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バフェットが20年待って投資した大型薬品株、その4銘柄の将来性

出典:Getty Images

今年の第3四半期のバークシャー・ハサウェーの投資の状況が、SECへのファイリングの公開により明らかになりました。

その際に、金融株やアップル株の保有を減らしたことが話題となっています。

購入サイド(自社株買いを除く)では、大型薬品株の投資が注目を集めました。

しかも、アッヴィ(NYSE:ABBV)、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(NYSE:BMY)、メルク(NYSE:MRK)、ファイザー(NYSE:PFE)、まとめて4銘柄のバスケット買いです。

これまで、大型薬品株については、バフェット本人が関与した投資は行われていませんでした。

ポートフォリオの中に、ジョンソン・アンド・ジョンソンなどの薬品株も入っていますが、これは購入の大きさからするとバフェットによるものというよりは、部下のテッドもしくはトッドによるものかと推定できます。

バフェットと薬品株の歴史

大型薬品株への投資に関しては、30年以上前から目は付けていたようです。

大手製薬会社は、高齢化社会に向かうアメリカ・世界を背景に業績を伸ばし、成長の可能性も高く、またキャッシュ・マシーンであり、売れ筋の薬品は一定期間特許で守られるなど、バフェットにとっては魅力的なビジネスです。

そうした魅力的なビジネスであるため、常に割高に取引される傾向があり、手を出さずに来ていました。

割高で取引されることが多いので、購入チャンスが来たら、買いたい銘柄であったかと思います。

しかし、1997年の年次株主総会で、チャンスを逃したことを認める発言をしています。

90年代前半、クリントン大統領の時にヘルスケア改革が提案され、薬価を抑制される可能性が高かったこともあり、薬品株はビジネスはともかくとして、株価は今一つの状況になっていました。

ビジネスは順調であるにも関わらず、株価が政治的な理由で振るわないという状況でした。

結局改革案は実現しなかったために、この株価下落は薬品株購入の大きなチャンスでした。

ここで目をつぶって買っておけば良かったと、この株主総会で後悔を吐露しています。

1999年の年次株主総会では、「自分にはこの薬品セクターでの勝者・勝ち組を選ぶだけのスペシャリストとしての知識が無いので、どれか一つを選ぶことが出来ない。もし、大手薬品銘柄をまとめて市場の平均のPERより割安で買えるなら、即座にそれを実行する」と言っています。

それから21年。ようやくチャンスが巡ってきたということかと思います。

この1999年の年次株主総会で言ったことをそのまま実行したような形です。

2002年の年次株主総会では、具体的な名前として、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ、メルク、ファイザーを上げています。

そして、ここでも「個別の企業の良し悪しを判断するのは難しいので、この業種ではバスケット買いをしても良いのではないかと思っている」と言っています。

20年経っても、自分の力量の限界を知りつつ、20年前に決めた投資方針に従ってこの投資を行ったと考えられます。

この忍耐強さというか、割安でなければ買わないという一貫した投資方針には敬服します。

ビジネスの先行きが良く見え、株価が上昇していると、つい基準を緩めて買ってしまいがちです。

バフェットの一貫性には、ただ感服するばかりです。

さて、購入した4銘柄について、個別になぜこの会社なのかを見ていきたいと思います。

バフェットが購入した4つの薬品株

アッヴィ

この会社は、2002年の株主総会の際に言及されていません。

それも当たり前で、2013年にアボット・ラボラトリーズから分離独立してできた新しい会社です。

バフェットが投資したことが分かってから株価は大きく上昇しているので、PERも少し上昇していますが、それでも11倍です。(記事執筆時点)

S&P500の平均PERが25倍程度と言われているので、半分以下です。

EPSの成長率は過去3年で年率22%。純利益率は40%あり、過去3年の売上成長も年率10%あります。ROEは25%を越えてきています。

今年、アレガンという企業を買収し、プロダクトラインを広げています。

統合も順調に進んでいるようです。

主力のヒュミラ(リュウマチ性関節炎薬)は、引き続き成長のキードライバーであり続ける見込みです。

また、収益性の高い審美医療関連でも、そのプラダクトラインを広げるなど有望と考えられます。

ブリストル・マイヤーズ・スクイブ

この会社は、がん治療薬、免疫疾患薬、心臓疾患薬などの開発を行っています。

PERは10倍で、配当利回りは2.9%です。(記事執筆時点)

この株も市場平均のPERを大きく下回っています。

一方で、EPS成長率は過去3年で年率28%です。

純利益率は36%で、過去3年の売上成長率も年率21%あります。

そしてROEも24.5%と高い水準です。

アッヴィもそうですが、この会社も大型の買収を行っており(2019年にCelgeneを買収)、その統合の行方が不透明なため、割安に放置されがちです。

加えて、同社の場合は肺がん治療薬で期待されたほどの効能が無かったことで大きく売られ、その後遺症もあります。

かなり割安と見て良いかと思います。

メルク

糖尿病、肥満、呼吸器官系疾患、心臓疾患や婦人科系疾患向けの処方箋薬の開発などを行っています。

PERは14倍で、配当利回りは3.2%です。(記事執筆時点)

市場平均よりかなり低いPERですし、配当利回りも高めです。

EPS成長は過去3年で、年率15%です。

純利益率は34.4%、売上成長率は過去3年で年率7%、ROEは50.9%とかなり高い水準です。

売上やEPSの成長性では、アッヴィやブリストル・マイヤーズに劣りますが、PER、配当利回り、ROE水準などを考えれば、割安と言って間違いないでしょう。

また、現時点でメルクはCOVID-19関連の3つのプログラムを走らせています。

いずれ、ワクチンなどについてのニュースも出てくることも期待されます。

ファイザー

心臓疾患や、メタボによる疾患などの処方箋薬など幅広く開発を行っています。

PERは14倍で、配当利回りは3.8%です。(記事執筆時点)

キャッシュフローは潤沢にあり、減配の心配も無用です。

EPSは過去3年で年率4%の成長。売上は、過去3年の平均で年率-2% 。純利益率は38.1%。ROEは26.5%です。

売上の成長が停滞しているところが気になるところです。

ただ、ご存じのように、BionTechと組んで開発したCOVID-19ワクチンがイギリスでは既に承認され、EU、米国でも承認申請が出されるなど、先頭を走っています。

こうしたバイオ・ファーマが現時点では売上の83%を占め、成長のカタリストになると想定されており、今後への期待が大きいかと思います。

ビジネスの安定度からすると、上記3社に比べると低めです。

今回の投資の額を見ると、ファイザーの比率はかなり小さく、1/10以下です。

おそらく、バフェットが関与して購入したのは、上記3銘柄で、ファイザーはテッドもしくはトッドが購入した銘柄である可能性が高いと思われます。

まとめ

以上、7-9月期に購入した大型薬品銘柄について、概観してきました。

安定して成長する良い企業の多い業界で、かつ、勝ち組を選ぶのが難しい場合に、リーディング・カンパニーをバスケットで買うという方法は、一つの方法です。

保有しながら選別することも出来ます。

割安な状態は、今でなくてももっと前から生じていました。ここまで株価を伸ばしたのはなぜでしょうか?

COVID-19のパンデミックが発生する以前の数年は、オピオイドの問題やヘルスケア・コストの問題で、薬品会社の置かれた状況は厳しいものがありました。

パンデミックの中で、ワクチンの必要性から薬品会社への見方がネガティブなものからポジティブなものに変わったことも、投資を後押ししたのかもしれません。

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免責事項と開示事項 記事の作者、松本義和は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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