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電気自動車のテスラがエアコン事業に参入する可能性

出典:Getty Images

テスラ(NASDAQ:TSLA)は電気自動車(EV)や蓄電池との相性が良い、エアコン事業の参入に意欲を示しています。

9月22日の株主総会では「家庭用エアコン事業を来年始めるかもしれない。より静かで効率が高く、省エネ性に優れたエアコンを作れると思う」と質疑応答の場面でイーロン・マスク氏は述べています。

マスク氏がこう述べる意図は何かあるのでしょうか。

今回はテスラがエアコン事業に参入するにあたってどのような強みがあるかご紹介します。

テスラのエアコン事業の強み

テスラではEVの暖房では一般的である、ヒートポンプ式のエアコンを、2020年に発売した「モデルY」に搭載していました。

これを「小さくて効率的。暑い夏や寒い冬、どのような状況でも動作する」とマスク氏は評価していました。

ここから伺うに、自動車用エアコンを家庭用エアコンに転用する運びになるのではないかと思われます。

2015年に家庭用蓄電池「パワーウォール」を発売、2016年に太陽光パネル企業の「ソーラーシティ(SolarCity)」を買収し、エネルギー事業について補強をしています。

これらの買収はテスラのエアコン事業においてシナジーを生む可能性を含んでいます。

エアコン(産業用含む)の市場規模

日本企業を代表する空調企業であるダイキンによれば、空調市場は2020年予測で計39兆円に上るとしています。

その内訳は、空調機器18.7兆円、空調周辺3.1兆円、低温・冷凍7.9兆円、暖房・給湯9.4兆円です。

また、地域別の年平均成長率では、アジア・オセアニアが最も高い8%、続いて中国が7%と追随しています。

空調機器の需要は画一的なものとは異なり、その地域ごとの気候や建築様式の仕様、嗜好によって多種多様なものが求められています。

  • 日本:加湿機能付きエアコンなど快適性重視
  • 米国:全館空調機であるユニタリーエアコン、ダクト式空調が主流
  • 中国:内装に独自性を求める文化がある。高級住宅用マルチエアコンが主流
  • アジア:温暖な気候のため、電気代が高くなりがち。冷房専用インバータ機が主流
  • 欧州:環境意識が高く、冷房の回収・リサイクルを重視する。環境負荷の小さいルーム用エアコンが主流

エアコンの市場シェア

エアコンの世界市場シェアは中国が寡占的な状況です。

2018年小売売上台数は世界で1億6,099万台のうち、珠海格力電器(中国)20.6%、美的集団(中国)14.7%、海信集団(中国)10.8%、奥克斯集団(中国)5.9%、パナソニック4.7%、その他43.3%となっています。

家庭用エアコンの場合、中国以外はその他のメーカーという戦力図となっています。

一方で、テレビ、掃除機、冷蔵庫、洗濯機などといった白物家電では、中国一強というわけではなく、米国、日本、欧州メーカーも上位にあらわれることも留意しておくとよいでしょう。

また、中国企業のエアコンの市場シェア率が高い理由として、エアコンの地域別市場規模では中国だけで半分を占めていることや、次いで大きい市場が東南アジアやインドなどアジア地域で売上を伸ばしていることが挙げられます。

エアコンの地域別需要推移(推定)

出典:日本冷凍空調工業会JRAIA

これらの新興国では安価な中国メーカーのエアコンが主流であり、高価で多機能な日本メーカーなどのエアコンは好まれにくい傾向にあります。

しかし、日本のエアコン市場については快適性を重視され、ほぼ国内メーカーで市場を占めている状況です。

世界市場では圧倒的なシェアを誇る中国メーカーは日本市場では、ほぼ姿を見せていないことも日本市場独特の現象ともいえます。

エアコン市場の最近の動向

現在、白物家電全般で言えることですが、時短や自動化のニーズに応えるためにIoT化が加速しています。

また、日本国内では市場規模は縮小傾向にありますが、日本国内の出荷額だけでも4年連続のプラス成長で22年ぶりの高水準に達しています。

北米や中国、アジアでの需要増の他、欧州での石油を使った燃焼暖房からヒートポンプ暖房への置換が進み海外での事業展開がカギとなりそうです。

また、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、販売活動の制限があることからオンラインツールを使った販売戦略が不可欠な状況となっています。

おわりに

エアコンは一般家庭で使用する電力の3~4割を占め、これまでテスラはエネルギー事業についてテコ入れしてきました。

テスラの見据える将来には、一般家庭内でのエネルギーマネジメントが余剰電力を生み、EVに運用する、または、消費者同士で売買する社会を織り込んでいるのかもしれません。

単なるEVメーカーではなく、社会全体のエネルギー効率の改革を目指していると見て取れるのではないでしょうか。

エアコン事業においては売り切り型の事業ではなく、工事や保守、または販売網も必須であり、さらには地域ごとの気候に対する需要に応えるなど問題も多いため、スピード成長を図ると見られているテスラは、今後電池開発同様に他企業と提携することも考えられます。

市場が大きい空調業界なだけに今後の課題も多いですが、様々な企業を巻き込んで成長していくテスラは期待できるのではないでしょうか。

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