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悪化する豪中関係とその反動で回復する可能性のある日豪貿易。注目銘柄はどれか

出典:Getty Images

最近、オーストラリアのメディアでは、対中関係が悪化しているという報道を度々見るようになりました。

オーストラリアと中国は、穀物や資源の貿易で関係を築いてきましたが、2016年頃から対立する報道を聞くようになり、最近になり更に悪化してきました。

以前は日本がオーストラリアの主な貿易パートナーとなっていましたが、中国の経済が発展するにつれ、オーストラリアが貿易相手国を中国にシフトしました。

それに伴い外交摩擦も起きるようになりました。

中国がオーストラリアの報道機関の社員をスパイ容疑で逮捕したり、オーストラリア製品(穀物、資源など)に高い関税をかけ、輸入規制をしたりしています。

一方、オーストラリアは、今回のコロナ騒動の為に、感染拡大の中国当局の初期対応を調べる独立した検証作業の要求などを行いました。

両国の対応はお互いの処置に対する報復処置で、最近は中国がオーストラリア産のコットンの利用中止を中国内の紡績工場に求めたり、オーストラリア産食肉の輸入を一部停止したり、大麦に80%超の追加関税を課したり、オーストラリア産ワインに対して反ダンピング(不当廃売)の調査を開始したりしています。

中国がオーストラリアにとってほとんどの商品で最大の輸出相手国である為、国内のそれらの産業は、コロナの影響に追い打ちをかけるように打撃を受けています。

オーストラリアの産業は主に教育、観光、資源です。

コロナの影響で教育産業と観光産業が大打撃を受けている現在、資源での貿易収入は重要な収入源だったのですが、この処置によりオーストラリア国内の経済は更に悪影響を受けました。

このように対立している間、中国は新たに資源の購入先をブラジルやアフリカ諸国に求めていましたが、思うような結果は得られなかったようです。

それにも関わらず、強気にオーストラリアと外交の”ケンカ”をしている中国は、近い将来、自国で自給できる勝算でもあるかのような態度です。

そうこうしている間、まだコロナ騒動が治まらない2020年11月下旬、オーストラリアのモリソン首相は、就任したばかりの菅総理を訪問しました。

訪問の目的は、主に軍事協力や貿易問題とありましたが、私個人としては、貿易の取引先を現在の中国から、かつてのパートナーの日本にしようとしているのではと思いました。

今後、日豪間の貿易が盛んになると、オーストラリアから日本に多くの資源や穀物などが輸入される事になるでしょう。

そうなると、オーストラリアの資源関係の大手企業と、その企業と取引している日本企業に注目が集まります。

オーストラリア国内の資源大手企業

BHP(NYSE:BHP)

オーストラリアに本社がある世界最大の鉱業会社です。

多様な採掘と加工を行い、鉄、ダイアモンド、石炭、石油、ボーキサイトや金属などを扱っています。

オーストラリア、ロンドン、ニューヨークの証券取引所に上場しています。

また三菱商事、三井物産、伊藤忠商事と鉄鉱石関連にてジョイントベンチャーを組んでいます。

Rio Tinto(NYSE:RIO)

ロンドンに本社がある鉱業・資源分野の多国籍企業グループです。

鉄鉱石、銅、アルミニウム、ダイアモンド、エネルギー、工業用鉱産物などを扱っています。

オーストラリア、ロンドン、ニューヨークの証券取引所に上場しています。

2009年に同社の社員4人が産業スパイ容疑で中国政府に身柄を拘束され、豪中の関係が悪化しました。

三井物産、新日鉄住金と鉄鉱石関連にてジョイントベンチャーを組んでいます。

オーストラリアと関係の強い日本商社

  • 三菱商事(8058)
  • 三井物産(8031)
  • 伊藤忠商事(8001)
  • 新日鉄住金(5401)

三菱商事、三井物産、伊藤忠商事は、丸紅と住友商事と共に日本の大手総合商社です。

昔、「ラーメンから飛行機まで」というキャッチフレーズがありましたが、その言葉通り、総合商社はいろいろな物を扱っています。

毎年の新卒人気就職先ランキングでも上位に入っていた商社ですが、多くの業界同様に、コロナの影響で2020年の業績は悪化しているようです。

資源関係を扱う商社ビジネスでは、資源の原価が業績に影響してきますし、中国政府に高い関税をかけられているBHPやRio Tintoですが、その政策も長く続かないでしょうから、資源の原価が上昇するにつれ、商社の業績も回復してくる事でしょう。

新日鉄住金は、日本の鉄鋼メーカーで、粗鋼生産量において国内大手、世界では第三位の規模を持っています。

同社も他の業界と同様に、コロナの影響で自動車を中心とする製造業で鋼材の需要が世界的に激減した為、2020年9月中間決算は去年度の黒字から赤字に転落しています。

しかし、コロナの影響が収まれば、回復すると思われます。

もし、日豪の外交が更に良い関係に向かうなら、軍事関連の貿易にも発展する可能性があります。

2017年に老朽化したオーストラリア海軍の潜水艦を、日本の海上自衛隊が利用している三菱重工製の「そりゅう」を新調するという話で大方決まりつつあったのが、一転してフランス製のものにするという話がありました。

このような外交貿易も今後、良い方向に発展していく可能性はあるのではないでしょうか。

ちなみに、フランスが入札したオーストラリア海軍用の潜水艦プロジェクトは、当初の計画とは大幅に遅れをとっているようです。

この4社の株価は、三菱商事と三井物産はここ5年ほど、それぞれ1,000円台から3,000円台を推移しています。

伊藤忠商事は、2016年の1,500円台から2020年の2,000円台後半と右肩上がりで株価を上げています。

新日鉄住金は2018年の2,000円台後半から右肩下がりで、2020年の1,000円台に下落しています。

今後、オーストラリアと中国の外交関係が長期に渡り悪化すると、オーストラリアは新しい貿易・外交パートナーとして、日本との関係を良くしようとするでしょう。

そうなると、オーストラリアの主な産業である資源関連とかかわっている三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、新日鉄住金が恩恵を受ける可能性が高いです。

今後のオーストラリアと中国の外交関係を見て、これらの銘柄に注目するのもおもしろいかと思います。

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