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コロナからの回復著しい中国のハンセン指数をベンチマークとするETFの中でも、特に優秀な銘柄

出典:Getty Images

コロナウィルスの震源地とされる中国では、直近の累計感染者数が約8.6万人と日本の約半分、また累計死者数が過去最高を更新する米国に対して、相対的に経済への影響が小さく、OECDによると、G20で唯一、20年と21年ともにプラス成長が予想されてます。

今回は主要国の中でもいち早くコロナショックから回復軌道にある中国経済において、その経済環境と株式市場(香港)、そして個人投資家にアクセス可能なETFをご紹介致します。

まず、中国の名目GDPは2020年時点で15兆ドルを超え、世界シェアも約18%と米国に次ぐ2位となり、過去20年間でその規模は5倍超に拡大しました。

中国の世界シェア首位品目

業種 品目 ブランド シェア
金融 国際カードブランド ユニオンペイ 58.6%
ネット・エンタメ

通信

携帯通信基地局 ファーウェイ 34.4%
生活・食品 たばこ 中国煙草総公司 43.9%
情報・デバイス パソコン レノボ・グループ 24.2%
中小型液晶パネル 京東方科技集団 15.9%
エレクトロニクス 洗濯機 ハイアール 24.3%
家庭用エアコン 珠海格力電器 18.6%
冷蔵庫 ハイアール 21.7%
監視カメラ ハイクビジョン 30.1%
環境・エネルギー

素材

リチウムイオン電池向け絶縁体 上海エナジー 18.0%
太陽光パネル ジンコソーラー 11.6%
運輸・サービス 原油輸送量 中国招商局集団 6.3%

出所:日本経済新聞「中国 ハイテクで存在感 シェア首位12品目、日本抜く」

2019年「主要商品・サービスシェア調査」の調べによると、中国は全74品目のうち、12品目でトップシェアを確保し、日本を抜いて、米国に迫る勢いを見せており、特に携帯通信インフラ・PC・監視カメラといったハイテク市場においてその存在感を示しています。

また、中国政府は2017年に発表した「次世代AI発展計画」において、AIを「国際競争の新たな焦点」と位置づけ、2030年までに同国のAI技術を世界最先端のレベルに引き上げ、AI関連産業を10兆元(約160兆円)の市場規模へ拡大させる目標を掲げています。

中国政府が認定した4つのAIプラットフォーム

企業 主力のAIサービス 主力分野
Alibaba アリババクラウド上でAIサービス展開 スマートシティ
Tencent 医療AI画像分析・診療補助の「ミーイン」など開発 医療応用
Baidu AI技術の「百度大脳」自動運転の「Apollo」を展開 自動運転
iFlytek 中国最大手の音声認識・合成技術を持つAI企業 音声認識

出所:富士通総研のHPを基に筆者作成

同計画は、中国国務院による初の国家レベルのAI促進計画であり、「次世代AI開放・革新のプラットフォーム」をとして4社を認定しており、中国ネット3強「BAT」が含まれます。

2点目に、中国の金融市場は政府主導の経済政策に並んで、経済活動のインフラを担う重要存在であり、中国人民銀行の金融政策や債券・株式市場を中心に同国を支えています。

近年、中国の経常黒字は縮小傾向かつ、米中貿易摩擦による貿易収支の悪化に備えて、海外からの証券投資を呼び込む狙いがあり、2017年より「債券通(ボンドコネクト)」を通じて、海外の投資家が香港の銀行経由でオンショア人民元を取引し、中国債券を売買可能になった事で、同国国債や政策銀行債を指数へ採用する動きも見られます。

結果的に、債券市場では海外の機関投資家が保有する中国のオンショア(中国本土)債券が前年同期比で2割以上増加しており、約14兆ドルと米国に次ぐ世界二位の市場規模です。

さらに、株式市場においても「ストックコネクト」と呼ばれる香港経由で元建て株を売買できる相互取引が2014年から開始され、海外投資家の上海や深センいった中国本土市場へのアクセスが容易になった事で、株式市場の時価総額は過去最大の10兆ドルを超えました。

滬港通(上海・香港ストックコネクト) 海外個人投資家に香港経由で、上海A株の一部銘柄へ投資可能に(2014年11月)
深港通(深セン・香港ストックコネクト) 海外個人投資家に香港経由で、深センA株の一部銘柄へ投資可能に(2016年12月)

【中国の株式市場】2020年11月9日時点

取引所 株式市場 上場

企業数

時価総額 株価指数 主要な銘柄
オフショア 香港 メインボード 2,154 46兆4,360億香港ドル 香港

ハンセン指数

テンセント
GEM市場 373 1,120億香港ドル H株指数/レッドチップ指数 中国工商銀行

チャイナモバイル

オンショア

中国本土

上海 A株市場 メインボード 1,372 37兆3,964億人民元 上海総合指数 中国平安保険
科創板 192 3兆2,116億人民元 SMIC
B株市場 メインボード 49 740億人民元 Baosight
深セン A株市場 メインボード 460 9兆3,862億人民元 深セン総合指数 美的集団
中小版 983 13兆6,088億人民元 iFLYTech
創業板 874 10兆8,481億人民元 ハイクビジョン
B株市場 メインボード 45 479億人民元 順豊控股

出所:東洋証券のHPを基に筆者作成

特に香港証券取引所は、米インターコンチネンタル取引所(ICE)、米ナスダック、欧州大手ユーロネクスト、JPXと並ぶ主要5社とされており、同社の時価総額は7月に米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)を上回り、世界の取引所でトップとなりました。

市場の牽引役は中国ネット大手4社「ATMX」であり、12月に出前アプリの美団点評(Meituan)が香港の代表的な株価指数、「ハンセン指数」に採用された事で、アリババ(Alibaba)、騰訊控股(Tencent)と小米(Xiaomi)が同指数の構成銘柄として揃いました。

