.98% 290.84 52.18 0.31 Consumer Discretionary
2 BABA 4.72% 47.67 26.97 0.14 Consumer Discretionary
3 TAL 0.63% 46.4 29.86 0.61 Consumer Discretionary
4 JD 1.56% 30.72 4.09 0.23 Consumer Discretionary
5 EDU 0.51% 25.75 14.06 0.6 Consumer Discretionary
6 NTES 0.83% 15.77 26.61 0.26 Communication Services
7 ABT 0.57% 15.23 14.24 0.59 Health Care
8 BIDU 0.74% 15.04 18.7 0.44 Communication Services
9 COST 0.93% 8.93 3.71 0.69 Consumer Staples
10 EL 0.46% 6.53 15.72 1.82 Consumer Staples

出所

  • Revenue Growth, D/E:Financials(morinigstar.com)
  • FCFM (TTM):Key Ratio(morinigstar.com)

*FCFMは具体的に「フリーキャッシュフロー÷売上高」であり、配当原資となる現金をいかに効率よく稼いでるかを見る財務指標の一つです。

*上記3指標はいずれも2020/12/17時点のデータを参照

Pinduoduo

2015年創業の拼多多(NASDAQ:PDD)は上海に本社を置く中国のモバイル電子商取引のプラットフォーマーとして、アパレルから生鮮食品といった衣食住の幅広いグッズを手頃な価格でかつ、インタラクティブな購買体験をモットーに自らを新たなEコマース企業と位置付けています。

中国語の社名表記である「拼多多」は、英語で言う「Together」と「More」を掛け合わせて、「共により節約と楽しく買い物を」という思いが込めれており、購入ユーザー各にカスタマイズされたフィードを基にSNS型の購入体験の提供という他社にない強みを持ちます。

具体的な事業モデルとして、「TEAM PURCHASE」と呼ばれるサイクルにより、より多くのユーザーに対してバルクで調達した低価格な商品を提供可能にする一方で、購入体験をSNSでシェアする事で、消費拡大を促し、更に多くのユーザー獲得が期待できます。

結果的に、直近12か月のGMV (流通取引総額)は第3Qで前年同期比73%増で、平均のMAUs (月間アクティブユーザー数)は6.4億人と過去最高を達成しており、業績面でも同期間89%の増収により最終利益の黒字化に成功と著しく成長しています。

財務面ではフリーキャッシュフロー・マージンが50%超かつ、D/Eレシオも1未満と債務負担が少なく、収益基盤も安定しており、今後ユーザー数の拡大が継続成長の鍵だと言えます。

アリババ・グループ・ホールディングス

1999年創業のアリババ(NYSE:BABA)は流通取引総額 (GMV)ベースで世界最大のEC企業であり、企業理念の一つにサステナビリティを掲げており、3世紀にも渡る長期視点での経営を目指しています。

近年では創業者のジャック・マー氏がIT企業の金融事業に商機を見出し、キャッシュレス電子決済サービスのアリペイを用いた消費者ローンに加えて、AIによる与信審査も手掛けており、既存の銀行を脅かす存在になった事で、11月に中国政府がグループ傘下のアントの上場延期に相次いで、独占禁止法により資本拡張を防ぐなど逆風に晒されています。

一方で、コロナ禍の直近四半期の純利益では67億ドルとアジア企業でトップと、中国ネット通販最大手の地位を確立すると同時に、中国巨大テック「BATH」の一角として、習指導部の掲げる「中国製造2025」における量子計算技術の研究でも貢献しています。

時価総額では、今年初めて7,000億ドルを突破した事で、S&P500の上位5銘柄GAFAMに次ぐ規模までに成長しており、また中国のEC市場が2019年から今後5年で80%拡大と予想されている点からも、同社の電子商取引における継続的な収益拡大が予想されます。

TALエデュケーション・グループ

2003年創業のTALエデュケーション・グループ(NYSE:TAL)は、北京を本拠地とするチュータリング業者のリーディングカンパニーとして、主にK-12と呼ばれる幼稚園から高校3年生までの生徒を対象とした教育事業を国内91都市で936拠点の学習センターを構えています。

社名のTALは「Tomorrow Advancing Life」を表しており、教育とデジタル技術を組み合わせた「エドテック」を用いて、生徒に信頼される教育機関になる事を信条としています。

同社は2010年に旧社にあたるXueersi社として、中国の教育機関にとって初となる米国株式市場上場を果たし、その社名は「Mobby」や「Firstleap」といった少人数クラスの受講ブランドと並んで、現在の指導プログラムに引き継がれています。

加えて、オンライン学習プラットフォームの「jzb.com」により専門学習や高校と大学(院)への入学試験対策といった準備コースの提供、また「EdStars」ブランドで起業家向けの学習コースなど幅広い教育事業コンサルティングを手掛けています。

直近の第2Q決算では、売上高が前年同期比27%増かつ、最終利益の黒字化を達成しており、通常価格プランの長期受講者数は約429万人増と昨年同期比で約7割増加と順調に収益源を伸ばす中、直近10年間で企業価値は39倍にまで拡大しています。

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