【米国株決算】エヌビディア社の最新決算情報と今後の株価の推移

エヌビディア社(NASDAQ:NVDA)はアメリカに本社を置き、グラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)などのビジュアルコンピューティング技術を提供している企業です。
同社はPC向けグラフィックプロセッサである「GeForce」やメモリ製品、ワークステーション向け「Quadro」、高性能コンピュータ向け「Tesla」や「3DVison」、モバイル通信向けの「Tegra」などを展開しています。
同社の競合他社として、AMD社やインテル社などが挙げられます。
2019年第4四半期時点での世界全体のGPU出荷台数はエヌビディア社が18%前後、AMD社が19%前後、インテル社が63%前後となっています。
本記事では、エヌビディア社の最新決算である2020年第3四半期決算と今後の株価の推移について見ていきます。
決算発表前におけるエヌビディア社の株価等のデータ
エヌビディア社は最新決算である2020年第3四半期決算を2020/11/18のアメリカ市場閉場後に発表しましたので、決算発表直前である11/18における株価について見ていきます。
11/18における同社株価の始値は539.00ドルであり、終値は537.15ドルとなっていました。
続いて同社株価の今までの値動きについて見ていきます。
同社株価は2016年頃から大きく上昇し、2016年初頭には30ドル前後であった株価は、2018年の夏頃には280ドル前後まで大きく上昇していました。
しかしながら2018年の夏頃に、同社株価は業績悪化などを背景に下落し、その後は130-190ドル前後での推移をしばらく継続していました。
コロナショック以降、同社株価は再び大きく上昇しています。
なお2020年9月以降は横ばいでの推移が続き、続伸にはストップがかかっています。
エヌビディア社はS&P500の構成銘柄の一つであり、執筆時時点での時価総額は3279億ドルとなっています。
続いてエヌビディア社の配当実績について見ていきます。なお日付は権利落ち日を記しています。
- 2020/12/03…配当:0.16ドル(配当利回り:0.12%)
- 2020/09/01…配当:0.16ドル(配当利回り:0.12%)
- 2020/06/04…配当:0.16ドル(配当利回り:0.13%)
- 2020/02/27…配当:0.16ドル(配当利回り:0.18%)
- 2019/11/27…配当:0.16ドル(配当利回り:0.23%)
同社の直近の配当は0.16ドルであり、配当利回りは0.12%前後となっています。
配当の水準は低く、配当について期待することは難しいでしょう。
エヌビディア社の最新決算情報について
概要
エヌビディア社が発表した最新決算である2020年第3四半期決算の概要は以下の通りです。
- 売上高…47.26億ドル(前年同期比57%増)
- 営業利益…13.98億ドル(前年同期比51%増)
- 純利益…13.36億ドル(前年同期比49%増)
- 希薄化後EPS…2.12ドル(前年同期比46%増)
同社の今四半期における売上高は前年同期から57%増加した47.26億ドル、純利益は49%増加した13.36億ドルとなっています。
アナリストらによる同社業績の事前予想では、売上高が44.1億ドル、non-GAAPベースのEPSが2.57ドルとなっています。
同社の実際の業績は、売上高が47.3億ドル、non-GAAPベースのEPSが2.91ドルとなっていましたので、アナリストらによる同社業績の事前予想を上回っていることが分かります。
同社CEOが決算短信で発表したコメントは以下の通りです。
エヌビディア社はゲーミング、データセンター、そして全体的に記録的な収益を達成し、すべてのシリンダーを燃やしています。
当社の新しいGeForce RTX GPUはエヌビディア史上最大の世代的飛躍を提供し、その需要は圧倒的です。NVIDIA RTXはレイトレーシングをゲームの新しいスタンダードにしました。
また私たちはNVIDIA AIでハードルを上げ続けています。
当社のA100コンピュートプラットフォームは、トップクラウド企業がグローバルに展開しており、急速に拡大しています。
また当社はプログラマブル・データセンター・プロセッサ「DPU」と、世界で最も人気のあるCPUの生みの親であるArm社の買収計画を発表しました。
我々はコンピューティングがクラウドから何兆ものデバイスに拡大するAIの時代を見据えています。
同社の事業は、ゲームとデータセンター向けの半導体の2本柱で構成されており、これらの事業は新型コロナパンデミックの影響もあり、好調に推移しています。
また同社は任天堂株式会社のゲーム機である「ニンテンドースイッチ」に基幹部品を供給しており、「ニンテンドースイッチ」の好調な販売実績も同社業績の好調さに貢献していると言えるのではないでしょうか。
詳細