今回は中国株へアクセス可能なETFのうち、20年超の運用歴を持ちながら、ハンセン指数をベンチマークとする「The Tracker Fund of Hong Kong(TraHK)」を分析対象にその構成銘柄から売上高成長率の高い上位3銘柄をご紹介致します。

【優秀銘柄】~TraHK~

Ticker Name Weight of ETF(%) Revenue

(3-Year Annualized)

ROE

TTM (%)

Debt/Equity Sector
1 2269 薬明生物技術 2.34 59.11 11.72 0.27 Healthcare
2 9988 阿里巴巴集団控股 5.28 47.67 18.06 0.14 InformationTechnology
3 1810 小米集団 3.81 44.35 13.97 0.27 InformationTechnology
4 700 騰訊控股 11.17 35.42 22.56 0.53 InformationTechnology
5 1177 中国生物製薬 0.98 21.40 8.06 0.47 Healthcare
6 1299 友邦保険控股 9.26 18.82 10.28 0.12 Financials
7 2318 中国平安保険集団 5.25 17.91 18.19 1.90 Financials
8 883 中国海洋石油 1.39 16.86 9.43 0.33 Energy
9 669 創科実業 1.68 11.84 19.55 0.62 ConsumerDiscretionary
10 2628 中国人寿保険 1.39 10.49 13.06 0.14 Financials

Revenue Growth, D/E:Financialsー(morinigstar.com)

ROE (TTM):Key Ratioー(morinigstar.com)

*上記3指標はいずれも2020/12/10時点のデータを参照。

WuXi Biologics (Cayman) Inc.(薬明生物技術)

2010年創業の同社はバイオ医薬品の開発製造受託会社として、製薬企業向けに創薬、製造、商業生産といった薬品のライフサイクルを包括的にサポートする「CDMO」契約に強みがあり、世界の製薬会社トップ20のうち16社と取引実績を持っています。

近年のバイオ医薬品開発にあたっては、たんぱく質の培養や精製などに高い技術が必要で、製薬企業がバイオCDMOに委託する例が増えている事が追い風となって、同社の直近4年間の統合プロジェクト数は286件と年率約40%の急成長を見せています。

地域別の顧客数は中国が約50%を占める一方で、欧米で4割超と先進諸国を中心にシェアを拡大しており、特に金融市場ではバイオCDMOへの評価が高まり、M&Aの投資評価とされるEV/EBITDA倍率が直近で101倍と、世界最大手のスイス製薬大手ロンザを凌ぐ高水準です。

今期中間決算では、売上高が前年同期比21%増かつ純利益が同62.6%の増収増益と、好調な統合プロジェクトの中でも最大の収益源とされるフェーズⅢの件数が19件と、臨床試験の後半段階へのシフトが進む中で、マイルストーン収入がここ3年間で3倍へと成長しています。

アリババ・グループ・ホールディングス

1999年創業のアリババ(NYSE:BABA)は、流通取引総額 (GMV)ベースで世界最大のEC企業であり、企業理念の一つにサステナビリティを掲げており、3世紀にも渡る長期視点での経営を目指しています。

本社を上海近郊の杭州市に置く同社は、ニューヨーク証券取引所にADRとして、また2019年に香港証券取引所に再上場を果たし、同市場の代表的な株価指数であるハンセン指数へ今年9月から採用される事になりました。

2019会計年度時点における中国のEC市場のシェアは約68%と首位であり、個人向けECサイトのTaobaoとTmallに加えて越境ECも手掛けており、直近の中国小売事業のアクティブ消費者数は7.5億人と同国人口の過半数を占めています。

特に、コロナ禍の直近四半期の純利益では、67億ドルとアジア企業でトップであり、中国ネット通販最大手の地位を確立すると同時に、中国巨大テック「BATH」の一角として、習指導部の掲げる「中国製造2025」における量子計算技術の研究でも貢献しています。

時価総額では、7,000億ドルを突破した事で、S&P500の上位5銘柄GAFAMに次ぐ規模までに成長しており、また中国のEC市場が2019年から今後5年で80%拡大と予想されている点からも、同社の電子商取引における継続的な収益拡大が予想されます。

Xiaomi Corporation(小米集団)

2010年に創業の同社は、世界最大の消費者向けIoTプラットフォーマーとして、スマホやスマートデバイスとインターネットを繋ぐインフラ的存在を担っており、会社ロゴの「MI」は不可能と思われる挑戦を意味する「ミッションインポッシブル」を表しています。

同社はハンセン指数を構成する中国ネット大手4社「ATMX」の一角として、組入れ上位9位と4.3%を占めており、スマホの出荷シェアでは世界第4位ですが、特に来年は最大で2億4000万台の生産計画により中国最大手のファーウェイに攻勢をかける事が予想されます。

セグメントは主力のスマートフォン、IoT・ライフスタイル製品、インターネットサービスの3部門構成で、スマホ出荷台数のシェアが米アップルを抜き世界3位と躍進する中、特に西欧のシェアが前年同期比で約2倍に増加と、海外売上げ比率50%超の達成に貢献しました。

直近の第3Q決算では、売上高が前年同期比35%増かつ純利益が同93%増と四半期ベースで過去最高を更新しており、主要セグメント全てにおいて増収を達成する一方で、国内外の企業300社以上に出資するなど投資事業にも積極的に取り組んでいます。

財務面では、直近3年間における売上高成長率が年率の40%超を維持する事で、フリーキャッシュフローは前年同期比で33%増かつ、D/Eレシオも0.3未満と安全性の高いビジネスモデルに投資妙味があると言えます。

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