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コロナから復調する中国のETFから選ぶ優秀銘柄

出典:Getty Images

コロナウィルスの第3波となる感染拡大が欧米を中心に猛威を振るっており、欧州各国では再度外出制限が課され、また米国では1日あたりの新規感染者数と死者数が過去最高を更新するなど深刻な状況が続いています。

一方、感染の震源地とされる中国では、累計感染者数が12月時点で約8.6万人と日本の約半分、また累計死者数がワーストである米国などの先進諸国に対して、相対的に経済への影響が小さく、OECDによると、G20で唯一20年と21年ともにプラス成長が予想されています。

今回は、主要国の中でもいち早くコロナショックから回復軌道にある中国経済をテーマに、個人投資家にアクセス可能なETFから優秀な中国株をご紹介致します。

まず、中国の名目GDPは2020年時点で15兆ドルを超え、世界シェアも約18%と米国に次ぐ2位と、過去20年間でその規模は5倍超に拡大しました。

中国の世界シェア首位品目

情報・デバイス中小型液晶パネルエレクトロニクス家庭用エアコンエレクトロニクス冷蔵庫エレクトロニクス監視カメラ環境・エネルギー・素材太陽光パネル

業種 品目 ブランド シェア
金融 国際カードブランド ユニオンペイ 58.6%
ネット・エンタメ

通信

携帯通信基地局 ファーウェイ 34.4%
生活・食品 たばこ 中国煙草総公司 43.9%
情報・デバイス パソコン レノボ・グループ 24.2%
中小型液晶パネル 京東方科技集団 15.9%
エレクトロニクス 洗濯機 ハイアール 24.3%
家庭用エアコン 珠海格力電器 18.6%
冷蔵庫 ハイアール 21.7%
監視カメラ ハイクビジョン 30.1%
環境・エネルギー

素材

リチウムイオン電池向け絶縁体 上海エナジー 18.0%
太陽光パネル ジンコソーラー 11.6%
運輸・サービス 原油輸送量 中国招商局集団 6.3%

出所:日本経済新聞「中国 ハイテクで存在感 シェア首位12品目、日本抜く」

2019年「主要商品・サービスシェア調査」の調べによると、全74品目のうち、中国は12品目でトップシェアを確保し、日本を抜いて米国に迫る勢いを見せており、特に携帯通信インフラ・PC・監視カメラといったハイテク市場でその存在感を示しています。

2点目に、中国政府は2017年に発表した「次世代AI発展計画」において、AIを「国際競争の新たな焦点」と位置づけ、2030年までに同国のAI技術を世界最先端のレベルに引き上げ、その関連産業を10兆元(約160兆円)の市場規模に拡大させる目標を掲げています。

中国政府が認定した4つのAIプラットフォーム

企業 主力のAIサービス 主力分野
Alibaba アリババクラウド上でAIサービス展開 スマートシティ
Tencent 医療AI画像分析・診療補助の「ミーイン」など開発 医療応用
Baidu AI技術の「百度大脳」自動運転の「Apollo」を展開 自動運転
iFlytek 中国最大手の音声認識・合成技術を持つAI企業 音声認識

出所:富士通総研のHPを基に筆者作成

同計画は、中国国務院による初の国家レベルのAI促進計画であり、「次世代AI開放・革新のプラットフォーム」をとして4社を認定しており、中国ネット3強「BAT」が含まれます。

また、同国政権の中長期的な戦略として、10月に開催された5中全会(共産党第19期中央委員会第5回全体会議)において、2021年から始まる5ヵ年計画と2035年までの長期計画の草案が発表され、特に習近平党総書記の長期政権に向けた布石との見方が強まりました。

第14次5カ年計画の要旨

内需 AI(人口知能)や半導体、航空宇宙などを重大な科学技術プロジェクトに指定
IT、新素材、新エネルギー車などの新たな産業の強化
高速通信規格5Gやビックデータなどの新たなインフラ建設を推進
内・外需 内需と外需を好循環させる「双循環」を促進し、消費と投資を拡大
外需 対外開放を実施、中国の大市場の優位性を生かした国際協力の強化