続いて同社決算をより詳細に見ていきます。
市場プラットフォーム別における同社売上高は以下の通りです。
- ゲーミング…22.71億ドル(前年同期比37%増)
- プロフェッショナル・ビジュアリゼーション…2.36億ドル(前年同期比27%減)
- データセンター…19.00億ドル(前年同期比162%増)
- オートモーティブ…1.25億ドル(前年同期比23%減)
- OEM&その他…1.94億ドル(前年同期比36%増)
- 合計…47.26億ドル(前年同期比57%増)
ゲーミングの売上高は前年同期から37%増加した22.71億ドルとなっており、記録的な増加となっています。
この増加は主にデスクトップ及びノートPC向けゲーム用GPUとゲーム機向けSOCの売上高の増加を反映しています。
デスクトップゲームの売上は、NVIDIA AmpereアーキテクチャをベースにしてGeForce RTX 30シリーズの販売の恩恵を受けました。
続いてプロフェッショナル・ビジュアリゼーションについて見ていきます。
同プラットフォームにおける売上高は、前年同期から27%減少した2.36億ドルとなっています。
この減少は、デスクトップ・ワークステーションの需要が、新型コロナウイルス感染症の影響によって減少したことに起因するものであるとしています。
続いてデータセンターについて見ていきます。
同プラットフォームにおける売上高は、前年同期から162%増加した19.00億ドルとなっています。
最近行われたMellanox社の買収は、会社全体の収益の13%を占めており、データセンターの収益の約3分の1に貢献しました。
またMellanox社の買収に加えて、NVIDIA Ampereアーキテクチャの製品が好調だったことが、前年同期比及び前四半期比での増加をけん引しました。
オートモーティブについて見ていきます。
同プラットフォームにおける売上高は、前年同期から23%減少した1.25億ドルとなっています。
これはレガシー・インフォテインメントモジュール及び自立走行開発契約による収益の減少を反映したものです。
最後にOEM及びその他の売上高について見ていきます。
同プラットフォームにおける売上高は前年同期から36%増加した1.94億ドルとなっています。
これは主にエントリーレベルのノートPC用GPUの数量増加によるものであるとしています。
また同社は2020年第4四半期決算の見通しについて発表しています。
同社が発表した2020年第4四半期決算の見通しでは、売上高が48億ドル前後となる見込みです。
今年はソニー社やマイクロソフト社がゲーム機を大幅に刷新し、年末商戦がコロナパンデミックによる巣ごもり需要などの影響もあり、通常よりも加熱することが予想されます。
それに伴い、同社の業績も好調に推移していくものと思われますが、品薄状態になりつつある同社のGPUの在庫を確保し、十分に供給することができるのかどうかが課題であると言えるでしょう。
決算発表後におけるエヌビディア社の株価の推移
エヌビディア社は2020年第4四半期決算を2020/11/18のアメリカ市場閉場後に発表しましたので、決算発表翌日である2020/11/19における同社株価の値動きについて見ていきます。
前日終値である537.15ドルに対して、2%前後安となった528.50ドルでした。
その後同社株価は一時持ち直し、終値は537.61ドルとなっています。
同社が好調な決算を発表したにもかかわらず、株価が下落したのかについて考えていきます。
その要因として、大きく伸びてきたデータセンター向け売上高の伸び鈍化を懸念する声が大きくなったことが挙げられます。
同社は年前半において、データセンター向けの売上を大きく伸ばしていました。
しかしながら同社CFOによれば、第4四半期決算のデータセンター向け売上高は今四半期を下回ると述べていました。
このことを投資家が嫌気し、株式が売られたのではないかと推測することができます。
最後に同社の今後について見ていきます。
先ほど、市場がデータセンター向け売上の伸び鈍化を懸念していると述べましたが、同社の主事業であるゲーム向け事業は、今後も好調さを維持していくと考えることができ、アナリストらによる同社の長期的な成長期待は大きく変化していません。
データセンター向け売上高は鈍化するかもしれませんが、ゲーム向け事業が業績を支えると考えられます。
また同社株価の目標株価は600ドル台であり、市場全体の様子を見ながらではあるものの、今後も上昇が続いていくのではないかと考えることができます。
参考元:NVIDIA Announces Financial Results for Third Quarter Fiscal 2021
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免責事項と開示事項 記事の作者、白紙は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。