出所:日本経済新聞「中国「5カ年計画」などを巡る草案の要旨」を基に筆者作成

3点目に、中国の金融市場は政府主導の経済政策に並んで、経済活動のインフラを担う重要存在であり、中国人民銀行の金融政策や債券・株式市場を中心に同国を支えています。

近年、同国の経常黒字は縮小傾向かつ、米中貿易摩擦による貿易収支の悪化に備えて、海外からの証券投資を呼び込む狙いから、2017年より「債券通(ボンドコネクト)」を通じて、海外投資家へ中国債券の売買が可能になり、同国国債や政策銀行債が指数へ採用される動きも見られます。

結果的に、債券市場では海外の機関投資家が保有する中国のオンショア(中国本土)債券が前年同期比で2割以上増加し、約14兆ドルと米国に次ぐ世界二位の市場規模となりました。

さらに、株式市場においても「ストックコネクト」と呼ばれる香港経由で元建て株を売買できる相互取引が2014年から開始され、海外投資家の上海や深センいった中国本土市場へのアクセスが容易になった事で、株式市場の時価総額は過去最大の10兆ドルを超えました。

滬港通(上海・香港ストックコネクト) 海外個人投資家に香港経由で、上海A株の一部銘柄へ投資可能に(2014年11月)
深港通(深セン・香港ストックコネクト) 海外個人投資家に香港経由で、深センA株の一部銘柄へ投資可能に(2016年12月)
中国の株式市場 外国の個人投資家が自由に投資できる市場
取引所 株式種類 市場 株価指数 主要な銘柄
オンショア(中国本土) 上海 A株市場 メインボード 上海総合指数 中国平安保険
科創板 SMIC
B株市場 メインボード Baosight
深セン A株市場 メインボード 深セン総合指数 美的集団
中小版 iFLYTech
創業板 ハイクビジョン
B株市場 メインボード 順豊控股
オフショア 香港 メインボード 香港ハンセン指数 テンセント
GEM市場 H株指数

レッドチップ指数

中国工商銀行

チャイナモバイル

出所:東洋証券のHPを基に筆者作成

また、米中間の制裁関税の応酬で両国関係が悪化する一方で、金融ビジネスのパイプを維持する狙いで、2年前より「米中金融円卓会議」にて、中国側はウォール街の投資銀行家などに金融・資本市場の改革加速を提言しており、海外マネーの呼び水になっています。

今回は、中国株にアクセスする上で、流動性の高い米国市場に上場するETFのうち、最大の運用資産残高を持つ「iShares MSCI China ETF(MCHI)」を分析対象にその構成銘柄からROE(自己資本利益率)の高い上位3銘柄をご紹介致します。

【優秀銘柄】~MCHI~

Ticker Name Weight of ETF (%) ROE

TTM(%)

Revenue
(3-Year Annualized)%
Debt/Equity Sector
1 JD 京東集団 2.56 25.36 30.72 0.23 Consumer Discretionary
2 700 騰訊控股 14.39 22.56 35.42 0.53 Communication Services
3 NTES 網易 1.31 19.03 15.77 0.26 Communication Services
4 2318 中国平安保険 2.35 18.19 17.91 1.90 Financials
5 BABA 阿里巴巴集团 17.75 18.06 47.67 0.14 Consumer Discretionary
6 YUMC 百胜中国 0.80 16.09 0.38 0.38 Consumer Discretionary
7 3968 招商銀行 0.84 14.98 8.57 0.87 Financials
8 1810 小米科技 1.21 13.97 44.35 0.27 Information Technology
9 EDU 新東方教育科技集団 0.88 13.71 25.75 0.6 Consumer Discretionary
10 2963 薬明生物技術 0.99 11.72 59.11 0.27 Health Care

Revenue Growth, D/E:Financialsー(morinigstar.com)

ROE (TTM):Key Ratioー(morinigstar.com)

*上記3指標はいずれも2020/12/10時点のデータを参照

JD.com

2004年に現CEOの劉強東氏により創業したJD.com(NASDAQ:JD)は、電子商取引の取扱量において、阿里巴巴(アリババ)に次ぐ中国2位のEC大手であり、中国国内の7都市に発送センターかつ800以上に及ぶ物流倉庫を保有している事で、商品の迅速な配送サービスに強みを持ちます。

同社はADR(米国預託証券)として米国NASDAQに上場かつ、NASDAQ100指数に採用される一方で、今年6月に米国上場の中国企業としては3社目となる香港市場での二次上場を果たしました。

中核事業は、小売ウェブサイト「JD.com」を通じて、オンライン直販とマーケットプレイス事業を展開しており、今年9月末時点の年間アクティブユーザー数は4億4160万人と年初来から約22%増とコロナ禍でネットショッピングの需要拡大による恩恵を受けています。

直近の第3Q決算では、売上高が前年同期比で29%増かつ営業利益が同77%増と大幅な増収増益を見せており、通販サイトの雑貨部門とマーケットプレイスの広告による販売が好調で、営業利益率が過去最高の水準に改善する中、株価も年初来で2倍超へ上昇しています。

テンセント

1998年創業のテンセント(SEHK:700)は中国の投資持株会社として、世界企業の時価総額8位に君臨しており、CEOのポニー・マー氏は中国企業最大手のアリババ創業者のジャック・マー氏に次いで、総資産が6兆円越えの大富豪です。

出資先のゲーム企業は米大手エピックゲームズなど100社以上に及び、ゲーム事業の売上げが世界首位で、直近では、スマートフォン向け主力ゲーム「王者栄耀」の年初来から10月までの月間アクティブユーザー数が平均1億人超と圧倒的な人気を誇ります。

主な事業セグメントには、ゲームやSNSなどの付加価値サービスが売上げ全体の半分超を稼ぐ中核事業であり、中国版LINEと言われる無料対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の月間アクティブユーザーが、20年9月末時点で12億1280万人に達する一方で、オンライン広告とフィンテック事業も手掛けています。

直近の第3Qでは、売上高が前年同期比で29%増かつ、純利益が同89%増と四半期ベースで過去最高益と好調であり、特にコロナ禍の外出制限が要因で、モバイルゲーム部門やオンライン決済額の売上げが大きく伸びた事がプラスに寄与しました。

財務面では、営業利益率が過去10年間に渡って平均30%超を確保しており、また営業キャッシュフローも通期で7年連続で増加と堀の深い事業モデルを武器に、長期的な株主リターンの向上に期待できる銘柄と言えます。

網易

1997年に創業の網易(HKG:9999)は、テンセントに次ぐ世界2位のモバイルゲーム会社であり、NASDAQに上場してから20年となる今年6月に香港市場へ重複上場を果たし、本業でも日本や北米に進出し、「荒野行動」や「陰陽師」などの国際オンラインゲームを運営しています。

主力のオンラインゲームサービスが、売上げ全体の7割超を占める一方で、昨年にNYSEへIPOを果たしたオンライン教育事業の「Youdao」は6四半期連続の増収と好調であり、またその他に音楽配信や自社ブランドのECサイトやメールサービスを手掛けています。

直近の第3Q決算では、前年同期比で約28%の減益になったものの、3大事業セグメント全てにおいて2桁台の増収を達成しており、特にオンライン教育事業が前年同期比で159%の増収とコロナ禍でウェブレッスンを利用するユーザー数が1億人超と急成長を見せています。

財務的には、営業利益率が直近5年間において年率20%超で成長しており、直近のフリーキャッシュフロー・マージンも約26%と利益率の高いビジネスモデルに強みがあります。

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新型コロナウイルスの感染再拡大で未だ予断を許さない状況ですが、ワクチン開発で大きな進展が示されるなど、厳しい状況の中にも明るい兆しも見えてきています。2021年にかけて成長ストーリーを持っている5銘柄を紹介します。

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